冷蔵庫でマスデの夏越し実験2002

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この実験は白石茂氏(白石洋ラン園)の『公開実験 冷蔵庫で洋らん栽培』を参考にさせて頂きました。

設定条件

予備実験の結果、密閉空間での蛍光灯の発熱による温度上昇は、予想以上で、周囲温度30℃を上回る真夏には、冷蔵庫の冷却能力の不足で、マスデにとって耐え難い温度まで上昇してしまうおそれがあるので、幾らかでも冷蔵庫の負担を軽減する意味から、多少でも温度が低下する夕方から早朝にかけて蛍光灯を点灯させることにする。
実験してみると何故白石氏が昼夜を逆転させたのか実感出来る。蛍光灯を本来の目的以外に、冬季は熱源としても利用し、夏季は前述した理由からと推測するが.......
私も白石氏にならって点灯時間を18:00〜07:00までとする。

温度設定は昼夜の温度差をつけないで一定の温度とする予定だったが、実験に使用した冷蔵庫では無理なので一応15℃に設定して様子をみる。
結果、蛍光灯が消灯状態では問題なく15℃(当然のことだが)、点灯状態では20℃まで温度上昇し、 冷蔵庫はフル稼働、設定温度に下げる冷却能力がない。よって、最低温度が15℃、最高温度が20℃(きっちりとこの温度ではない)ということになる。

期間は6月1日から一応9月下旬までとする。

以上の設定条件でスタートする。1週間ごとに株をチェックし(乾き具合の確認は毎日 液肥は5000倍を週一回)状態が芳しくない場合は設定条件を変更する。冷蔵庫そのものを変更することもあり得る。

実験に使用する個体

購入してから6年経つMasd.Red Baronを5株(鉢)使用する。この株は冬場はよく育ち花も咲かせるが、夏越しでかなりのダメージ(この時期の花芽は途中で枯れる 葉は黄変し根元からもげる 新芽は腐る 病気の発生等)を受ける。幾度となく生命存続の危機に遭遇したが何とか生き残り今に至っている。

使用機材 全て手持ち部品(機材)で賄う。

冷蔵庫 直冷式の年代物  
タイマー 交流モーター式のタイムスイッチ(松下製)負荷容量15A
蛍光灯 20Wのスタンド
サーモ ピカのサーモスタット 設定温度より下がるとONするタイプ

出力がパネルヒーター(500W)専用なのでこのままでは

使用出来ない

内気扇 ジャンク品の冷却ファン
その他 冷蔵庫をON、OFFするためのリレー(負荷容量10A)

ホトカプラー トランス ケミコン トランジスター 抵抗 

3端子レギュレーター 半田ゴテ等々

 

機材のセッティングと若干の改造

蛍光灯はタイマーを使ってON、OFFする。これは問題ない。内気扇は定格電圧12Vを9Vで回転させ庫内の空気を攪拌する。マスデの葉が僅かにそよぐ程度の風圧
問題なのは如何にサーモを使って冷蔵庫をON、OFFするか?この方法の概略を説明すると、ピカサーモは前述したように設定温度を割るとONする。この時にLEDが点灯、これを利用することとする。半田ゴテでLEDを外し、そこに2本のリード線(極性がわかるように色違いを使用)を半田付けする。ここからは基板(プリント基板)に回路を構成した方がよい。半田した反対側をホトカプラー(極性注意)に半田付けする。ホトカプラーのOUT側をTRに接続しリレーを動作させる。1回路2接点のリレーを使い閉じている側の端子に冷蔵庫をつなぐ。これで例えば、サーモを15℃にセットし、サーモが動作していない状態で冷蔵庫はONしている。15℃を割りサーモが動作するとリレーが働き冷蔵庫の電源が切れる。もう少し改造を加えることでサーモ1台で昼夜の温度差を設定することも可能だが、今回は冷蔵庫の能力不足で温度差が生じてしまうのでここまでとする。
お疲れ様でした。以上で一通りのセッティングと改造が終了しました。
2002.06.01 マスデの夏越しスタート
2002.06.28 画像はココから
500×375
25.5KBと24.1KB
新たな芽と6/1の
3枚目の画像の今
庫内温度
入梅前の数日間は日中30℃近くなり、夜間も
22〜23℃の日が続きました。昼間の温度は仮に30℃をこえても問題は無いのですが、夜間20℃を切らなくなると上限温度が段々怪しくなってきます。予備実験当初(5月中旬)は設定温度で経過したが、6月に入って夜温の高い日には上限20℃をキープ出来なくなりました。そこで蛍光灯の点灯する18:00から20:00の間に、暫定的な対策として氷を適宜(1〜2kg)入れることにしました。これが功を奏して庫内温度を17.5℃〜19℃に下げることが出来ました。冷蔵庫にパワーがないために手が掛かります。
中旬から下旬にかけては入梅したことにより、いきなり涼しいというか少し肌寒いような日が多く、時折夏の太陽が顔を出す程度で、夜間はさほど暑くはないので問題なく経過しました。
本格的な夏が到来する前にあまり手の掛からない対策を立てたいと思います。
上限温度に過敏になる必要はないのかもしれません。マスデにとっての夜温が14℃であれば上限温度が25℃になろうとも、問題ないのかもしれませんが、設定温度に出来るだけ忠実に実験を遂行したいと思います。

