MISCELLANEOUS WRITINGS
MISCELLANEOUS WRITINGS 今月の雑文


過去の雑文たち
05/07/29
・時間がない。

本格ミステリ作家クラブ(編)「本格ミステリ05」(講談社ノベルス'05) その4

伯方雪日『覆面(マスク)』(初出:『誰もわたしを倒せない』東京創元社ミステリ・フロンティア 2004年5月)
 プロレスにとっての聖地・後楽園ホールの側でナイフに刺されて死亡した男の死体が発見された。ジャージ姿で服装に特徴はなく、ただ筋肉質の体つき、そして髪の毛の後ろの方が切り取られていた。プロレスファンでもある刑事・三瓶は、その男が新東京革命プロレスリングに所属するマスクマン・カタナではないかと主張する。カタナはプロレスであるルチャと、真剣勝負(ガチンコ)であるヴァリー・トゥードの両方をこなし華々しく話題を攫ったところであった。

 この作品も単行本で既読。(『誰もわたしを倒せない』はトータルで読む作品だと思うので、未読の方は単行本がお勧め)。本作の場合は、確かに本格としての方法論を採っているとはいえ、発しているのは格闘技に対する”熱い思い”の方ではないかと感じている。プロレスとは、真剣勝負とは。現代の格闘技界が抱える問題が押しつけがましくなく、一般人にも判るようひそやかに示される。また、ある人物の過去のエピソードを積み重ね、人間描写の奥行きを持たせたと思えば、それが伏線であったりする。ただ、探偵小説の時代から脈々と積み重ねられてきた方法が、自然なかたちで現代にも応用できる(特に、この世界においては)という点を示したという点で特徴的であるといえるだろう。


05/07/27
・不慮の出張で一晩を喪ってしまった……。

本格ミステリ作家クラブ(編)「本格ミステリ05」(講談社ノベルス'05) その3

竹本健治『騒がしい密室』(初出:「ジャーロ」2004春号〜夏号)
 化学部所属の津島海人(うみひと)は剣道部の一年先輩・武藤類子に恋い焦がれている。化学部の先輩と武藤先輩が幼馴染みという縁で彼女も最近、化学部に出入りしている。そんななかアニメ番組の録画中に全校に向けたテレビ放送がいきなり開始された。一年の春山成美が思い詰めた表情で画面に登場、t.uとイニシャルの書かれた傘を持って「ウミヒト君」と呼びかけてきたのだ。津島には心当たりが全くない。慌てて放送室に駆け付けた彼らだったが、鍵がかかっており、マスターキーで開けられた部屋からは強烈なハウリング音と、そして刃物で刺されて死亡している春山成美の姿があった……。

 本作は初読。ゲーム三部作等で知られる牧場智久&武藤類子が登場するシリーズの新作にあたる作品。(アイデアは竹本氏と、故・東海洋士氏、さらに千街晶之氏と福井健太氏の合作によるものらしい)。 学園内にて発生した密室殺人、心当たりのない放送内容、自殺と一旦処理された事件は武藤類子によって他殺と判断され……と、放送の部分を除くとオーソドックスな密室ものの短編だといえるだろう。その密室事件の解決もすっきりしており美しいが、さらに美しいと思われるのは徹底的にシンプルを貫く描写のなかに、ごく自然に伏線を織り込んでいる点であろう。ほんのちょっと脇にそれたエピソード(にもならない形容的表現)のなかに、真相の鍵がしっかりと隠されている。奇しくも”鍵”がこの密室のテーマではあるが、本来的な意味での本格ミステリの無駄のない美しさが堪能できた。ダミーの解決策があり、それが結果的に否定されるものの、きちんと論理の筋が一本すっと通っている点もミステリに対する美学を感じさせてくれる。


05/07/25
・果たして締切に間に合うのか?

本格ミステリ作家クラブ(編)「本格ミステリ05」(講談社ノベルス'05) その2

山口雅也『黄昏時に鬼たちは』(初出:「小説トリッパー」2004春季号)
 雑居ビルの谷間のじめじめした路地の奥。空色のゴミバケツの蓋からスニーカーの足先が覗いていた。長髪のむさくるしい頭をした青年は頭を殴られた傷が致命傷となり既に絶命していた。死体の携帯にかかってきた電話をきっかけに、彼が東都大学生を中心に行われた大掛かりな隠れん坊大会に参加していた、《オサル》と名乗る引き籠もり青年であることが発覚する。引き籠もりを中心としたそのイベントのなかに犯人が……?

 本作も既に単行本『PLAY』に収録されている一編で、個人的には読了済み。(この作品集からなら『蛇と梯子』の方が……とも思ったが本格の観点からするとこちらか)。改めて独立した作品として読むと、ミスリーディングに優れた作品だといえそうだ。大掛かりな隠れん坊という主題に隠れがちだが、効果的な独白と成人に向けたイニシエーションといった解説を作中人物に語らせることによって、メインとなるトリックを巧みに物語の底に沈めている。特に一般的な常識(というか思い込み)を真実追求の妨げにしてしまう技巧が見事。真相に関するサプライズも大きい。山口雅也らしい世界観の構築が短編ながら綺麗であり、その世界観と溶け合ったトリックとのコラボレーションが楽しめる作品である。


05/07/21
・レビューするとか偉そうなことを言った舌の根も乾かぬうちにお休みを頂き、今日はお知らせ。あまり日がない週末イベントですがご注目。

「MYSREC 2005 in 東京」参加受付中! ぎりぎりまで間に合うようですよ! 今回は日中イベントなのでMYSCONは泊まりだから……ということで参加を遠慮されていた方、ご決断を! (わたしは行けないので、せめて告知で罪滅ぼし)

