MYSTERIES THE PRIVATE COMFORTABLE
MYSTERIES THE PRIVATE COMFORTABLE フクさんの独断偏見に満ち満ちた感想・書評群。

 −著者名別索引 及び読書歴(平成編)−
 −著者名別索引 及び読書歴(昭和編)−
−著者順全部索引− 


05/03/20
有栖川有栖「モロッコ水晶の謎」(講談社ノベルス'05)

推理作家・有栖川有栖&臨床犯罪学者・火村英生のコンビによる中編集。この国名シリーズも既に八冊目ということになり、一時期停滞していたものの、最近はかなり順調に刊行されているように思われる。

半ば引退して再起を図っていた俳優が誘拐された。会社社長のその義父のもとに脅迫の電話が入り、身代金が用意される。二人は別居していたが妻は犯人の指示通りに大阪から野洲行きの新快速に乗るが、身代金を手放すことなく終点に到着してしまう。そして俳優の遺体が発見された……。 『助教授の身代金』
尼崎市の安遠町で浅倉という人物が殺され、続いて豊中の別院という町で番藤という女性が殺害された。凶器は同じピストルであると断定されたが、被害者同士に繋がりがあるとは思えない。更に警察にアルファベット順の犯行を予言する声明が届けられた。 更に千曲町で茶谷という男性が殺害される。犯人はABCを狙った愉快犯なのか? 『ABCキラー』
朝井小夜子と火村と有栖川。三人で焼き鳥を食べていたところ、有栖川は最近の小夜子の行動を推理してみせる。一方、小夜子は小夜子で火村の行動を推理する。有栖川は一人置いてけぼりをくらうのだが……。 『推理合戦』
ホームパーティの席上で、三つあるグラスのなかに一つだけ毒物が混入され、一人が死亡する事件が発生。その家には放浪経験ある占い師が居候しており、家族からの厚い信頼を得ていたが……。偶然、現場に居合わせた有栖川だったが。 『モロッコ水晶の謎』 以上四編。

謎解きの過程……よりも、事件の構図そのものが持つ魅力がスリルとサスペンスを発揮
ボーナストラック的イメージのある掌編『推理合戦』が極端にページ数が少なく、残り三つの作品が中編級のボリュームを持っている。その三つの事件、Aの頭文字を持つ町でAの名字を持つ人間が、しかも予告つきで殺されていく『ABCキラー』こそ事件自体が派手だが、残りの二つ『助教授の身代金』『モロッコ水晶の謎』の両作品とも、それぞれの事件の発端としてはそれほど目新しいものではない。『助教授の身代金』では、落ち目の俳優が誘拐され、身代金が用意されるものの犯人が受け取りに現れず、被害者が死体となって発見されてしまうというもの。また『モロッコ水晶の謎』では、ホームパーティの席上で三つのグラスのうちの一つを飲んだ被害者が毒殺されてしまうという事件である。
先に『ABCキラー』について述べておくと、こちらはもちろん元が講談社文庫にて企画されたアンソロジ『「ABC」殺人事件』ー所収の作品でもあり、強烈にクリスティの『ABC殺人事件』が意識されている。最初の事件の発生から二番目の事件の発生に至る際にモデルとなった舞台が、現在の小生の自宅近辺ということもあっていきなりに物語引き込まれた。事件自体が、劇場型というか派手な展開を持っていることもあって、謎の持つ吸引力が非常に高い作品である。 ……だが、どうして真相に大いなる意外性があるものの、どこか説得力という意味では若干他の作品に譲るような印象が残った。猟奇的な事件が物語で演出されなければならないがために、その物語上の犯人らも同時に演出された無理な行動を強いられているように感じられたことが主因。
ところが『助教授の身代金』と『モロッコ水晶の謎』については、ありきたりとはいえないまでも同じようなシチュエーションは多くのミステリによって描かれきたものと多少被るものがある。その一方で、そのミステリ的には平凡ともいえるこの謎そのものを成り立たせるための、裏にて引かれた構図の部分に強烈なオリジナリティが存在するのだ。一見、その単純さゆえに非常な難事件と思わせておいて、裏の動機でバッサリと読者を欺く。こちらについては火村による謎解きの過程よりも、この事件が成立するためのシチュエーションの方により興味が惹かれた。特に表題作における毒殺の論理はアクロバット級で実に興味深いものだった。また『助教授の身代金』における完全犯罪の破綻についても、思わぬところに伏線があったことに後で気付いて驚かされた。

相変わらず、火村と有栖の蜜月は続いており、そういった方面から読まれる方も多少はおられようが、基本的には有栖川氏ならではのロジックの本格ミステリが追求されている印象。ただ、その謎の作り方に有栖川有栖らしさを強く感じさせられた。それでもなお本格ミステリとして粒揃いであり、本格ミステリファンを楽しませるだけのレベルをキープしている点も凄い。


