MISCELLANEOUS WRITINGS
MISCELLANEOUS WRITINGS 今月の雑文


過去の雑文たち
08/12/30
『まち娘』は、前回好評で、単行本にも収録されている『戯作者の恋』とも同じ、疑似古典風の落語。長屋のハチのところに、長い旅に出ていたクマ五郎が戻ってきた……。ハチ兄は、どこまで行っていたのかと誰何するが、クマはずっと西の方というだけで答えを濁す。それはそうとと久々の再会を喜び、二人は早速飲み屋に繰り出し、お酒を飲み出す。クマは幼い頃の想い出をなんとかハチに思い出させようとしているようだ。そして酩酊して気を喪ったハチが気付いた時、子供の頃によく遊んだ平坂橋の側に辿り着く。赤い着物に赤い帯、赤い櫛に赤い鼻緒の下駄を履いた小さな女の子。お蔦ちゃん。彼女は一文笛をクマから貰った想い出、そして約束を……。(うう、メモがなくてストーリーが途中で曖昧に。全体は覚えております)。

・これまた後で聞いたところ、原作が江戸の話で、田中啓文さんと月亭八天さんとでかなり書き直したらしいのだが、既にすっかり泣ける人情譚として完成している印象。登場する「平坂橋」の「ひらさか」の意味、その時は流していたのですが、後で教えていただいてなるほど、と。八天さんの語り口と物語が合っているのか、しんみりと聴ける落語になっていました。小生の独断ですが、いずれまたどこかで再演されることでしょう。

・で、ハナノベ関連は、この翌週の12月27日にまた「第二回 繁昌亭DEハナシをノベル!」というイベントがあり、それが年内最終版。会場の天馬天神繁昌亭は、近年大阪に出来て話題の常設寄席。こちらでは田中哲弥さん原作『わあわあ言うております』と田中啓文さん原作『残月の譜』という二本が再演。内容は以前に書いているので省略。また、『わあわあ』のお囃子さんはGJでありました。もちろん八天さんの熱演(両方が、特殊なパフォーマンスがある作品だから余計に)を味わって参りました。中入り後のトークではレギュラー作家五人(田中啓文、我孫子武丸、北野勇作、田中哲弥、牧野修)と八天さんが壇上に。ただ、トークそのものの面白さは肩の力が抜けている分、中之島のレギュラー版の方が上です。堪能させていただきました。


08/12/28
・ご存じの方はご存じの通り、今回の『ATM』という作品は昨年の末頃に「異形コレクション」の一冊として刊行されたショートショート集成『ひとにぎりの異形』に収録されている作品が原作。原作の方もあたってみたのだけれど、筋書きとしては同じ。後から聞くに八天さんはATMの標準語と登場人物を関西弁にするギャップに苦労されたとのこと。色々小道具も用意されていたようなのですが、結局使わず。

・実は、生で落語を聞くのは初めてという太田忠司さんと、田中啓文さんとのトークを挟んで中入り。続いて、駆け付けた飯野文彦さんが台上に上がり、これまた田中啓文さんとトーク。前の晩は菊地秀行さんのロフトプラスワンのトークイベントだったそうで(でも朝方は舞台で寝ていたとか)、以前のミステリー・カレッジの時に下ネタを口にすると観客が引きまくったとか、そんな話を経て、八天さん登場。『まち娘』


08/12/23
・劇の方は行く時間が取れませんでしたが、「第16回ハナシをノベル!」に行って参りました。

・今回の演目は予定通り太田忠司さん原作『ATM』飯野文彦さん原作『まち娘』の二作。太田さんは浴衣を着てスタンバイしている一方、飯野文彦さんは来られなくなったと言われていたのが、開演少し前に登場。実は前日のロフトプラス1の菊地秀行さんのイベントに出ていて、朝六時まで飲んでいたため「来るのは無理」のはずが、なんとか辿り着いたとのこと。

・まず桂福矢さんによる「ご祝儀」ということで古典でもある『みかん屋』……だったんですが、かなり落語会としては特殊な客層ということがかなり有名になっているらしく(上方落語を聞き込んでいる猛者の方々とほとんど聞いたことのない方々とが入り交じっているので、何が受けるのか読めないらしい)、最初は緊張されていたようにみえたのが、マクラのテレホンショッピングネタでマーフィー岡田の実演販売ネタが受ける受ける。個人的には「このトマト、まだ切られたことに気付いてない」というくだりにハマった。『みかん屋』もちょい下品を強調しているきらいもあるも、出来は良かったのでは。客席はほどよく温まる。

・そのまま月亭八天さんが登場。次週の繁昌亭の宣伝をしつつ、コンビニATMでチケットの売れ行きが調べられるという話題から、ある落語家さんが家に帰れなくなって自分の独演会のチケットをチケット屋に売った話だとかをマクラに並べ、自然なかたちで本ネタへ。