・もう一つ。神田愛山さんが来阪! ということで名探偵ナンコではなく今回は「講談探偵倶楽部」に。東京ほかで開催している大阪版になるのかな。それにしても、遂にガニラが最終回。 一年半かけて発表されてきただけに、これは見逃せない。果たしてガニラはどうなるのか? (と言いつつ、所用があって、こちらの参加も微妙〜)

第4回『講談探偵倶楽部』〜『名探偵ナンコ』番外篇〜

 日時/7月24日(日) 開場/18:00 開演/18:30
 会場/本遇寺
 料金/当日2000円

 出演/旭堂南湖「探偵講談・長講 魔術師 第三章」(原作・江戸川乱歩)
 「講談紙芝居・原子怪物ガニラ 大団円」(作画・左久良五郎)
 特別ゲスト・神田愛山(江戸講談)「あのときの男」(作・神田愛山)「骨の音」(原作・結城昌治)
 ゲスト・芦辺拓(作家)「座談会・探偵講談と探偵小説あれこれ」

・あと何やら南湖さんから重大な発表があるとか。「実は旭堂南湖は十九歳だった!」<それは十代な発表。オソマツ。


05/07/20
・政宗さんのところで、今年も「2005インターネットで選ぶ本格ミステリ短編ベスト」が開催されている。昨年もこちらには投票した記憶があって……ってはいはい、去年の分ももちろん、ちゃんと記録が残っている投票している。我ながら偉そうなこと書いたなあ。 ……さて、締切まであと僅か、今年はどうすべえ……と考えて、先日政宗さんの顔を拝見する機会があって、これは投票する方向で検討している、と言ってしまった。いや別に後悔なぞしとりませんよ。ほんとほんと。とはいえ、投票の資格を得るためには読む必要がある。備忘録代わり、どうせ読むなら一編一編レビューにしてみる。(もちろん、これから投票する人の妨げにならぬよう注意しなければならない)。

本格ミステリ作家クラブ(編)「本格ミステリ05」(講談社ノベルス'05) その1

小林泰三『大きな森の小さな密室』(初出:「ミステリーズ!」2003冬号〜2004春号)
 最寄りのバス停から一時間。金貸し・蓮井錬治の別荘は森の奥深くにあった。居間にいるのは男女四人。派手な化粧の女性、中小企業の社長、会社のお使いで手形を持参する若い女性、そして錬治にパソコンを売りつけようというかなり年輩の男性。一人、錬治と相談していた男が部屋から出てきた。次の順番だった女性がいうには、これから錬治の昼食時間のため、相談は一時間後になるという。彼らはそれぞれ森や別荘で時間を潰すのだが、その間に錬治は密室で殺害されて……。

 『ミステリーズ!』にて連載企画となっている犯人当て懸賞小説シリーズのうちの一編。作品そのものは再読になるが、改めて読むに特に前半部、ヒントを出し過ぎないよう、それでいてフェアプレイとなるよう慎重かつ丁寧に描写される伏線の加減が素晴らしい。密室トリックそのものにオリジナリティがないながら、論理(ロジック)による解決が鮮やか。また、細やかな台詞や行動にこれだけ伏線を綺麗に張るのは並大抵のことではないはずだが、小林泰三氏は本格ミステリではなく、本来はSF畑の作家。だが、傑作『密室・殺人』の著者でもある。ハードSF小説を創造する手法(と計算)が、意外と本格ミステリと親和性を持つものなのかな、と益体のないことまで考えてしまった。


05/07/18
・関西圏の電車で吊り広告をみて思ったネタ。 これまた別に行く気があって取り上げる話ではないのだけれど、エキスポランドの今年のお化け屋敷は犬神家の一族。ちなみに去年は「八つ墓村」。まあ、なんというか。違和感。やっぱりこちらとしては、ミステリとして横溝作品を捉えるんで、「人が演じる幽霊屋敷」といわれても、supernaturalな要素なんてないよなー、と思うわけだ。これが「人が演じる残酷絵図」であるならば、まあ、理解もしようがあるわけなのだが。一般的には、いわゆるお化けとヨコセイ探偵小説なんかは同義なの? 角川映画のポスターの刷り込み効果なのかもしれない……とかも考えるが、やはり結局のところ理解できない。

「斧・琴・菊、家宝にかけて呪ってやる・・・」 というキャッチコピーもある意味、かなり凄いと思う。ヨキコトキクはとにかく、「家宝にかけて呪ってやる」なんて言ってましたっけ。(あるかもしれないけれど、あまり記憶にない……というか、「じっちゃんの名にかけて呪ってやる」というフレーズが頭に浮かんだ)。個人的には、別の場面の「佐清、頭巾をとっておやり!」 の方が迫力という点では勝っているように思う。

こちらは、その「犬神家の一族」のイメージが掲載されているもの。ここにある一連のイラストは、サイトの意図とは別の意味で非常に良い味が出ている。佐武の表情や、オーラを発する佐兵衛翁に注目。


05/07/17
土曜日の某集まり=何の意味もないオフ会in大阪。 政宗九さんと葉山響さんが大阪で飲まれるということに便乗、途中から参加してきました。他、安眠練炭さんであるとか、嵐山薫さん、朱鷺野耕一さん、そして小生初対面の石野休日さんというメンバー。そうそう濃いというほど……まあ、薄くはないけれど、引かれる程ひどく濃いわけではない……と思うのだけれどどうだろう?