05/03/19
戸梶圭太「溺れる魚」(新潮文庫'01)

堤幸彦監督によって、椎名桔平、 窪塚洋介、仲間由紀恵といった豪華キャストを揃えて'01年に映画化された作品。ということで、お堅い筈の新潮文庫までがそれに乗っかって、戸梶作品のうち比較的早い段階で文庫化された。この映画化&文庫化によって戸梶圭太の出世作となった作品ともいえる。

女装癖のある捜査一課の警部補・秋吉は女性下着の万引きがバレて自宅謹慎。そして他の刑事と一緒に被疑者逮捕のドタバタに乗じて現金を懐に入れたことがばれた白州警部補もまた自宅謹慎。長期間のヒマを持て余す二人のもとに、監察官より、問題ある公安刑事の内偵が要請された。どちらにしても断れないその要求を二人は飲む。その公安刑事・石渡は外事一課で最近、急進的な文化人の集まる会員制のバー『クリング・クラング』に頻繁に出入りしていた。一方、都内に二百箇所以上のDPEショップを展開するダイトーという会社には、”溺れる魚”を名乗る人物より、不気味な脅迫状が届いていた。役員に変態的な格好をさせ都内の盛り場を歩かせろというもの。一度断ったダイトーは実際にDPEショップの弱点を突かれ、数店舗にて被害を発生させていた。会社に対して恨みある者の犯行とみられたため、役員の一人、保坂は繋がりのある石渡に極秘裏に事件の捜査を依頼。石渡は石渡で、その金を使って『クリング・クラング』に通っていた。ところが、石渡の懐具合を知った別の公安刑事・伊勢崎の登場により、事態が少しずつこじれ始める……。

相変わらずというか、いつものトカジ節が満載も、物語としての完成度は他作品に譲るか。
女装癖のある刑事と、警察の職を何とも思っていない刑事(宍戸錠マニアということに映画では強調されているらしい)の二人、企業から金をたかって遊び歩く公安刑事に不潔の固まりのようなダニのような刑事。更に人間を相手に害虫駆除のような感覚で指令を出せる監察官。成金趣味の固まりのような強欲色欲爺に、これまた手下を人間扱いしないヤクザ。スノッブを気取ったお高い人々、その逆に人間として底辺の暮らしをする左翼運動家たち……。とにかく、登場人物がクセ者揃い。このあたりが気に入られ、個々のキャラクタをふくらませることによって堤監督のお眼鏡にかなったのであろうが……。
その登場人物を配し、めちゃくちゃをやらせるというあたりはいつものトカジ節。特に、愉快犯だった脅迫が、いつの間にか現金強奪にすり替わり、ありとあらゆる登場人物が舞台狭しと駆けめぐるクライマックスの傍若無人のアクションシーンにおけるカタルシスが強烈ではある。
だが、個々の場面場面に面白さはあるものの、トータルの構想という意味ではトカジ作品のなかで決して高いものではないように感じられた。それぞれ個性豊かに登場してきた登場人物の扱いが、後半になってぞんざいになってしまっている。安い人間については徹底的に安く描くというのがトカジ作品の特徴でもあるので、それはそれで仕方ないことなのかもしれないが、それでもその中途半端な扱い度合いが他作品以上に高いように思われた。(この作品のレベルが低いとはいわないが、もっと狂気にまみれつつもストーリーのしっかりしたトカジ作品は他にもいくらでもあるのだ)。

まあそれでも、トカジ作品ならではのエンターテインメントであることもまた事実で、映画をきっかけに”こちら側”に入って来られるお客さまを満足させることは出来るのではないか。入門編としてはそれなりに適。


05/03/18
泡坂妻夫「蚊取湖殺人事件」(光文社文庫'05)

泡坂氏が'02年から'04年にかけて雑誌等に発表した短編作品が集められたオリジナル作品集。表題作は『ミステリーズ!』の犯人当て小説として掲載されていたことは記憶に新しい。ただ、非ミステリ作品もあり、ミステリ作品とのギャップが面白い。