『ATM』 彼女とデートに向かうため、ATMでお金をおろそうとする若者。いつものように手続きをしようとしたところ、画面の様子が少し違っている。「お待ちいただいている間に、アンケートにお答えいだだけませんか?。「簡単なアンケートです。お答え下さった方には特典として、普通預金の金利を0.1%上乗せさせていただきます」男は、これはいい話じゃないかということで「YES/NO」のボタンのYESを押した。アンケートの最初の方は、下ろした金の使い途を尋ねるものだったのが、段々に男のプライベートに踏み込む質問に、そして何故か彼が今からデートする相手のことまでATMは……。


08/12/19
・融合。明日ですよん。

・ 第16回 落語再生公開堂「ハナシをノベル!!」

 12月20日(土曜日) 18時30分開場 19時開演
 入場料 当日2000円(前売りは事前にメール)
 出演 月亭八天
 助演 桂福矢
 演目  「ATM」(作・太田忠司) 「まち娘」(作・飯野文彦) 飯野文彦、太田忠司、月亭八天、田中啓文氏らによるトークコーナーあります。
 場所 大阪市中央公会堂地下大会議室 地図はこちら。地下鉄御堂筋線・京阪「淀屋橋」駅、さらに「なにわ橋」駅も使用可!


08/12/13
・これも宣伝を頼まれたわけではないのですが。田中啓文さん原作の笑酔亭梅寿(梅駆?)シリーズが舞台化されます。

劇団コーロ公演「ハナシがちがう!」
 開催日:2008年12月19日(金)19時開演、20日(土)14時/19時開演(各30分前開場、全席自由)
 ドーンセンター・ホール 大阪府大阪市中央区大手前1−3−49 TEL:06-6910-8500
 地図 地下鉄・京阪天満橋駅徒歩6分
 チケット:(一般:3,000円(当日3,500円) 子供:2,500円(当日3,000円) )

・ということで、詳しいことはこちらから。


08/12/16
・先日通販の案内をした、皆川博子さんの講演会議事録が掲載の「同志社ミス研機関誌・カメレオン24号」、完売だと関係者の方から伺う。昨日、ようやく本誌を入手できたので中身を拝見。ああ、でもこれはすごい。講演会直後に本サイトで掲載していたレポートとは情報量がちゃいますわ。(きちんとテープ起こしを部員複数名で行ったうえ、皆川さんご本人が手を入れられたそうで、尚更)。いい仕事。関係者の皆様、お疲れさまでした。


08/12/10
・ということで、フジワラヨウコウさんの画ですが、大方の予想通り、いつもお世話になっている「珈琲舎 書肆アラビク」さんにて展示会をした時のものを購入したものです。ちなみに、現在もアラビクには、普段の挿絵や書籍で用いられているCGを使用したものだけではなく、手書きのアクリル画も展示されています。そっちもむちゃくちゃ格好ええんですが、流石にお値段が張りますので手が出ません。

・これからのクリスマスシーズン、彼氏(彼女)の意表を突くプレゼントとしていかがでしょうか。(半分店の回し者ですな、これでは)。


08/12/08
・フジワラヨウコウさんの違う画。同じく、田中啓文さんの永見緋太郎の事件簿シリーズ〈ミステリーズ!〉掲載時のイラスト。短編タイトルは『辛い飴』。こちらはシリーズ二作目の表題作品でもあります。




08/12/05
・フジワラヨウコウさんの画です。田中啓文さんによるミステリ、永見緋太郎の事件簿シリーズの〈ミステリーズ!〉掲載時のイラスト。短編タイトルは『砕けちる褐色』。短編自体は同シリーズの『落下する緑』に収録。うう、格好いいなあ。(写真だと判りにくいと思いますが)。




08/12/02
・これも頼まれていませんが、宣伝のお手伝いなど。

・今年六月にて同志社大学ミステリ研究会主催で開催されました、皆川博子さんの講演会。

・その講演会記録が掲載されている、同志社ミス研機関誌・カメレオン24号が通販されています。行けなかった方で興味がおありの方はご購入を検討されてはいかがでしょうか。

販売ページ等はこちらから。過去に発行されているカメレオンも一部購入可能のようです。


08/11/30
・もう一件、旭堂南湖さんの関連で宣伝のお手伝い。

・来週の週末、12月7日(日曜日)15時〜17時にMBS毎日放送にて放映される『OSAKA漫才ヴィンテージ』という特別番組に南湖さんが司会として登場するそうです。残念ながら題名にもある通り、全国版ではなく関西限定の放送となる模様。ちなみに出演者は「アメリカザリガニ、オードリー、鎌鼬、TKO、サンドウィッチマン、ますだおかだ、のろし、ナイツ、海原やすよともこ、中川家、矢野・兵動、トータルテンボス、フットボールアワー、メッセンジャー、中田カウス・ボタン」と豪華(ということでいいんですよね?)。