・ミステリ者らしく会場はお初天神通の本陣。個室に陣取る野郎七人。『クドリャフカの順番』が課題図書とか決めつけていたものの(実際はそういう事実はなかったにも関わらず、みんな読んでたけれど) 特に米澤穂信ネタばかりというわけではなく、課題図書的には『ニッポン硬貨の謎』の方が意味合い的には大きかったような。テーマはいろいろ話題はあちこちを飛び回る。わたしが到着した段階での話題は、吉祥寺の某書店アルバイトの人は、現在どのような立場なのか? という分かる人にしか分からない話をしており、いやいやあの方はフリー編集者になってからが凄いんです……中町信、坂木司……某社では関田涙が大流行(ちょっとニュアンスは違うかも)だとか、クイーン、本格推理の○○○○だとか、大谷羊太郎絶賛だとか、MYSCON世代とか、桜庭一樹が……と、個人的にはあまり話の聞けないラノベ系統のお話がいろいろあってなかなか刺激的でした。特に本屋さんならではのラノベ商売のお話は興味深い。あと、この場では「古典」のお話の結論が出た(多分)。

・二次会も場所をそのまま移して、えんえんとそういったお話。浅暮さんの『実験小説 ぬ』が傑作だとか、『探偵伯爵と僕』って実は……とか。あと、本格の読者が信じられない……という台詞は重かったですが。まあ、なんというかちょうどエンターテインメント出版の潮流がいろいろ変化を遂げているど真ん中に今があるということなのかもしれません(直截に書くとかなり語弊があるんで、かなり柔らかな言い方に直してます)。

・ということで幹事の政宗さん、お疲れさまでした。おかげさまで日頃のいろいろをハッサンさせて頂きました。


05/07/14
・直木賞は朱川湊人さんになったようで。おめでとうございますー。まだ『花まんま』読めてません。手元にあるので近く読みます。いやいや、それと死ぬまでには家の中にある本を読み尽くす予定です。(話が違うという説あり)。

・土曜日の某集まりに備え、恐らく必読であろう米澤穂信『クドリャフカの順番』を購入して(つまりはまだ読めていない)、はたと気付く。「古典部」シリーズ、第二作の『愚者のエンドロール』を読んでいないではないか。これではカンヤ祭が楽しめないのでは……と、再び本屋に行って、角川文庫の同書を購入。一気読み。まあ、恐らくは米澤ファンにとっては、よくある光景ってことで。でも、クドリャフカという言葉は、リアル読み中の『ベルカ、吠えないのか?』にも出てきた単語だな……と、ふと思う。

・下で紹介した『姑獲鳥の夏』の冒頭シーンをネットで観た。眩暈坂って、もう少し急な坂道という印象があったのだけれども。意外と平坦だった印象。あと京極堂って書庫に二階があったっけか。


05/07/13
・自分メモ。7月14日の昼から15日の昼にかけて、Yahoo!ムービーにて映画『姑獲鳥の夏』の冒頭十分間が見られるらしい。とはいっても、翌日には普通に公開される訳なんですけれどね。

・近く映画化される『夜のピクニック』のエキストラの募集やってます。しかし、条件が(わたし的には)厳しそうだ。内容が内容だけに体力が要りそうだし。


05/07/12
・もの凄く久々に復活。更新のネタに、e-NOVELS書評を数ヶ月ぶりに書いてみました。

久美沙織「HOME AND AWAY 黄昏ホテルシリーズ第12回」  e-NOVELS 定価100円(税込)21P 491KB 販売ページ

 久美沙織さんはジュニア小説でデビュー後、ティーンズ小説やゲームのノベライズ、一般小説など幅広い分野の著作を持つ実力派。代表作は『ドラゴンファーム』シリーズや『丘の上のミッキー』シリーズになるのだろうが、小説家志望者に向けたガイドブック『新人賞の獲り方おしえます』あたりも有名。

 「五時になったら飲もう」……外科医の石橋は滞在しているホテルに備え付けてあるミニボトルに手を伸ばす。また夜明けを見てしまった。うっすらと明るんでゆこうとする空と海。五時といっても朝の五時。そして石橋の手の震えは止まらない。
 二ヶ月前に届いた差出人に心当たりのない手紙。そこには医者である自分の師にあたる人物の、娘から届けられたメッセージがあった。娘の二十二歳になる子供、つまりは師の孫が重い心臓病にかかり、人工弁を体内に埋め込むのではなく、また運動ができるよう手術を希望しているのだという。非常に難易度の高い心臓病手術。成功するかどうかは分からない。その病気は、そもそも師の専門分野であるのだが、高齢過ぎて執刀はできないのだろう。師のもとを飛び出して世界中で医者としての修業を積んできた石橋のもとに話が巡ってきたのだった。しかし、石橋には過去の師の発言に反発して飛び出したという屈託があった。そして手の震え。果たして手術に向かうべきなのかどうか。石橋は何気なく、テレビのスイッチを入れた。そこでは海外でのサッカーの試合中継が放映されていた……。

大きなことを託された男の緊張、そして葛藤。短い時間を濃密に描いて心情の変化を着実に映す……
 まず最初にお断りしておくが、ここまでの「黄昏ホテル」シリーズに多かったミステリ系統の作品ではない。また、もう一つ傾向として使われる傾向の高かったホラー系統の作品でもない。舞台となるのは確かに黄昏ホテルらしい(明記はない)部屋のなか。そこで一人で葛藤する男の心理が絶妙の筆致で描かれている「小説」なのだ。

この書評の続きはこちらへ!


