Hot Spur Berbatov
intent on offering full value
ホットスパーのベルバトフ―真価を見せつけることに余念なし
デイリー・メイル紙に掲載された、ディミタール・ベルバトフのロングインタビューの和訳です。イギリスの新聞の取材は、ベルボにとって初めてだったそうです。 原文はこちら。
No.1

ディミタール・ベルバトフはぞっとした。何度もロンドンへ車で出かけた。何度もボンド・ストリートやオックスフォード・ストリートに買い物に出かけた。 なのに一度として”Congestion Charge”(注1)を支払っていないのだ。
「”Congestion Charge”?」ベルバトフは尋ねた。「何、それ?」
私はRed Ken(注2)や交通事情について説明した。
「交通事情はひどいね」彼は主張する。
私は、都心へ乗り入れるには毎回8ポンドの料金と、払い忘れればさらに100ポンドの罰金を課せられることを説明した。
「・・・ったくもう」彼は言う。「やれやれ、ちゃんと調べた方が良さそうだ。僕はまだ何もわかっちゃいないなあ」
トッテナムの新顔は、自分を取り囲む環境と折り合おうとしている。
「やれやれ、大き過ぎるよ」
陽がふりそそぐスパーズロッジで、席に着くと言った。新聞へのインタビューは、彼にとって初めてだった。
「僕が住んでいたレバークーゼンは、人口20万人の町だった。ロンドンはなんてでかいんだろう。この違いを想像してごらんよ。 言葉には不自由しないが、この街のことを知るにはまだ時間がかかるね」
「車で街へ出かけるんだ。ぐるっと回って、通りを覚えたり。時々道に迷うけど、カーナビがあるし、とりあえずはOKさ。さっきまで、服を見に店に寄っていたんだ。 オックスフォード・ストリートはおもしろいね。信じられないくらい人が多いけど」
多くのブルガリア人は、ロンドンのウエストエンドにすぐに集まるようになるだろうか?
「僕らはEUに加入する日を待っているんだ。それがブルガリアにとっていいことかどうかは分からないけど」
「今ブルガリアは物価が高いんだ。あなた方にとっちゃあ、そうでもないかもしれない。でも僕らにすれば、ね。そして、EUに加入すればさらに物価は上がり、ますます深刻になるだろう」
「ブルガリアではやっていけないから、皆ここに来るんだ。あそこじゃ充分な仕事が無いんだ。家族を持っていれば、出来るだけのことをしてやりたいと思うでしょ。 食べ物や服を買ったり家族をサポートすることをね。人が働く理由は、それさ」
彼がいらいらする理由、それは”Congestion Charge”だ。彼には無駄遣いとしか思えないのだ。
- (注1)Congestion Charge・・・ロンドンの中心街に自動車で乗り入れる場合、1日8ポンドの料金を払わなくてはいけない制度。
- (注2)Red Ken・・・ロンドン市長ケン・リビングストン。やや左寄りの思想からこのように呼ばれる。Congestion Charge導入をはじめとする一種奇抜な施策で賛否両論かまびすしい キワモノ的政治家・・・だそうです。

夏にバイヤー・レバークーゼンから移籍したこの素晴らしく天才的なゴールゲッターに、トッテナムは1,100万ポンドをも費やしたとみられている。 だが、この金額の価値がどういうものなのかを理解している選手は、プレミア・シップには他にいないだろう。
現在25歳の彼は、共産主義が崩壊していくさなかに成長し、過去と現在両方の不確かさの中を生きてきた世代だ。 パンを求めて行列し、17歳で地元クラブのピリン・ブラゴエフグラッドを離れてCSKAソフィアに移籍してみれば、寮では5人の選手たちとの共同生活。 彼の性格が、その不確かな時代によって形成されたとしても、不思議はない。
「ブルガリア代表チームの奴らは、みんな似たようなものさ。僕らは忘れやしない。自分たちがどこから来たのかを。あの頃はよく皆で話し込んだものさ」
「CSKAにいた頃を思い出すよ。ソフィア出身の者もよそから来た者も皆同じように寮に住んで、金がなくて、食べる物もろくになくて。苦しかったけど、僕らは分け合ったんだ」
「運命の糸車というのは常に回り続けているんだってことを忘れないようにしてる。へたに加速させようとすれば(彼は手振りで説明してみせた)何もかも失う場合もあるんだ」
「僕らは笑い合って、冗談を言い合って・・・でも辛かった。僕は家を出て文無しだった。誰も金を与えちゃくれなかった。家族は金をくれたけど、僕は無給でプレーしていた。 おそらくトップチームにいれば、少しは給料を貰えていただろうけど」
「だけどそんなことは気にも留めなかったよ。無邪気な若者は、富より名声を追い求めるものなのさ。 ガキだった頃は、がむしゃらに好きだったクラブのために、プレーする覚悟を決めていた」
「大人になれば別の価値観が生まれる。現実を見なくちゃならない。だけど時々考えてしまうんだ。アマチュアだった頃の方が良かったんじゃないかとね。 ただ喜びのためにプレーしてたから。金なんていらない、たぶんそれがベターなんだよ」