・先日の講談の時の情報によれば、南湖さんは講釈師の奇妙な先入観による、すごい格好をさせられているとも。


08/11/27
・『探偵講談』が終わったあと、ゲストの神田京子さんの二席目。講談師、夏は怪談、冬は義士。春と秋とは食いっぱぐれ……ということで、冬にはちょいと早いながら演じてくださったのは『赤穂義士伝 南部坂雪の別れ』の一席。浅野内匠頭の妻で出家したあぐり様の元へ、討ち入り前夜に報告に訪れた大石内蔵助。討ち入りをせかし、日程を明らかにするよう浅はかに迫る元主君の妻に対し、別れを告げる以前に吉良方の間者の存在を恐れる内蔵助は正直には彼女に伝えることが出来ない。内匠頭は一通の書状を残して立ち去るが、その書状が女中の一人に深夜に狙われることになる。その内容は……。

・大変な勘違いですが、赤穂義士伝は何となく上方の専売特許のように思うてました。(実は)。だって赤穂でしょ、関西でしょ。江戸だったら上野の方がむしろ地元じゃないですか……。ま、討ち入りがあったのが江戸だと言ってしまえばそれまでなんですが。ということで上方講談でずっと聴いていた『赤穂義士伝』を、神田流で聞くのはまた新鮮な面白さ。言葉はもちろんなのだけれども、基本的に討ち入りというラストが暗澹とする話であっても明るく楽しいエピソードを中心に語ろうとする上方講談と、真摯に真面目に、大衆が感じた怒りを伝えようとする江戸の講談と。違うよなあ。

・神田京子さま。ナンコの客は反応が鈍くてお気に召さなかったかもしれないですが、決して面白くないと思っていたわけではないです。興味深く拝聴しておりました。(ただ、笑いに対して厳しいという側面はありましょうが)。

・ということで、年内の『名探偵ナンコ』はオシマイ。探偵講談に関しては年内にあと一回、名古屋で『復活!ひつまぶし南湖』(味噌煮込みじゃなくなってます)が開催される予定です。


08/11/26
・さて、今回の探偵講談。イギリスであった実話がベースで当時の講談の常套手段として、日本で起きた、日本人による出来事に翻案されたもの。看板曲芸師(本名、あれ、こっちが芸名だったか。いずれにせよ世界亭東一というらしい)という設定や、その男が悪人らしい悪人である点、さらに後半に至ると仇であることを知らずにその男にお志津が惹かれていく様子にしても、微妙に三文オペラ風になってしまっている。だが、そういったベタな展開の方が、むしろ講談においては向いている印象。対談時に南湖さんが仰っていたが、やはりこの手の作品は何度か繰り返して演じることでポイントが際だって良くなってゆくのだと思われる。あと今回の作品では、その悪人が子どもの頃から飼っていたという犬・アカの存在が際だっており、アクセントとなっていた。アカってえと、原作ではレッドなんていう名前だったのでしょうか。


08/11/25
・続いては、南湖さんによる『初代ブラック 探偵講談』。『探偵講談』とだけパンフにあって「あれ、題名は?」という疑問があったのは最後に芦辺さんが気を利かせてくださり、『軽業武太郎』ないし『竹田武太郎』ないし『軽業師』といった題名であったようだ。

・明治の頃、松本儀兵衛という人物がいた。発明家である特許を取得し、島田という人物と共同で事業化することが約束されていた。今後その事業であがる利益は折半ということで、これまで苦労をかけ続けた娘の志津と共にささやかな祝宴を催していた。既に妻は亡く、前金として松本家には五千円の現金が届けられていた。そんな彼らが寝る準備をしていたところに黒覆面の泥棒が押し入ってきた。泥棒は五千円をつかむと逃げだそうとし、それを阻んだ松本氏を押し倒して逃走。慌てて志津がその覆面男を路地へと追いかける。男は足早に逃走、折しも近くで開かれていた見せ物小屋へと逃げ込むのを志津は認めた。

・志津は楽屋口に入り込もうとしたのだが、小屋の人間が入れまいとするため、仕方なく木戸銭を払って表口から小屋へと入る。そこでは軽業師による見事な曲芸が行われていた。そんななか、小屋の看板曲芸師でもある島田一太郎なる人物が、家へと押し入ってきた人物であると志津は確信する。「泥棒!」と騒ぎ立てるが逆に見咎められて、やはり小屋の人々から追い払われてしまう。すごすごと家に帰った志津の前には、打ち所が悪くそのまま亡くなってしまっている父の遺骸が……。志津は、父親を殺した犯人を捕らえるまでは結婚しないと誓い、島田氏に相談して少なくない金を前借りして復讐の旅へと出る。