05/07/10
・ああ、情報そのものを知ったのが更新当日、さらに平日夕方となると行くに行けない……。菅浩江さんの特別講演。関西ならではのチャンスだったのだけれども。あ、しかも今日は泊まりの出張だった。

・一週末を超えたものの、懸案があまり片づかない。privateでPCに向かえる時間が限られているなか、飛んできた蚊と戦うのに忙殺されてはなおいけない。あ、この! このやろ!  ……くそー、また逃げられたか。しかし気になる。刺されたトコ痒いし。(こうやって貴重な時間が減っていく)。


05/07/09
・ちょっと古い記事ですが、ハリ・ポタ発掘は8歳の女の子 ハリポタが刊行され、ベストセラーに至るまでにいろいろ苦労話があったことは有名。幾つもの出版社をたらい回しにされたとか、作者が苦労を重ねていたとか。ブルームズベリー社はラッキー、さらにこれはこれで良い話なわけですが、こういうエピソードが明かされると、他の原稿を受け取って断った出版社八社の担当者は肩身が狭いだろうなあ……とか勘ぐってしまった。「お前の能力は八歳以下だ!」とか言われていそうで。

「Amazon.co.jp カスタマーズ・チョイス。「これまで、作家や出版業界関係者が選考する賞は多く見られましたが、書籍の最終的な受け取り手である「読者」の反応を基準にした賞は、なかなか見当たりませんでした。本賞はAmazon.co.jpでの売り上げや、お客様のアクセス傾向をもとに、客観的に受賞作を決定する、きわめて読者よりのセレクションです。」なんだそうだ。試みとしてはなるほどなあ、とも思わないでもないけれど、なんというか、既に売れている本・作家をわざわざ追認するだけじゃないの? と思わないでもない。amazonだけじゃなくて、bk1など他のネット書店や、実際の大手書店なんかが共同して実施するのであれば、もう少し権威と意義が出そうなんだけど。


05/07/06
・毎日更新! と心だけは気合いが入っているのだが、物理的な時間不足だけはどうにもならない。昨日で力尽きているし。さらに文章が微妙に短い点は御容赦。

暑い、夏だ、新潮文庫の百冊だ! ということで新刊書店に出向いて、今年の冊子を頂いてきました。改めてラインナップをみて思ったこと。名作や海外文学については取り立てて今さらいうことはないものの……、現代文学をもっと気合いを入れて文庫化しないといけないんじゃないの? という疑問。 今まで売れている作品を実績重視で無条件に百冊に組み込んでいるように思えるのだけれど……。つまり新潮文庫のなかだけではこんなもんかもしれない。だけど、毎年百冊を選ぶにはあまりにも母体が偏っているのではないか?

・繰り返すと、今回のセレクト中身について異論があるわけではないです。ただ、代わり映えというか、セレクトに対する気合いとか冒険というのがあまり感じられないのですよ。売れている作家のそこそこ売れている作品を並べるだけで、本当に意味があるのかどうか。かくいうわたくしも百冊全部読んでいるわけではないのですが。


05/07/04
・それはそうと、今日は名古屋某所に行っていた。一ヶ月ほど前、同じ場所を訪問した時に帰り道にて陥ったミステリー体験の謎を、今回自力で解き明かすことができた。ミステリー、それは自信を持って某駅まで歩いていた筈が、いつの間にか予想していなかった駅に着いてしまったというもの。はい、他愛ないですね。

・……って、結論からいえば、単に目的地から出てきた出口が入り口と方向が異なっていた、というだけのことなんですけどね。加えて、その街をよく知らないがゆえに方向誤認したまま歩いていただけ。よく知らない街並み、太陽の出ていない時間帯、十字に御行儀よく並んだ街路、それに加えてわたしの認識力不足という様々な要素がミステリーを醸し出していたのだ! (それほど大袈裟なことか?) そして何よりもこの謎を深めたのは、あまりにも名古屋の中心地にすぎるために「駅どっちですか?」という素朴な疑問をわたしが照れて誰にもぶつけることが出来なかったことにある。ああ、情けない。

MYSREC、募集開始日程が決定! 7月6日22:00〜


05/07/03
・一部で告知が出ていますが、あの『幻の猫』の伊藤人譽氏の新作が、再び 龜鳴屋さんから刊行されるようです。『馬込の家 室生犀星断章』 室生犀星に関するエッセイ集の模様で、相変わらず装幀に手がかかっていることは写真をみればひと目で判るもの。正直なところをいえば、続編としては小説集を期待していたところなので、個人的に購入に至るかは微妙、かな。

MYSREC開催日決定! 7月23日(土)!