庫内の湿度と灌水の頻度

大変乾燥しますのでその対策として、早朝鉢の乾きをチェックする際に濡らしたタオルを緩く絞り(約140ccの水分を含む)トレイに敷き、その上に鉢を並べることにしました。これで湿度を60〜70%に保つことが出来ます。1日サボると45%以下に下がります。
潅水は乾きやすいので2号、3号鉢は1〜2日おきに、1号鉢はほぼ毎日水遣りしました。シリンジもしています。当然のことながら潅水とシリンジ用の水は庫内に入れておいたものです。
液肥は5000倍を週一、マグアンプ(大粒)を数粒施肥しました。

肝心のマスデについて
約1ケ月経過した時点での評価はとても良好です。新芽は腐ることなく着実に生長しているし、病気の発生も皆無です。特筆すべきは新たに芽が発生していることです。チョット大き目の画像ですがアップしておきますので比較してみて下さい。

余談
クール系は好きだけどアミールには手が届かないという方、気化熱式では根圏はいいが葉までなかなか冷やせないとお思いの方、お金をあまりかけないで是非という方、トライしてみて下さい。
その際、最近の蒸発式の冷蔵庫では問題がないが、私が使用している旧式(裏面に放熱板が露出しているタイプ)の場合、結露した水滴をドレインで裏側から水受けに排水しています。庫内を高湿度にしていますので、4〜5日でいっぱいになります。別に室外に冷蔵庫を置いてある場合は問題ないです。
私はマカロニチューブを継ぎ足して外に排水するようにしました。

今年は実現出来ないかもしれないが、もう少し本格的に、冷蔵庫でクール系を夏越しさせるなら、冷蔵庫の両サイドと前面を切り抜いてアクリル板を二重に貼れば、蛍光灯は必要ないしとか、冷蔵庫が能力不足なら上部のフリーザーに穴を開けて、小型のファンを取り付けて、上限温度をこえた時にそのファンを回すとか............
夢は経費を掛けないでクール系(特にレストレピア)も栽培したい、そのための実験でもあるのです。
2002.07.27 今月は上旬から中旬にかけて蒸し暑い日の連続でしたが、まだこの時点では、夜温が22〜23℃と下がり救われました。
20日に梅雨明けとなり、この日当地の最高気温が37.4℃を記録しました。
野外栽培のデンドロとシンビにはタイミング良く、早朝に30%の遮光ネットを張りました。温室は換気扇がフル稼働しています。
梅雨明けを
境に真夏日、熱帯夜の茹だるような毎日が続いています。

庫内温度
17日の早朝庫内温度を29℃まで上昇させてしまいました。原因はコンプレッサーのオーバーヒートで本体の安全装置(バイメタル)が作動し電源が切れてしまったためでした。復帰するのに時間を要し、その間に温度上昇してしまったようです。この対策として本体の背面(放熱板とコンプレッサー周辺)を扇風機で強制冷却することにしました。結果、周囲温度が30℃以上になってもオーバーヒートすることはなくなりました。
本日(7月27日)本体に改造を付加しました。結果が良好なら次回報告します。芳しくなければ没です。
夜温の上昇に伴って20日以降、氷を5Kgに増量しました。今月の庫内温度は17日を除き15℃〜22℃で推移しました。設定温度より若干高くなってしまいましたがこのまま実験を継続したいと思います。取り敢えず今回の実験では余程の事態が発生しない限り本体を取り替えないことにします。

マスデについて
高温にしてしまい心配しましたが今のところ悪影響は皆無です。実験当初の芽が成株に生長しそれらの株から新たな芽が次々に発生し、とても喜ばしい状態です。それぞれの株が一回り大きくなりました。生育適温?を長くとることでこの個体の本来の力、潜在能力を引き出すことができたのだと思います。この実験の成果の一つだと自負しています。このまま設定温度をキープできれば開花期には期待が持てそうです!?
湿度、潅水の頻度については先月と殆ど変わりありません。 
2002.08.31
    最終報告 先月の追加改造措置について
外気温の上昇に伴って冷却能力が極端に落ちてしまったので思い切って冷蔵庫内部のカバーを外してみました。すると、フリーザーから冷蔵庫に冷気を自然対流式に送り込むためのダクトが設置してありました。
そこでダクトに内気扇としても使用している小型のファンを取り付け(ちょっと無謀かとも思ったが)強制的に冷気を取り入れてみる事にしました。当初、温度が下がり過ぎることを懸念(ファンにもサーモを追加するか検討)しましたが、設定温度になると電源が切れるため、若干下がるだけで全く問題ありませんでした。この追加措置が功を奏し今までの余計な手間(氷を入れたりとかの)を排除してくれました。おかげさまで酷暑(17日までの)を諸共せずに設定温度をキープすることが出来ました。
今回の実験について
当地でクール系を栽培するには夏の酷暑がネックでした。これを、経費をあまり掛けない簡易なシステムで克服するためにこの実験を始めました。結果は、必ずしも適切な温度、湿度、光量ではなかったかもしれませんが、株を見る限り、とても良好な生長状態で満足しています。今回の実験は9月某日まで続きますがレポートはこれを最終にします。今後はこの実験結果を礎にステップアップしたシステムを再構築しクール系(レストレピア等にも挑戦)を栽培したいと思っています。機会があればこのHP上で公開します。この実験に使用したマスデのその後については、開花期に報告する予定でいます。
今回の実験に関する報告はこれで終わります。有難う御座いました。
完全に葉が更新されていませんので多少見苦しい葉もありますが・・・・・・・・ 2002.8.24