・志津が小屋のあったところに戻ってみると既に引き払われた後で誰もいない。しかし彼女は小屋で先日、彼女を咎めた人物が子連れで歩いているのを発見、話を聞こうとする。その男・清兵衛もまた島田一太郎に女房を取られて怨みを持っていたのだった。一太郎が可愛がっていたという犬・アカを発見した彼らは、アカの嗅覚に従って裏町へと赴く。志津は念のため男装していたが、果たしてそこに一太郎と、清兵衛の妻・お種が暮らしていた……。


08/11/24
・この『弥次喜多膝栗毛 三十石』、弥次さん喜多さんが折角伊勢まで来たのだから、京都・大坂を見物してゆこうというお話。京都に向かっててくてく歩いていたものの、山科まで来たところで船に乗れば大坂まで寝ていても着くじゃないかと乗ったのは淀川下りの三十石船。そもそも運搬船の狭い荷台に人々を無理矢理乗せる代物で、ぎゅうぎゅう詰め。狭い船内でじっとしていた弥次喜多だったが、喜多さんがどうにも尿意が我慢できなくなった。しかし船には慣れないので船縁をつかんで外に出すのがどうしても出来ない。

・見かねた御隠居が新品の溲瓶を貸してくれるというので、暗がりのなかそれに用足しをするのだが、たまたま見たことが無かったこともあり囲炉裏の側にあった急須に用を足してしまう……、という展開で、あとはあまりお上品ではない方向に進む。さすがにネタが強烈なだけあって笑えるのだけれども、まあベタな笑いになっちゃうなあ。人によっては苦手な方もいらっしゃるかも……という講談。

・続いて、東京からのゲスト講談師・神田京子さんが登場。小生、ほとんど講談は上方系のものしか聞いていないのでいろいろ違いに驚く。(お客さん少なくてごめんなさい)。最初は普段の活動というか童謡・森のクマさんの講談版とか、英語版・講談・浦島太郎だとかを演じてくださる。(英語版は訳が面白くて個人的にはところどころツボ)。更には短めながら『講談・ジャンヌ・ダルク』。女性による講談を聞くのは初めてではないけれど、そもそもシナリオが女性が講釈する前提で作られており、男性にはない臨場感が興味深い内容でした。


08/11/23
・第43回 名探偵ナンコに行ってきました。今回は、スペシャルゲストとして東京から講談師の神田京子さんを交えての豪華四本建て。神田京子さんは、言わずとしてた(探偵小説的には神田伯龍といえば判りますか)神田一門の女性講釈師。上方には二名ほどいますが、東京では女性の講釈師が多数いらっしゃるとのこと。そういえば、本日は南湖さんの弟弟子である旭堂南青さんがご結婚されたそうでおめでとうございます。

・開演。まずは旭堂南湖さんが一人台上に登り、最近の出来事を踏まえての口上。後で告知しますが十二月にはテレビで司会を務めるそう。そこそこ場が暖まったところで、先般毎日亭で一週間演じられてきた作品でもある『弥次喜多膝栗毛 三十石』が開始される。南湖さんの場合は上方なので、設定が変わっているのかと思いきや、主人公でもある弥次も喜多もどうやら江戸出身とのことで、一日30kmをてくてく歩いて伊勢参りの旅へと出掛けてゆく。この30kmは大阪環状線を一周半した距離と同じくらいだといい、昔の人の健脚ぶりに講談を聞きながら考えてしまう。

・ちなみに「膝栗毛」とは、馬では最高種と日本で言われている馬が栗毛。長距離をてくてく歩く自分の膝をこの栗毛に例えたのが「膝・栗毛」、即ち「膝栗毛」の語源なんだそうだ。さて。


08/11/17
・最終回までのカウントダウンは「7」。しかし先週の講談毎日亭、結局一日も行けへんかった……。

11月23日(日)
・第43回『名探偵ナンコ』〜よみがえれ!探偵講談〜

 会場/本遇寺(JR東西線「新福島」・ 阪神「福島」下車、地下鉄2番出口から徒歩5分。JR環状線「福島」下車徒歩10分。福島区福島3-7-38)
  開場/18:00 開演/18:30
  料金/当日1500円

 出演/旭堂南湖「探偵講談」、「お楽しみ」
 ゲスト・芦辺拓(作家)「対談・探偵講談と探偵小説あれこれ」

・さらに今回は特別ゲストで東京の美人講談師・神田京子さんがいらっしゃるそうです。講談二席とのこと。出来たら沢山のお客さんに入っていただきたいものですが。ふらりと来ていただければ普通に入れますよ。今回は探偵講談の方の演目がまだ発表されていないようですね。三連休の中日です。ちょいと早めの忘年会となるかも。