05/07/02
・暑い。夏だ。夏で読書といえば、昔から新潮文庫の百冊だ。(強引な繋ぎ)。

・今年のラインナップはそろそろ本屋に出回るのだろうが、どれくらい前から続いているもんだろう……とふと思ったら、どうやら1961年に新潮社の夏のキャンペーンとして百冊選ばれるところから開始され、1969年より「新潮文庫ベスト100」と名前が変わり、さらに1976年から現在の「新潮文庫の百冊」という形式になったらしい。

・いや、なぜこんなことを急に調べてみたかというと、何となく「新潮文庫の百冊って、紅白歌合戦とどこか近いよなー」とか、考えたから。名作と新作、物故作家から若い作家までが一つの枠組みに集められ、一斉に本屋に並べられる夏の祭典。このタイミングで絶版から復刊する作品もあるだろうし、増刷される作品もあるだろう。百冊の常連作家が時代と共に消えてゆき、人気作家が新たに常連として加わっていく……という流れなぞ、まさに紅白歌合戦そのものではないか。(まあ、厳密には違うけれど、最近の紅白の傾向ってこんな感じじゃないですか)。

・いや、そういう意味では、、芥川龍之介(連続34回目)、井上ひさし(96年以来8年ぶり24回目)といった感じで、出場回数(?)も何かに記載してあったりすると面白いのになあ……とか思って調べてみると、既に過去の新潮文庫の百冊を徹底的に調べていらっしゃるサイトを見つけてしまった。見せ方には一工夫の余地がありそうですが、とにかく資料的価値が高いですね。素晴らしい。


05/06/29
・生きてます。先週末には上京して某所で迎撃オフなぞを開いて頂きました。参加頂いた方、どうもありがとうございました。

・ということで、少しずつリハビリ(インターネットの)を開始。某SNSの内部活動はとにかく、普通の巡回すらサボりまくっていたわたしは浦島太郎にして過去の人。問題はネット断ちの要因そのものがまだ片づいたとはいえないこと。もう少しなので頑張ります。

MYSCON発の新プロジェクト「MYSREC 2005(仮)」がMYSRECが始動。何なの? という疑問もありましょうが、わたくしの持っているイメージでは、MYSCONでもお馴染みだったいわゆる「全体企画」のような、ミステリ系の遊び心のあるゲームを中心としたイベント。もう一つのポイントは、以前に「プレMYSCON」というかたちで実行したように、イベントを日中に開催することで、泊まりの参加が難しかった人や宿泊に抵抗のあった方にも気軽に参加してもらおうという意図があるかな。その反面、地方からは参加しづらいという問題があるのは、とりあえず予告されている大阪開催の是非次第。このイベントの代表を務めるのは、近田鳶迩くんです。 ……そろそろハコ決めないといけないのでは? などとも思ってみたり。少なくとも東京開催についてはわたくしは関与しておりませんが、スタッフのベースはMYSCONから出ていることですし、面白いイベントになることは間違いないと思われます。

・しかし、この空白期間で一ついえることは、レビューやそれに類するものは「読んですぐ」書かないとツライということですね。大量の古い本を再読含めやたら読んだものの、評自体をサイトに残すのは諦めざるを得ない感じ。


05/06/10
・当初の予定ではこの時期にはもうバリバリとサイト更新を復活させている予定だったんですが、小生の能力の無さゆえ、もうしばらくばたばたしそうなので定期更新が復活するまで今暫くご猶予下さい。なんとか今月中には。

・最終更新のまま、ずっと掲示していた「名探偵ナンコ」には行きました(ガニラ未だ完結せず! しかし次回大団円の予定とか)。笑福亭たまさんのミステリ落語の異常なハイテンションが凄かった。あと、関ミスの乾くるみ講演会はかなり行く気満々だったものの、直前になって所用にて行けなくなってしまいました。こちらは申し訳ないです。楽しみにしていたんですが……。

・6月25日に京都・花園大学で行われる喜国雅彦さんと日下三蔵さんの講演会、こちらもタイミング悪く入れ違ってしまう見込み(その日は上京していそう)なので聴きに行けない模様。まあ、あくまで何となくですが「古本者の日常会話」的な講演の内容が想像できてしまうという……。だからこそ余計に聴きたかったかも。

・そういえば、この間に日本のW杯出場も決まったんだ。これはこれでいろいろ書きたいこともあるけれど。


05/05/21
・告知が遅れてしまったけれど。 明日だ!

第23回『名探偵ナンコ』〜よみがえれ!探偵講談〜(奇数月第4日曜日開催)
会場/本遇寺(JR東西線「新福島」・ 阪神「福島」下車、地下鉄2番出口から徒歩5分。JR環状線「福島」下車徒歩10分。福島区福島3-7-38)
開場/18:00 開演/18:30
料金/当日1500円
出演/旭堂南湖「探偵講談・長講 魔術師 第二章」(原作・江戸川乱歩)、「講談紙芝居・原子怪物ガニラ8」(作画・左久良五郎)
特別出演/笑福亭たま「ミステリ落語・BE KILLED」
ゲスト・芦辺拓(作家)「対談・探偵講談と探偵小説あれこれ」

・前回、小生行けなかったんですが……。ガニラってまだ終わっていなかったのか!(嬉)


05/05/17
・十日ぶりに浮上。プライバシー保護法が制定されてもまだ発表され続ける高額納税者番付。もともと密告奨励のために作られた制度だということも驚きだが、いずれ発表自体が止めになる可能性も高い。まあ、発表されてしまえば正直興味本位なれど、作家部門についてはやはり興味があって。去年のこの時期に同じネタで日記を書いたので、今年も引き続き記録を残しておく。

・今年のランキング。

   2004年度
 1位 西村京太郎
 2位 片山恭一
 3位 村上春樹
 4位 養老孟司
 5位 浅田次郎
 6位 内田康夫
 7位 宮部みゆき
 8位 赤川次郎
 9位 江國香織
 10位 市川拓司

・ちなみに去年のランキング。

   2003年度
 1位 西村京太郎
 2位 内田康夫
 3位 養老孟司
 4位 宮部みゆき
 5位 村上春樹
 6位 片山恭一
 7位 浅田次郎
 8位 赤川次郎
 9位 横山秀夫
 10位 東野圭吾