画廊に勤める田中裳所(もとこ)は画家の渡辺の誘いによりモデルになることに。その渡辺宅にテレビで活躍する画家・ミケランジェロ六郎が遊びに来て飲み明かすという。だが翌朝、裳所がアトリエに来ると血まみれになってミケランジェロが死亡しており、その死体を渡辺はデッサンしていた。 『雪の絵画教室』
私と伊勢屋は、若駒という坂東流の踊り手の着物や心遣いを誉めていたが、その彼女が亡くなった。ほとんどの着物は娘に残され誂え直しとなったが、色留め袖がひとつだけ行方が分からなくなっていた……。 『えへんの守』
アマチュア・マジシャンズ・クラブの鬼沢という男が亡くなった。彼が生前蒐集していた奇術の道具は、遺族の同意のもと、会員たちによって分割されたのだが……。 『念力時計』
蚊取湖側の山にスキーに来ていた美那と慶子。足を痛めた慶子が病院に行ったが、そこで見かけた男が湖畔で死体となっているのが発見された。その死体は首に包帯らしきものが巻き付けられていた。 『蚊取湖殺人事件』
片谷は、娘の春香と共に少女歌劇団のレビューを見に行くことになった。どうやら歌劇団も裏でいろいろあるらしいと聞かされる。ラインダンスの中から彼のところに靴が飛んできた後、舞台裏で殺人事件があったことが判明する。 『銀の靴殺人事件』
旅館・伊藤荘に宿泊に来た男女の様子がおかしい。旅館の息子・惣太郎はその泊まり客が偽名を使っていることを見抜く。どうやら彼らは信用金庫から大金を強奪した犯人らしい。 『秘宝館の秘密』
知り合いの紋章上絵師が廃業してしまったため、絹男は紹介された別の紋絵師に仕事を依頼することになる。その絵師はたまたま池袋に出掛けており、その池袋で人身事故があった……。 『紋の神様』 以上七編。

老いてなおますます盛ん。全部がミステリではないながら、本気の本格ミステリの剛腕加減がファンには堪らない一冊
紋章関係の職人仕事の話である『紋の神様』、また、泡坂氏の趣味である奇術が色濃く反映された『念力時計』、さらにその二つの要素の混じった『えへんの守』という三つの作品はミステリに分類される短編ではない。これはこれで枯れた味わいのあり、泡坂氏の年齢や経験が色濃く反映された(というか、泡坂氏の境地に立つことではじめて描ける)世界が物語の舞台となっている。半分は私小説的なニュアンスがあるのではないかと思われるが、そこまでは明らかではない。こちらに対する評は文芸系の方にお任せ。残り四作のミステリの方について述べる。その四作、一見いろいろなシチュエーションを作っておきながら、実にどれもこれも味わい深く、本格ミステリのファンが喜びそうな作品が並ぶ。
まず凄いというか凄まじいのが、本書の冒頭を飾る『雪の絵画教室』。雪の密室のなかの殺人事件というテーマだけでも逆に凄いのに、そこに用いられるトリックが凄まじい剛速球なのである。バカミスと呼んでも差し支えないトリックであり、その剛腕ゆえに強烈な印象に残るうえ、意外な犯人が演出されているのも嬉しい。インパクトには凄まじいものがある。
ミステリとしての完成度であれば、『蚊取湖殺人事件』も負けてはいない。犯人当てとして初出の『ミステリーズ!』に登場した時「難しくて解けない」という声の上がった作品で、それも道理。このトリックと、伏線に仕掛けられているその現象の結果など、唖然とさせられること請け合い。また『秘宝館の秘密』は、全体にコミカルに描かれており、泡坂氏らしいユーモアが全体に漂っていて実に面白い。『銀の靴殺人事件』も短編のなかに様々なテーマを織り込み、それらが全て事件に奉仕している。特に少女歌劇のある場面における特徴を用いたトリックとなっているのは心憎い。

もしかすると御本人に対して実に失礼な感想かもしれないが、思いついたのは「老いてなお盛ん」という言葉。これだけ様々な趣向の作品を書き上げてきている著者が、まだこれだけミステリとしてのネタを温めていたとは。そういったところからもサプライズを感じさせてくれる短編集。ハードカバーに仕立てても十分売れただろうに、文庫オリジナルという選択肢をしてくれた出版社に感謝。


05/03/17
太田忠司「伯林水晶の謎」(祥伝社文庫'98)

上海香炉の謎』からはじまり、特に初期作品から暫くは「国名シリーズ」ならぬ「都市名シリーズ」としての題名が付けられていた、作家にして名探偵・霞田志郎と駆け出し漫画家・千鶴の兄妹シリーズ。本書はその三冊目にあたる作品。

夜桜見物に出掛けた霞田志郎と千鶴の兄妹。彼らはうずくまった老人と行き会う。その老人はかつて志郎が通った大学に勤めるレーガー・ヘルムバウムという教授であった。兄妹は、教授の友人である宮谷巌という人物のもとへと送り届けようとした。だが、トマス工業という電子部品メーカーの社長である宮谷宅の離れで、その宮谷が殺されているのを発見する。現場は密室で大量の硝子の破片が散らばっていた。中興の祖として会社を急成長させた宮谷には社内に敵も多く、遺産を巡る争いもあって親族も仲が険悪であった。千鶴は、宮谷の娘でジュエリー・デザイナーである朱鷺田ナオミなる人物に惹かれる。事件から一旦離れた二人であったが、警察の要請もあって再び事件に関わることに。水晶が至るところに登場するこの事件、戦前のドイツで発生した「水晶の夜」の引き金となった事件が関係しているらしい……。