08/10/26
・京阪電鉄中之島線開通で観客は増えるのか? (まさか減りはしないと思いますが)次回のハナノベのお知らせ。

・ 第15回 落語再生公開堂「ハナシをノベル!!」

 10月31日(金曜日) 18時30分開場 19時開演(お間違えなく!)
 入場料 当日2000円(前売りは事前にメール)
 出演 月亭八天
 助演 桂福矢
 演目  「浦島さんのゲーム」(作・北野勇作) 「あるいはマンボウがいっぱいの海」(作・田中啓文) 月亭八天、田中啓文、北野勇作氏らによるトークコーナーあります。
 場所 大阪市中央公会堂地下大会議室 地図はこちら。地下鉄御堂筋線・京阪「淀屋橋」駅、さらに「なにわ橋」駅も使用可!

・ここ二回、小説家以外の方の作品が続いていましたが、今回は北野勇作&田中啓文という、ある意味ハナノベの屋台骨を担うお二人による作品が二つ。お二人とも既に八天さんの手の内は知り尽くしている(?)だけに、こなれた笑いが期待できそうです。


08/10/25
・(今さらですが記録も兼ねて)9月28日開催の名探偵ナンコの本編の方、『鬼坊主』。 明治期の犯罪実録もの、実際に演じられた探偵講談の復活である。主人公は、名古屋のお寺の跡継ぎである黒田水精(すいしょう)なる僧侶。この父親、黒田大恵は生き如来とまで言われた名僧であったが、妻を早くに亡くし息子の水精と共に暮らしていた。この水精、近所でも評判の悪ガキで山門の石段を下りていた女性に犬をけしかけて転がり落とさせ怪我をさせたり、農夫が引いていた馬の尻尾に火を点けたりと乱暴の限りを尽くしていた。このままではダメだと美濃の国にいた、水精の母方の伯父・伊藤信治の元に預けられることとなる。

・最初の頃こそ真面目にしていたもののすぐに化けの皮が剥がれ持て余されるようになる水精。今度は東京にある本願寺の学寮に行くと大金を信治からせしめて上京した。東京で厄介になったのは信治の弟の伊藤重保。重保は四十六歳になる実業家であったが、十六歳の後輩の娘に一目惚れ。借金で苦しんでいる後輩を助ける代わりにその娘・お政を嫁に迎え入れたところであった。しかし、そんなところにやって来たのが水精だったのだ。

・とまあ、この黒田水精という人物が、その叔父を殺し、従兄弟を殺し、従兄弟の財産を奪い、その妻まで口説いて己の妾にしようとした……というお話。本来は、かなり長い悪人一代記になるところをやはり数十分で話すのは難しいところで抄訳のようになってしまったところはご愛敬。シナリオ自体の波瀾万丈さはなかなかのものがある一方、どうしても悪人の生き方を辿る物語の性格上、ミステリとしての要素が薄い点は否めない。旭堂南湖さんも、まだまとめきれていないところは認めていながらも話術でかなりカバーできてきている点は、やはり経験を積んできているだけの強みがあるところ。

・旭堂南湖さんは、また11月8日〜14日、JR鶴橋駅近くの「雀のおやど」で「講談毎日亭」を行うみたいです。演目は「弥次喜多上方膝栗毛」。これは部分的にも聞いたことのない演目だけに、一日くらい顔を出す予定。


08/10/12
・『安楽椅子探偵 忘却の岬』、解答編を見る。これまで四、五回挑戦してきたなかでは最もいい線に行ったかな。年代正解、犯人正解、犯人を特定するロジックも正解。ただ、殺害場所を物置のなかと決め打ちしたところにかなりの齟齬あり。携帯電源も犯人ではなく犯人が命じて被害者が自分で切ったことにしていたし。ストーブが重いとか、いい線まで考えていたとは思うのだけれど。次回また頑張ることとしましょう。


08/10/05
・昨日書き始めた先週末のレポートに加筆。

「よみがえれ! 探偵講談 第42回名探偵ナンコ」。 そろそろ肌寒くなってきたタイミングで開催された名探偵ナンコ。人数の入りとしては(ある意味)いつも通りか。南湖さんが登場して、マクラはサン○リア提供のラジオ番組の話など。折角だから放送禁止となっている楽曲をかけようとしても、プロデューサーに止められてしまうといった内容とか。

・最初の演目は古典講談から『無筆の出世』。 有名な作品でこの会でかかるのは二回目? かな。 四国は松山に住む両親も親類もいない利助という若者。身体は丈夫だが金はない。片道しか仕事がない江戸への荷物持ちを手伝い、ようよう江戸にやって来た。早速仕事を探して口入れ屋へ行く。読み書きは出来るか? と聞かれた利助だがそちらは全く出来ない。それでは仕方ない、と、相場より安い給金しか出ない旗本の中間の口をきいてもらう。利助の「日本一の江戸で働きたい」という言葉に江戸っ子の口入れ屋の親父は心を動かされ、保証人を引き受けてくれた。新しい主人は松平信十郎(字が違ったらすみませぬ)という貧乏旗本。だが利助はくるくるとよく働いた。