・あくまで何となく……だけれども。西村京太郎さんがずっとトップという点は凄いが、それ以外のところでは近年になく恋愛小説系の作家が目立つように感じられる。つまりはミステリ系作家がベスト10から外れているということ。暦年における納税の絶対金額を確認していないので何ともいえないながら、ミステリが徐々に退潮の傾向にある可能性もある。ただ、ベストセラー作家全体の売上が底上げされているのであれば、それはそれで喜ばしいことなのだが。果たして。


05/05/07
・「MYSCON6は4/2〜3開催!」 なんてお知らせをずっとくっつけていたことに気付かなかったので、一ヶ月以上経過してから削除。……だけでは寂しいので。

・ふと、思いついた話。昨日まで、並行して五冊の本を読みかけていて、うち二冊を続けて読了して、現在読みさしを三冊まで減らした。ちなみに、残り三冊の内訳は、一冊は通勤用、二冊はキッチン常備で換気扇の下でタバコを吸う時(涙)に三分ずつ読む用、もう一冊はPCの前に置いてあって、パソコンの息抜き(パソコン自体が息抜きのような気もするけれど)用。基本的には、どんなつまらない本でも(その場合は飛ばし読みになることはあっても)、最後まで読むことは読むので、わたしの場合読みさしのまま放り出すことはあまりない。ただ、人の話を聞いていると、途中まで読んで読むのを止めたとか、ある本を途中まで読んで、つまらないので別の本を読み出すとか、世間的に同じ読書家にカテゴライズされる人でも、いろいろあるような気がする。

・あと、読みかけのまま中断すると、そこまでのストーリーを思い出すのに時間がかかったりする問題もあるわけで。皆さん、果たしてどんなスタイルで読書をされているのだろう……などと、ちょっと考える。(一番効率の良い読み方はどうするのが一番なのか?) もちろん、この話に結論も正解もない。


05/05/04
・一部にご心配をお掛けしているようですのでちょこっと浮上。尼崎の事故は自宅から数キロの地点で発生しましたので大騒ぎで、生活に影響も少なからずありますが、わたし自身、及び周辺には特に何ともありません。更新が滞っているのとは無関係です。ご心配をお掛け致しまして申し訳ございません。

・連休中はまあいろいろと。一つ、棚の本を浚える(なんかサルベージという言葉がよく似合う)機会があって。所有していると思い込んでいた本を実は処分していたというものが多数あることを発見。著作を集めている幾人かの作家について、その集めるかどうしようかという段階で入手していた本を、何かの機会に売り払っていて、だけど読了もしているし持っているものと勘違いしていたというケースの模様。

・確かに一時期、レア本だけ持っていれば良くて、古本屋でよく見かける本は処分したこともあったのだけれど、その「よく見かける」がクセ者であることに改めて気付かされた感。つまり、これだけ新刊本が刊行されるとリサイクル系でも普通の古本屋でも、古い本はどんどん駆逐されていくのである。昭和期の作家のみならず、現役作家の2000年以降に刊行された本が版元品切れ、古書店でも見あたらない……というケースがどんどん増えている。例えば高木彬光。ある本を探したのだけれど、そもそもあれほど数のあった角川文庫を古書価が付く店以外でほとんど見かけなくなった。四、五年の差が命取りになるようだ。果たしてこれにはどう対処すれば良いのか。蔵でも建てるか……(どこに?)

・以前、フライングして御迷惑をお掛けしましたが、あの桜庭一樹さんがミステリ・フロンティアに執筆を予定されているようです。


05/04/26
・どちらかといえば公私の”私”の方が忙しく、本も熱心に読んでパソコンに向かっている時間も少なくないながらあまり更新時間が取れません。たぶん五月いっぱいくらいまで思い出したようなペースで更新することになると思います。来てくださる方には誠に申し訳ないです。

・雑感。大阪梅田近辺(といっても少々範囲は広いけれど)には、日本を代表する主要書店チェーンの基幹店が幾つかあって、現役の文庫本を探すために何軒か回った。そりゃネットで注文すれば早いことは判っているのだが。

・ミステリ界隈では人気作家のはずの、過去の何冊か――なのだが、結果としてはどの書店にも置いてなかった。その作家の棚ばかり見てきたので気付いたのだが、やはり版を重ねた人気作と近年の作品数冊しか置かれていないケースが多い。かといって、本屋の棚には溢れんばかりに本が並んでいて、田舎の巨大本屋のように同じタイトルの本が複数冊並べられている訳でもない。

・本、出過ぎ。

・という点は置いておいて、オンライン書店の倉庫がそのまま本屋になっていればいいなあ、とか少し思った。現実には絶対無理なんでしょうけれど。


05/04/22
・MYSCONオークションで沢山本を購入させて頂いた余韻が徐々に薄れてきて、禁断症状が出てきたので何軒か古本屋を回る。うち一軒、訪れるのが何回目かなのだが、相変わらず仕事熱心な店がある。某駅からは近いが、とあるショッピングセンターのなかで目立たず営業しており、あまり品揃えの回転が宜しくない。本の量はそれなりにある。ただ、その”仕事熱心”が、恐らく専門知識と裁量権の全くない、パートのおばちゃんに支えられているところがポイント。とにかく融通が利かないというかなんというか。どんなに古びていて、どんなに本の状態が悪くても、全ての本に定価の半額という値付けを律儀に守っているのである。そのかわり、本はレーベルごとに整然と並べられている。