欧州の歴史上の謎まで物語に絡めてはいるが、その本質は、本格の論理冴えわたる謎解きミステリ
冒頭、プロローグにて描かれるのが一九三八年に発生した一ユダヤ人青年による、ドイツ大使館公使の暗殺事件。この事件がきっかけとなり、ユダヤ人たちの商店や住居が襲われる「水晶の夜」が発生、その後の大虐殺に至る――。そして、この事件以外でも、物語の随所に様々なかたちで”水晶”が小道具として、テーマとして登場する。トマス工業は水晶振動子で急成長したメーカーであり、宝石の水晶があり、蒐集された水晶があり、更に凶器に至るまで水晶。水晶づくしの事件に巻き込まれる霞田志郎……。戦前の事件から現在に繋がっているのは、一体何? というのが、本書のポイント。
ミステリとしてベースになっているのは、あるちょっとした不可解な事象から導かれるトリックと、少しずつ明かされる人間関係を巡っての謎。真犯人の弱さ、そしてその弱さの裏返しの逆上が何ともいえない嫌な後味を残すのだが、それもまた計算のうちなのだろう。また、一方で冒頭のプロローグが示す役割が、意外なところで繋がっているのもポイント。特に、そのための丁寧な登場人物配置に深い遠慮を感じることができる。 さりげなくも、実に深い構想に基づいた作品だといえるだろう。

ちょっと事情があって、二作目である『倫敦時計の謎』を読まないままに三作目に手を出してしまった。だが、このシリーズは基本的に独立しており、順番で読まなくとも大丈夫。(まあ、大きな流れに変化はあるのだろうが)。公使暗殺事件の犯人に対する処分、という歴史上の謎についてもピリリと辛い新解釈がつけられており、その点からも面白く読めることだろう。


05/03/16
松尾由美「雨恋」(新潮社'05)

「大森望氏も涙!」と、ある意味驚きのキャッチコピーがあり、背表紙には「心を濡らすラブストーリー」とあって、恋愛小説として版元はどうも売り出したがっていた模様も(確かにそういった側面があるとはいえ)、事実上の長編本格ミステリというのがその内容。書き下ろし。

その年は雨が多かった――。オーディオメーカーに勤務する三十歳の会社員・沼野渉は、キャリアウーマンである叔母の、突然の海外異動の結果、彼女が住んでいたマンションをその期間借りることになった。叔母が出した条件は二匹の猫を、その間預かること。しかし、ある雨の日、猫を相手にした女性の笑い声がマンションのなかに響いていることに渉は気付く。声の主は、自分は三年前にこのマンションのなかで死んだ小田切千波という名の女性で、幽霊であることを告白する。出版社に勤務していた彼女は、画家兼デザイナーの守山という人物のマンションに居候していたのだという。そしてある理由から彼女は守山とは無関係に自殺を決意、青酸カリを準備して事に臨もうとするが、すんでのところで思いとどまった。だが、その後、頭を打って気を失い、そして死んでいたのだという。自分が誰に殺されたのか。彼女の疑問に対し、渉はその謎解きを手伝うことにした……。

ラスト2ページに感動するよりも、隠された謎に驚きたい。ゴースト・ミステリー・ストーリー
うーん、やっぱり出版社の思惑は間違いだと思うな。ラスト2ページ、つまり物語のラストは「こういうかたちしかない」というゴースト・ストーリーの予定調和の範疇(というか、ど真ん中)にある。確かに切なくはあるが、それ以上でもそれ以下でもない。ファンタジーを書かせても抜群の筆力を誇る松尾由美さんではあるが、本格ミステリの手法をよく知っている方でもあり、物語の内部における謎の方が、より魅力が高い。
頭を打って気絶しているうちに、自分が用意していた毒を飲まされてしまった……。その結果死亡した彼女は、その理由や方法が分からず、マンション内で幽霊として留まっている。声はすれども姿は見えず。そんな女の子のために探偵でも警察でもない主人公は聞き込みをする。そして、事件の前後の様子や、生前の彼女の奇妙な立場が徐々に明らかになる。彼女の隠したい秘密、彼女が憧れていたマンションの持ち主の秘密……。このあたり、薄皮を剥ぐように少しずつ解き明かされていく過程がスリリング。 上手いのは、その小さな秘密が解かれるたびに、彼女の”死”の謎が余計に深まっていくという点。物語を通じて最大の謎は、最大に物語が不可解化した後になるまで明らかにされない。
まあ、実際、足から徐々に実体化してゆく……という設定、実際にそうだとすると何というか、怖いような……。それはそれとして、あること以上を幽霊たる彼女ができない、というあたりは細かい部分ながら印象に残る。その結果、ミステリとしての骨格を持ちながら、ラブストーリーとしての純粋さが保たれているように思うから。