・信十郎は利助のことをよく働く奴、と気に入っており、周囲に自慢もしていた。そんななか、向井剛右衛門という親戚の元を訪れ酒食を頂くことになった。しかし信十郎は非常に酒癖が悪い。周囲の他の客はそのことを知ってか知らずか、さっさと席を立ってしまい、残されたのは向井と信十郎。酔っ払ってくだをまく信十郎の特技が刀の目利きであることを思い出した向井は、彼に目利きを頼むといい、酒を引っ込めた。仕方なく、刀の目利きをする信十郎、その刀を多いに褒めた。「この刀は試し斬りしたことがあるのか? ない? それはいかん。刑場に金を払って罪人を切るのも犬猫を切るのも刀が穢れる。そうだ、うちに利助という中間がいるから、あいつを斬れ、試し斬りじゃ」とまだ酔っ払っている信十郎はむちゃくちゃを言い出す。

・家に帰って翌日、蒼くなった信十郎、しかし武士に二言はない。文字の読めない利助に向井に宛てた手紙を持たせ、そのまま向井の宅へと遣いに出した。もちろん小遣いをやる。「行きに美味いものを食うんだぞ。間違っても帰りに食べようとか、貯めておこうとか思うなよ」 利助は道中、舟に乗ろうとするがその時に手紙を入れた文箱を落としてしまった。船頭のアドバイスにより、渡し船の船縁に手紙を拡げて貼り付け、乾かそうとする。舟に乗った旅の僧侶が、手紙の内容を見てぎょっとする。手紙を持参した利助を斬り捨てても良いという内容だったからだ……。

・とまあ、長い年月を生き残るだけあって良くできている講談でした。続いて今月の「名探偵ナンコ」。


08/09/23
・最終回までのカウントダウンは「8」。最近の南湖さんの探偵講談は凄く良いです(さりげなくプレッシャーか??) この週末のお楽しみ。

9月28日(日)
・第42回『名探偵ナンコ』〜よみがえれ!探偵講談〜

 会場/本遇寺(JR東西線「新福島」・ 阪神「福島」下車、地下鉄2番出口から徒歩5分。JR環状線「福島」下車徒歩10分。福島区福島3-7-38)
  開場/18:00 開演/18:30
  料金/当日1500円

 出演/旭堂南湖「探偵講談・鬼坊主」、「お楽しみ」
 ゲスト・芦辺拓(作家)「対談・探偵講談と探偵小説あれこれ」

・さてさて。しかしこの時期、タイガースの行方も気になりそうだけれど。


08/09/20
・こちらは既に開催中。月内にもし上京できればぜひ行きたいのですが、予定がない……。

  ◇◇◇ 幻影城の時代展 ◇◇◇
・『1970年代半ばに発刊された『幻影城』は、僅か4年半の刊行期間に、その後の日本推理小説界を牽引する数多の作家たちを誕生させ育みました。この伝説の本格ミステリー雑誌を回顧、再評価する『幻影城の時代』が2007年に刊行されたのを記念し、誌面を飾った挿絵を中心に、「幻影城の時代展」を開催する運びとなりました。会期中は挿絵作家をはじめ、多くの関係者に来廊いただける予定で、ミステリーファンのみなさまのご参集をお待ちしております。』

・2008年9月16日(火)〜26日(金)

ギャラリー オキュルス(Gallery Oculus)
 〒108-0074 東京都港区高輪3-10-7 TEL.03-3445-5088
 営業時間 11時〜18時30分(日曜・祝日は休み。会期中は原則的に無休)
・ 都営浅草線高輪台下車3分 ・ JR品川下車10分

・こんな機会がそうあるわけでもなく……。嗚呼。


08/09/16
・そもそも会期自体は終了してしまいましたが。

・フジワラヨウコウ/森山由海個展「Other Aspects 挿絵で聴くジャズ・ミステリー」、大阪・中崎町の珈琲舎 書肆アラビクにて開催されていたものに行って参りました。オリジナルの幾つかのイラストに加え、田中啓文さんの最新作『辛い飴 永見緋太郎の事件簿』に使用されたイラストを中心とした展示。

  


・端っこに店主が写り込んでいるようですが、了解貰っているのでそのまま掲載します。単行本や雑誌の装幀に使われていると、イラストや画といったものはそれとしか見えないのですが、実際に生で目にすると、そのイラスト自体が持つ”力”のようなものが確実に感じ取れます。良かったですよ。身辺多忙につき、本来は開催期間中にサイト更新するつもりが手を付けられませんでした。関係者の方には申し訳なし。