・新刊に近い書物が定価の半額……というところまでは他の古本屋と同じ。だが、表紙が半分破れていようとも、思いっきりカバーが焼けて題名が判読できなくとも、他の古本屋の百円の値札がそのまま残っていても、全て半額。ちょっと「お?」と思う本があっても、状態がひどく、それでも半額なので購入意欲がさっぱり湧かない。定価1,500円の本なら750円。定価680円の新書版なら340円。定価480円の文庫なら240円。とにかく、半額。うわあ、この本なんて前の古本屋の20円の値付けが残ってるよー、という本にもしっかりと250円の値札が。

・なので、定価320円の風太郎のポケット文春がやはり律儀に160円だったのでそれは購入(ダブりだけど)。あと、一冊気になった城戸禮の春陽文庫、定価140円……、「当然、70円なんだろうな」と思って値札をみれば「100円」。なんか腹が立ったのでそのまま置いてきました。初版だったんだけどな。

・ただ、この店では昔、横溝正史の『獄門島』角川文庫初版を拾ったことがあったのだった。当然定価の半額で。このあたりこの店の前を通るときにスルーし辛い難しいところ。


05/04/17
前売り券で豆本が貰えるらしい。買い忘れそうで仕方がない。しかも前売り券と分冊文庫版で「京極堂」の看板があたるキャンペーンまで。京極夏彦『姑獲鳥の夏』、先の文庫だと厚すぎるという判断なのか、文庫の分冊というのは……。商魂たくましいというかなんというか。どうも映画サイトをみている限り、映画化される『姑獲鳥の夏』だけでなく『魍魎の匣』までもが分冊されるようだし……。


05/04/16
・インフルエンザにかかったり、仕事がばたばたしてきたうえに、突然の上司の横暴により上京が取りやめに。なんか更新するのが久しぶりだー。

・puhipuhiさん出版記念オフはセッティングだけして、大阪から途中、店に電話して関係者に様子を聞くというなんとも抜けた始末と相成る。ただ、会自体は盛況との報を受けて和み、puhipuhiさんはじめ何人かとほんの少しだけお喋りもした。幹事を肩代わりして下さった石井春生さん、比呂さん、ありがとうございます。

・国産ミステリ系サイトということもあって、本書に関しては思うところを日記にて書くことにした。

レオ・ペルッツ 垂野創一郎 訳「最後の審判の巨匠」(晶文社ミステリ'05)

プラハ生まれのユダヤ系オーストリア人のレオ・ペルッツは戦前に全欧的な人気を博した作家。一九一〇年代から二十年代にかけて発表された代表作に『第三の魔弾』『九時から九時の間』『『ボリバル伯爵』などがあり、各国語に翻訳された。また戦後の一九五三年に発表された『夜毎に石の橋の下で』も傑作と名高い。近年再評価が進んでいる。

1909年のウィーン。”僕”こと、騎兵大尉・フォン・ヨッシュ男爵は、友人のゴルスキ博士の誘いを受け、ヴァイオリンの共同演奏のために落ち目の俳優・ビショーフの自宅を訪れた。ビショーフの妻である美しいディナは、僕のかつての恋人であった。僕はまだディナのことが諦めきれず、未練たらしい態度を取ったうえ、例え夫であろうと彼女に近づく者に敵意を覚えてしまう。一方、演奏を終えての歓談中、ビショーフは役作りのために庭にある四阿に籠もった。そこから聞こえてきた銃声が二発。慌てて関係者が駆け付けたものの、現場は密室状態で、部屋の中ではビショーフが瀕死の状態となって倒れていた。これは自殺に間違いないと思われたが、ディナの弟・フェリックスは僕が犯人ではないかと疑い、”エンジニア”ことゾルグループは「これは殺人だ」と断定し、捜査を開始してしまう。

本格の論理よりも幻想の拡がりに衝撃。奇妙な作中ロジックが幻想ミステリを傑作へと引き立てる
都筑道夫や鮎川哲也の言及によって埋もれた本格として認知されてきた……という歴史的経緯から、本書を本格ミステリとして評価しようとすると愕然とすることになる。実際、登場人物たちの行動はロジカル、冒頭に取り上げられる殺人事件は密室、さらに主人公が自らにかけられた冤罪を晴らそうとする展開に至るまで、いわゆる本格ミステリの要素はてんこ盛り。なので、本格ミステリだと思って読めば、全く展開や筋書きに違和感がない。だが、その解決に至る部分でそれまで想像していなかったようなオチに至ってしまうのだ。この解決を本格ミステリの解決として気持ちよく納得する読者は少ないだろう。

だが、虚心に本書にあたると別の側面がみえてくる。それは一流の幻想小説と本格ミステリとの融合、即ち、幻想ミステリとしての無上の面白さである。先に述べたように、本格ミステリとしての要素がきっちりしており、その展開の一つ一つがかなりロジカルに進められる。主人公自身に関わる問題を主人公自身が認識していないことも含め、ちょっとした手掛かりがきちんと回収されて次のステージへと展開が繋がっているあたりに不満はない。