ワープロを変換していて”雨恋(あまごい)”という造語は、もちろん”雨乞い”との掛詞であることに改めて気付く。これも踏まえた作者のダブルミーニングだとするとこれもまた上手い。つまり、”恋”だけでなく、主人公の心情のなかに”雨乞い”の気持ちもまたあるわけで。本サイトの読者に対しては、本格ミステリとして上々とお伝えしておきましょう。


05/03/15
相原大輔「キルケーの毒草」(カッパノベルス'05)

'03年に『首切り坂』がKAPPA ONEの第二期ではただ一人の本格ミステリ系として選ばれデビューした作者の二作目で、前作と探偵役などを同じくしている。書き下ろし。二冊目にして500ページを超えるボリュームなのだが、そうったことが流行っているのだろうか。

いつものようにカフェー『黒猫亭』にやってきた浪漫主義作家・鳥部は、その店で間宮なる人物に出会う。彼は帝都新聞の記者で、鳥部の友人でもある敬介の叔父であるのだという。その敬介が行方不明となった。鳥部はそのことを知らなかったが、家によく遊びに来る書生・相楽と菊池の同居人が帝都新聞に勤めていることを思い出し、その諸星なる記者に調査を依頼する。敬介の両親は桐嶋男爵という華族宅に奉公しており、敬介自身も隠れながら未だにその桐嶋家に出入りしていた形跡があるのだという。桐嶋男爵はジル・ド・レエの伝記を刊行しようとして発禁となるなど好事家で知られる人物。諸星はその桐嶋家に何らかの秘密が隠されているのだと意気込む。鳥部は、相楽が桐嶋家次男の清照と親しく、桐嶋家で開催されている内輪の集まりに顔を出していることを知り、桐嶋家に乗り込むことにする。桐嶋秀典男爵をはじめとしたその集まりのなかには、典子、朋子、政子、そして香代の姉妹、や出入りしている医者や和尚や画家のあいだに、遊民の大島の姿があった。

大正時代のデカダンスが醸し出す濃密な雰囲気。不可能と不可解が飛び交う連鎖殺人と恐怖すら覚える執念深い複層構造……
結論からいえば、本作は今年の本格ミステリの収穫であろう。 大正時代、そしてちょいと浮世離れした好事家たちを自然に舞台に登場させ、複数の狂気の論理が漂う世界を造り上げている手腕、そして執念深く世界の見え方を何度も入れ替えてしまう綿密な設計図。相原氏の実力がこれほどまでに高いとは、失礼ながらデビュー作からは窺えなかった。
既に”新本格ミステリ”の世界が確立されてしまった現在、確かにこの作品が特に目新しい――ということはあまりない。個々のトリックにあたる部分や、全体の構造にしてもこれまで様々なミステリで試行錯誤されてきたガジェットのバリエーションの内であるし、登場人物に特別な魅力を付加しているわけでもない。だが、大正時代の文学(漱石とか)を深く世界に重ね合わせて世界の厚みを増している点、また、多層構造を丁寧に伏線を設けたうえで手の内で扱っている点、その狂気の構想の奥深さなど、デビュー二作目の新人とは思えないだけの実力をこの作品からはひしと感じることができるのだ。
登場人物も多数ながらそれぞれに何らかの特徴があり、かつ事件それぞれの不可能的興味が深い。特に異形の文学を愛し、毒薬を蒐集する好事家・桐嶋男爵の造形が秀逸だ。その他、ちょっとした個々の登場人物の持つ怪しさ・妖しさに意味が持たせてあり、それらをきっちり事件と絡めてある。そして繰り出される謎の数々。ちょっとした不思議な事件から、とんでもない殺人事件に至るまで、解いても解いても解き明かせない闇の深淵が常に物語の奥に横たわっているような眩瞑感が実に魅力的である。 その意味では探偵小説と幻想小説が非常に近しいところにあったことを思い出させてくれる。また小説としてのテクニックについてはまだ磨く余地がありそうなところですら、この作者にまだまだ伸びる余地があるという凄さを感じさせてくれるように思う。

物語として決して短くなく、なかなか本題に入らないようにみえる(実際には冒頭からいきなり本題に絡んでいるのだが)あたり、いわゆるリーダビリティには改善の余地があるものの、根本世界からきっちり創り上げ、それを本格ミステリに奉仕させる姿勢が嬉しい。 この世界だから生きる物語、ミステリ、幻想。衝撃的にして刺激的な一作である。本格ミステリファンであるならば、読み逃しは許されない一冊。更に、実は幻想小説ファンにも読んで頂きたいように思われた。何か、個人的にもツボに嵌った感。


05/03/14
太田忠司「紅天蛾 新宿少年探偵団」(講談社ノベルス'97)

「新宿少年探偵団」、通称”宿少”シリーズの第四弾となる長編。二作目『怪人大鴉博士』にてちらりと顔見せしてきた美少女「紅天蛾(べにすずめ)」が登場する作品で、作者のことばによればコンセプトは「悪の魔法少女」とのこと。