08/09/07
・中入りを挟んで、関西の放送作家・安田昌子さん(美人)が登場。配られたパンフによればこれまでも「ハナノベ」に観客として参加され、構想を練っておられたそうだ。が、後のトークでは飲み会で八天さんに落語を書くよう押し切られたという話だったが、果たして。中身は「病院を舞台にしたファンタジーというか……」とのことで、始まり始まり。

『恋しくて』。同棲していた彼女に振られた男。一ヶ月苦しみぬいた末にもう死のうと思い込んだ末に病院に担ぎ込まれてしまう。入院させられた病院は新しくできたのだという「国立救急失恋病院」。失恋に苦しむ人だけが収容されるという病院だった。彼の他にも数千人の患者が大部屋に収容されており、さながら野戦病院。そんななか、主治医が彼に対して失恋が治るよう、様々な治療を施そうとするのだが……。

・「失恋」を「病院」で治す、という発想がユニークで、その展開から過程に笑いを持ち込むタイプの新作落語。男性同士の会話が多く、架空の病院・治療法とかの設定になること、展開や発想が恐らく演じる八天さんの考えている方向とにズレがあったのか、事前にブログで苦労している……といったような記述をされていたことを思い出す。ただ、終わってみると八天さんの熱演もあってまとまった噺になっていたのではないかと感じた。


08/09/06
・先週末の日曜日は「第14回ハナシをノベル!!」に出掛けてきました。日曜日の昼間開催ってことで、どれだけお客さんが来るのか微妙に心配だったのが蓋を開けてみると、過去最高。どうやら八十人くらい来られていたらしい。あとでいろいろ推理するが、理由は結局判らず。問題は平日に行われる次回がどうなるか、ですね。

・今回は笑福亭たまさんによる古典落語からスタート。「ちりとてちんか、あみだ池か、何にしましょかねえ」と舞台で呟いたところに観客席からは「あみだ池!」の声がかかって、あみだ池に。たまさんの噺を聞くのはたぶん三回目だと思うのだが、ハイテンションで突っ走る話法が面白い一方、古典は古典としてのツボをきちんと押さえているため、迫力と面白さが両立した分かりやすい落語で、会場が大いに湧いた。後で聞いたところでは、会場の客層が、落語百万回聴いている人と、ほとんど初めての人とが両方いてるので、非常に難しいですわー、とのことだった。が、会場はしっかり温まったところで、田中啓文さんとたまさんがトーク。やっぱり会場の入りがこんなに多いのはなんでやろ? というあたり。「バーゲンか何かと間違えて来はったんちゃいます?」あたり爆笑。

・八天さん登場。最初は森奈津子さん原作の『片づけられない女』。今回は残念ながら森奈津子さん自身は会場にいらっしゃらず。職場における二人のOLの会話から。後輩の女性は綺麗好きだが、先輩女性は片づけが苦手。会社の机のみならず、自宅も大変なことになっているので是非後輩に片づけを手伝って欲しいのだという。お礼も出るということにつられた後輩が訪れた先輩のマンションは言葉通りの大変なことに。ゴミが多いというレベルではなく、ゴミの中で暮らしているようで、ひとり暮らしを始めた大学時代からのゴミが地層のように積み上がっているのだ。トイレの扉も閉まらず、シャワーも物入れ。マンションに住みながら銭湯通いなのだという。

・しかし後輩も負けてはいない。燃えるゴミ、燃えないゴミと、ダンボール箱をいくつも先輩に用意させたかと思うと周囲のゴミの発掘にとりかかる。そこからは次から次へといろいろな先輩にとっては思い出の、後輩にとってはただのゴミが発掘されてゆく。そしてその後輩が最後に掘り出したものは……。

・話そのものもどうもそれなりに落語向きに八天さんによる変更が加えられていたようなのだが、そのせいなのか原作のおかげなのか、ここのところの新作と比べても非常に安定した面白さのある作品だった。八天さんの演技力(女性が二人しか登場しない)なかで、手の動きや身体の動きが巧みで、実際にマンションに居て、実際に掘り起こしをしているような臨場感が良かった。また、次に何が出てくるだろう……? という観客に期待させる展開もまた巧い。ラストの駄洒落オチが二発決まって、大きな拍手で終了した。ここで一旦中入り。


08/08/28
・今週末ですね。森奈津子さんの落語ですよー。今回は昼講演! お間違えなく!