それが二段階でひっくり返される。”怪物”なる存在が何かを明かされる時、そして、「編者による後記」による真実の暴露――。しかし、そのひっくり返る段階段階で、不思議な満足感を小生は得た。 トランペット赤という不思議な表現にみられる幻想の美しさと恐怖の感覚が染みいってきたこと、そして、この全ての物語が根底から存在意義を否定されるところ。先のものは、純粋に幻想小説としての味わいが、本格ミステリのそれと並列して両立されることによる面白みに繋がっている。つまり、本格ミステリにおいて幻想的な要素が作品内世界における解決理由として十二分に成立している点であり、これは一部の近年の本格ミステリの先駆をなす発想だと思われる。英米ミステリでは考えられないことかもしれない(解説では笑わせて頂きましたが)が、現代本格においては十二分に有り得る方法であろう。一方、「編者による後記」によって作品がひっくり返るこの方法は、ミステリとしてのその効果の程はとにかく、やはり一種のメタ・ミステリの記述方法として有効だと感じられた。

なので、個人的な感覚でいえば「……(ポカーン)……」ということなどなく、古典の時代に描かれながらも、現代ミステリの存在へと繋がる希有な感覚を備えたミステリとして読めた。そして、この当時の風俗などと合わせて興味深く味わうことが出来た。ごちそうさまでした。


05/04/09
・先日、西村京太郎作品を新刊書店で購入する機会があって巻末をぱらぱらと見ていると、西村京太郎記念館が一ページ広告(そもそも広告なのか告知なのかは不明)を出していることに気付いた。東海道線の沿線、神奈川県の温泉、湯河原近辺にある博物館である。改めてWEBサイトを眺めて考えてみるに、「直筆原稿」「サイン入りコーヒーカップ」とか、ファン以外にはあまり役に立つもののような気がしない。観光客誘致に繋がる町おこし村おこしの一環になるのだろうか。んー、だけど面白いかそうでないか実際のところは行ってみてからでないと正確なことはいえませんが。

・ミステリ系の作家で、この手の記念館まであるという方は意外と少ない。(いや、そもそも存在するだけで凄いことなのか?) 有名なところでは、松本清張記念館があるが、乱歩は土蔵があるとはいえ常設の記念館はないし(豊島区が計画はしたものの資金難にて挫折したらしい)、正史についても金田一耕助ミステリー遊歩道があって常設コーナーや疎開宅が残されているようではあるものの、これも記念館には至らない。ベストセラー作家・内田康夫氏には、作者本人ではなく浅見光彦倶楽部があるけれど……。国民的作家という意味では赤川次郎さんあたりならいずれ出来てもおかしくない……かな。しかし現代の作家はワープロ・パソコンでの執筆が基本にだろうから”直筆原稿”なるものは今後ほとんど存在しなくなるのか。サイン入りゲラなんてのも変だし。

・この手の箱ものは、設立に金がかかり維持に金がかかるから、自治体の援助やスポンサーがないことには、そう簡単には作るのは無理。そのハードルを乗り越えて作者名を冠した記念館が設立されるのって、メッタ斬り風にいえば、ノーベル文学賞を狙い得ないエンターテインメント系作家におけるゴールの一つのような気がした。何となく。

・熱心なファンを除く普通のミステリファンの感覚でいえば、近所まで行く機会があれば寄ろうと思うことかもしれない程度で、記念館目当てだけで旅行まで企画するのは実際ちょっと難しいでしょうね。


05/04/06
「MYSCONをおかずにすれば一週間は飯が食える」 (普段は日記に書くネタがなくて困っているミステリ系サイトの管理人でも、MYSCONに参加すれば一週間くらいはするすると更新が出来ることを例えた言葉。例えば「ああ、もうMYSCONから一週間経つのですか、月日の過ぎるのは早いなあ」とか)。

・セルフパロディみたいなもんです。自分のことを指したものですので、お気になさらず。

・「フクさん、最近しょっちゅう上京してないですか?」とMYSCONで複数回尋ねられましたが、実はその通りかも。ということで次回は来週、13日の水曜日。折角なので、こんなことやろうとしてます。 ちょっと開始時間が遅いですが(わたしの都合で)、ご興味のある方はどうぞ。店があんまりいっぱいになるようなら、どこかで締め切ります。


05/04/03
・MYSCON6が無事に終了。参加された皆さま、ゲストで来て頂いた太田忠司先生、企画やヘルパーとして手伝ってくださった参加者の方、インタビュアーを務めて頂いた杉江松恋さんそして、今回から代表として獅子奮迅の活躍をしてくださったshakaさん、そして他のスタッフのみんなにまずは感謝致します。

・あと、職責から解放された反動で今回のMYSCONではかなり飲みが過ぎてしまい、もしかすると一部の方に御迷惑をお掛けしたかもしれないことを、ここでお詫びしておきます。特にソムリエの時。すみませんでした。

・会場の鳳明館森川別館が、あの「H2」のドラマのロケ地として使用されていたと知り、かなり驚いた。

・太田忠司さんのインタビュー、杉江松恋さんインタビュアーぶりが「さすがプロのお仕事」であり、かなり感動。レポートは皆さんにお任せしたい(というか自分ではあまり詳しく書かないつもり)ところながら、全体企画の我が3班のチームワーク(考えてみれば、ここも酔っぱらいチームであった)がいきなり最高だったところが非常に良かった。盛り上がりまくり。いずれMYSCONブログで公開されるものと思うので、その際には是非チェックをお願いしたいところ。

・特に今回は、これまであまりお話をしたことのなかった方を中心に話し込んでいたこともあって、長いお付き合いのなかのお久しぶりの方とかなり話損ねたのが少し残念かも。とはいっても今回は久々徹夜したのに夜は短く朝は早い。あっという間に十数時間が過ぎてしまった。次回、MYSCON7が、今から楽しみです。