蘇芳のもとに出掛けようと学校で待ち合わせをしていた壮助と謙太郎の前に現れた謎の美女。「いい未来を作りそうだわ」思わせぶりな言葉を残し、「顔を見にきただけ」という彼女は去る。新宿の「開化ビル」にて、壮助からその話を聞いた蘇芳やジャン・ポールは、どうやらその女性に心当たりがあるらしい。一方、芦屋能満の弟子であるマッド・サイエンティストたちにも動きが。東京都知事宛に「紅天蛾」なる人物に犯罪予告状が届いたというのだ。都庁に飾ってある「銀色のてんとう虫」を盗むというのだ。当初は無視されていたその予告状も、厳重に警戒された中央コンピュータ室や、都民広場に赤いペンキで「あと○日」と大書されるに及び、関係者は真面目に受け止めることになる。そして、その当日、マスコミと警備陣が見守るなか、そのてんとう虫は少女を人質に進み出てきた一人の男によって強奪されてしまう……。果たして、あまり意味のないこの盗難事件にはどのような裏があるのか。宿少メンバーは推理にて首謀者を追う。

全体構想が着々と「シフト」? 宿少という物語全体のなかに大きな流れが見えてきた
少年探偵団を現在に甦らせる――というのが本シリーズの当初の趣旨だったものだと思われる。前作くらいから全体構想に対する様々な伏線が、かなり思わしげに張られるようになったのに続けて、この『紅天蛾』に至って、作品で今後活躍するであろう、おおよその勢力が出揃い、それぞれの狙いがうっすらとだけながら見えてきたように感じられた。ポイントの一つは「パラダイム・シフト」という単語になるだろう。新宿に限って戦いが継続される理由は、遺言という以外ははっきりしないものの、市民の常識を覆して新たな常識を植え付けるための戦いというさりげない背景がこの作品においてはっきり加わった。その結果、スタート段階ではやはり原作である江戸川乱歩を思わせる、荒唐無稽な活劇冒険譚でしかなかった(それがいわゆる「少年探偵団」としての面白さではあるのだが――)この”宿少”に、物語の必然性、そして流れが付け加わってきたように思われるのだ。
もちろん、今回の物語はそういった全体構想のための伏線だけではなく、一巻ごとに必ず込められている”謎の怪人”VS”宿少メンバー”という構図自体は健在。 『怪人大鴉博士』の回に一瞬登場したる”紅天蛾”がメインの敵で、その彼女が操り、周囲を固める”七つの影”という発想が、まず面白い。特に冒頭の新宿都庁にある、あまり意味のないオブジェを盗み出すことに対して犯行予告を出すあたりの遊び心。何よりも”怪人”役が子供であるゆえに、行動の発想もまた子供という図式はさりげなくも重要だろう。この結果、大いなる悪戯に翻弄される大人の姿が実に滑稽に描かれることになる。実際の彼らの戦い(アクション)そのものは、敵の力が増していること、科学的理屈がありそうでなさそうな敵や武器等が登場するため、荒唐無稽の度合いも若干高まってきているように思う。ただ、その結果メンバーそれぞれが着々と成長を遂げているところも見られるし、そもそも”宿少”はそういった些細な点を気にすべき物語ではないはずだ。

シリーズとして着々冊数を積み重ねている作品である。最近ではこういったシリーズ作品でも「一応どの作品から読んでも大丈夫」として、エンターテインメントとして単発でも通用させるケースが多いが、本シリーズに関しては、潔く連続で読む者だけが理解できる作品に特化してきているように感じられる。つまり、本シリーズは、やはり刊行順に読んでゆく必要があるということだ。


05/03/13
太田忠司「歪んだ素描 探偵藤森涼子の事件簿」(ハルキ文庫'99)

元版は角川ノベルズより'94年に刊行されている。太田忠司氏のシリーズ作品の一つである阿南シリーズに登場する女探偵・藤森涼子を探偵役とした、こちらもれっきとしたシリーズ作品の一冊目。本文庫の解説は大矢博子さんであり、その点からも個人的には注目かな。

質素な身なりをした女性が、遊び歩く妹を探し出して欲しいと依頼を。だが、妹は涼子によってあっさりと見つかる。その依頼人は善意を押しつけるタイプの女性であったが不審死を遂げてしまい、妹が疑われる。 『善意の檻』
車同士の交通事故。女性の運転ミスが主因と思われたが、その女性は自分が悪くないことを証明して欲しいと一宮探偵事務所にやって来る。彼女のいう「黄色い帽子」を被った老人を捜す涼子だったが……。 『眠る骨』
兄が友人でもあった妹の婚約者を、結婚前夜の最後の飲み会で刺し殺す事件が発生。兄の真意を知りたいという妹の希望に涼子が動き出す。本当に彼はカラオケの順番を巡るいざこざで事件を起こしたのか? 『彼の動機』
会社の通勤途中で突然蒸発してしまった夫を捜して欲しいという妻の依頼。その夫は実家に居て依頼は解決した。リストラを指揮する人事部長だった彼は何もかもを捨てて、自分の望んだ絵を描きたいのだというが……。 『歪んだ素描』 以上四編。

透明感漂う探偵役が浮き彫りにしていく「事件」と、それを巡る「人間関係」。事件が主人公の四編
この藤森涼子のシリーズは実は五冊ほど刊行されているのだが、この作品で初めて接した。(傑作との噂が高い『Jの少女たち』は現在読書中)。藤森涼子の存在が中途半端だよな……というのが中盤までの印象。 女探偵という先入観のせいだろうか。例えばか弱い外観ながら武道が達人クラスの人物だとか、女性を武器にしてお色気で迫る人物だとか、女性であることによるハンディをものともせず、男性と互してバリバリ調査する人物だとか、虚無的なハードボイルド探偵の女性版だとか……、「女探偵」というキャラクタに、分かりやすい特徴をつけることはどうにでも出来ただろうに、この藤森涼子、普通なのである。普通のどこにでもいる女性。決して頭の回転がめちゃくちゃ早いわけでもなく(探偵役なだけに解決はするが)、特別にひと目を引くほどの絶世の美女ではなく(それなりに美人ではありそうだが)、武道の達人でもない(最低限の護身術は持っているようだが)。なぜ、そんな人物を太田忠司氏が造形したのだろう? と少々疑問にすら感じた。
だが、四編読み終わった段階で、何となく意図が見えてきたように思った。彼女がちょっと気が強く、好奇心旺盛なだけの普通の女性だからこそ、個々の物語の方が引き立っているのだ。 『善意の檻』における、人に対して優しさをこれ見よがしに押しつけることで自己のアイデンティティを確立する女性の寂しさ。『眠る骨』における、老人たちが隠し持った謎の哀しさ。『彼の動機』における、無意識の自己中心的人物の圧倒的影響力と、それに対する悪意の虚しさ。そして『歪んだ素描』における、一人の死に対する各人の思いの複雑さ……。 このあたり、実際に読んで頂くしかないのだが、ミステリとしてのトリックも用いられている(薄いけどね)なかで主な対象として描かれているのは、事件にまつわる人々の感情なのである。その事件をできるだけ、読者の前面に立たせるために、藤森涼子の影を薄くせざるを得なかったのではないか――と思うのだ。

この四編では、事件にまつわる人物たちの特徴が強く出ており、探偵事務所の所長である一宮や涼子自身、そして探偵事務所の他のメンバー等は後ろに回っている。まだ触れていない続編において、そういったあたりも描かれるのではないかという楽しみもある。このシリーズ全体については、現在感じているところが正しいのかまだハッキリしないので、もう少し冊数を読んでから論じてみたい。


05/03/12
牧野 修「蠅の女」(光文社文庫'04)

光文社文庫の創刊20周年記念の一環として、同文庫にて書き下ろし刊行された長編作品。ノンシリーズのホラー作品。

二十八歳になる会社員・城島洋介はささやかに幸せな暮らしを営んでいたが、ただ一つ、昔から実話怪談の類が大好きであった。彼は『オカルト部』なるインターネットのサイトに出入りしており、時折オフ会で「怖い話」を楽しんでいる。そんな彼を含む六人は、廃墟マニアの〈廃市〉の勧めにより、『加々美療養院』なる病院の廃墟でオフ会をすることになった。屋上での夜のピクニックと洒落こんだ彼らは、地面から何か光り輝くものを堀り出そうとしている二人の女を目撃する。出てきたのは白く輝く人間だった。恐怖に駆られた『オカルト部』のメンバーはその場から慌てて逃げ出すが、一人〈五分厘〉こと高階充が現場に取り残され、そのまま行方不明となってしまった。その後〈廃市〉が自殺し、彼らはカルト教団に自分たちが執拗に狙われていることを知る。サイト管理者でもあった〈部長〉は、キリストの復活を教義として掲げる彼らに対応するため、悪霊の王・ベルゼブルを召還しようと試みる……。

ちょっと軽めなのが惜しい。サスペンスある展開と伝奇的な背景のバランスの取れたアクション・ホラー作品
ページ数もそれほど多くなく、あっさり読み終わってしまう。だが、ホラー小説作家として経験を重ねてきた牧野修ならではの味わいが籠もっており、少なくとも支払った476円よりも遙かに楽しませてもらった。
ベースとなっているのは、キリスト教の復活をベースにしたカルト宗教の教団(と特殊能力者)と、主人公たちは悪魔の側にたつ悪霊の王(つまりは「蠅の女」)ベルゼブルとの戦い。聖書の引用を適宜行っており、その背景についても通りいっぺんではなく、それなりに踏み込んでいて世界観に対する違和感はない。一方で、六人いた仲間が次々とカルト教団側に取り込まれて、誰が仲間で誰が裏切り者か分からない展開と、主人公に迫り来るカルト教団の実際行動によって恐怖が喚起される。二方面から不安感が煽られるのでストーリー展開が濃密に感じられる
ただ、ページ数の制約があったのかどうかはわからないが、物語の分量が絶対的に小さいのが勿体ない。登場人物一人一人の書き込みを増やし、ガジェットとして多用されている宗教的な事柄の背景を強く持ち出すことができれば、更に伝奇ホラーの傑作としての度合いが高まったようにも感じられる。(この厚みにこれだけの物語を込めたという点については、それはそれで貴重ではある)。牧野作品には珍しく、後味が良い(といっていいのかどうかは分からないが、主人公の幸福は感じられる)のも、ひとつ特徴として挙げられよう。

とはいっても、牧野テイストをするっと味わうのに適した作品というのが結論。(牧野テイストというならば、やっぱりもう少し伝奇要素を高めても良いような気もするけれど、それを思い切って捨象した点は賛否両論で議論できそうだ)。気軽に手にとってみて頂ければ良いのではないだろうか。


05/03/11
友成純一「魔獣戦線 1990ベルリン」(天山ノベルス'90)

友成純一のシリーズ作品の一つに「淫獣軍団」とも「武装警察」とも「権藤&今村」とも呼ばれるシリーズがある。(あるのよ)。そのシリーズの途中で刊行された作品ながら「武装警察」設立秘話ともいえる作品内の時期的には最初期にあたるのが本作。

欧州の緊張緩和のなか、東西ドイツの統一が間近に迫っている時代、東ドイツの経済界の重鎮にして、東西ドイツ統一の推進派VIPのルーカス・クレーマー氏が来日した。日本だけでなく海外からもテロリストの魔の手が伸びる可能性があるとあって警察は強固な警備を実施したが、クレーマー氏の乗った車は、帝国ホテルの側である方法でテロリストによって爆破されてしまい、彼の持っていた重要書類が奪われる事件が発生。この事件を機に警視庁刑事部の藤田部長は武装警察の必要性をマスコミに問いかける。藤田は警視庁の秘蔵っ子(?)である武骨な権藤太郎と、交通課出身の今村喜美恵の二人をベルリンに派遣することにし、テロリスト逮捕を命ずる。一連の動きの裏側には、欧州を牛耳るアトラスなる組織と、そのアトラスから離脱したノアという武装グループの存在があった。アトラスの下部構成員でもある東独警察のグィドが、手伝いのためにベルリンで二人を迎える。しかし続いて、フランスの上院議員・ゴーチェがベルリンで暗殺される事件が発生してしまう。

……なんだ、これは。あまりにも普通のポリティカル・アクション? エロ抜き友成小説が存在するという驚き
冒頭の、東独VIPの暗殺シーン。この場面のオバカぶりで友成作品らしいな、とまずニヤリとした。なんたってSFアクション映画の公開に伴う混雑にまみれ、その映画に登場するキャラクタの扮装をしたテロリストが、そのまま現実の銃や対戦車ミサイル弾を使って暗殺活動を行い、かつその扮装自体が武装となっている……というあたり。まあ、あり得ない話ではないけれどこういった発想を大真面目に描かれている点、友成作品ならではの面白さである。
……だが。その後の展開がどうも「らしくない」のである。一方で、世界をまたにかける謎の組織やその対抗として存在するテログループなど、真っ正面からの国際政治スリラーとしてはちょっと甘さを感じる設定ではあるものの、物語全体としての破綻が無い。むしろ、敵のテロリスト集団にせよ、アクションシーンにせよ、その後施されるテロの場面にしろ、それほど違和感のある展開がなく、まっとうな人間同士の戦いとして描かれている。……このこと自体、ある程度友成作品を読まれている方であれば、かなりの驚きだと思うのだがどうだろう。
人間の特殊能力や化け物、超能力の類が登場しないだけで結構驚きながら、いわゆる濡れ場も全くない。暴力的なシーンについても無いとはいえないながら、控えめ(友成作品にしては)な表現に留まっている。今村があっさり女性テロリストをヘリから突き落としてしまう場面が少し浮いているくらいである。いや……、そうでもないか。

こういった小説も友成作品のなかにある、ということ自体が最大の驚きであった。 しかも、小説として真っ向から読んで、発端があり山があり、谷があり、オチがありと普通に面白い。この作品だけを読んで一連の友成作品の面白さが分かるか、というとちょい疑問だが(普通すぎるし)、他の友成作品を読まれている人にとっては、異色作として必読かも。