・ 第14回 落語再生公開堂「ハナシをノベル!!」

 8月31日(日曜日) 13時30分開場 14時開演
 入場料 当日2000円(前売りは事前にメール)
 出演 月亭八天
 助演 笑福亭たま
 演目  「片付けられない女」(作・森奈津子) 「恋しくて」(作・安田昌子) 月亭八天、田中啓文、安田昌子氏らによるトークコーナー
 場所 大阪市中央公会堂地下大会議室 地図はこちら

・今回は美女特集ということで、森奈津子さんに加え、芦屋のお嬢様にして在阪テレビ局の番組構成を手がける放送作家・安田昌子さんのお二方原作による二席。ここのところ平日開催が続いていましたが、週末開催、さらには昼講演と新しい試みがいろいろと試されるようです。お楽しみに〜。


08/08/18
・最近行った大阪の古書展で衝動買いした本『ラブ・マシーン殺人事件』青柳友子。昭和六十年刊行、実日のノベルズ版(JOY NOVELに非ず)、チープな薫りがぷんぷんとする。これを某所で「へへ、こんなん買っちゃった」と見せたところ、そこにいた彼は既に同書を持っているという。「へえ?」 なるほど、モー娘。ファンが理由ですか……。


08/08/03
『探偵講談 怪の物』。紹介した粗筋のあとも当然物語は続く。赤門屋敷に住む村原三郎を訪ねて訪れる謎の美女・梅川槇子。銃弾一発女性の悲鳴、噛まれて死亡。槇子の夫だという梅川安頓、そして村原一族を巡る衝撃の過去……。

・ちなみにこの講談のベースとなったのは学研M文庫から出ていた『伝奇の匣7 ゴシック名訳集成西洋伝奇物語 学研M文庫』に収録されている黒岩涙香訳・ドクトル・エマニエル作の『怪の物』。こちらはいわゆる涙香調で地の文は文語体、会話文口語体で書かれている。まずはよくぞ講談のかたちに直したもの。その点から大きな努力が感じられる。むしろ怪奇系の作品であるところ、これが南湖さんの講談口調とよくマッチしているのだ。過去にこれは当たり! という新作探偵講談も数はあるのだけれど、そのなかでもこれはベースとして素晴らしい出来。今後も続けて演じていければ、南湖さんの持ちネタとして代表作にも成り得ると真面目に感じた。後で、芦辺拓さんと旭堂南湖さんの対談のなかで、孤独な青年と医師との心の交流を描いており、どこか楳図かずおの漫画を彷彿とさせるというコメントがあり、成る程と頷いた次第。


08/08/02
・そういや今日も休出(忙し)で小生は行けませんでしたが、現在、旭堂南湖さんは、大阪・鶴橋の「雀のおやど」で、第六回『講談毎日亭』の開催期間中です。7日まで毎日講談聞けます。詳しくはこちらでお調べください。一日くらいは行きたいなあ。昼興行と夜興行がごちゃまぜにつき注意必要です。

・月亭八天さんは8月9日(土曜日)に『HATTENらくごワールド2008』と題して阪急京都線・上新庄駅近くで関西在住の小説家による新作落語を一気に三本披露。『ロボット医者』作/林 譲治・『やっぱりエコが好き』作/我孫子武丸・『時たまご』作/田中啓文。詳しくはこちらで調べてくださいね。


08/08/01
『探偵講談 怪の物』。 ロンドンの郊外の屋敷に住み始めたドクトル江間。彼の家の裏には、狐や狸の出そうな広大な野原があった。その中心にもう三十年も誰も人の住まない、赤い門を持った屋敷があり、その野原は屋敷から、赤門ヶ原と呼ばれていた。ドクトル江間が住みだしてから五年ほど経ったある日、その赤門屋敷に灯りがついた。三十年の旅行を終えて、主人である村原三郎が執事の芦倉老人と共に再び屋敷に住みだしたのだ……。

・聞くところによると、前の主人で三郎の父親である村原二郎には、妻と兄を殺害したのではないかという噂があり、息子の三郎は屋敷の一室に閉じ込められ、外に出して貰えなかったのだという。その二郎が旅先で死に、ようやく三郎たちが戻ってこれたのだ。しかし、戻ってきたものの村原三郎の生活は一風変わっていた。

・彼は日中はまず出歩くことはない。買い物など諸事は芦倉老人が行っており、三郎は夜中に散歩に出るのが唯一の趣味のようにみえた。しかし三郎は普通に歩くことはせず、野原のなかをまるで蛇かなにかのように這い回っていたのだ。それから一年ほど経過し、芦倉老人がドクトル江間に往診を依頼する機会があった。江間が赤門屋敷を訪れてみると、主人の村原三郎はベッドに縛り付けられている。これは何故かと問いかけると、芦倉老人がドクトル江間に噛みつかぬようにしているのだという。診療した江間は阿片を処方しようとするが、やはり老人は止めてくれと激しく止める。どうしても阿片を使うのであれば、老人が自ら与えるので、一旦帰って欲しいと江間に懇願をする。

・その後、ドクトル江間のもとに村原三郎から「私は人間ではないのです」と書かれた手紙が届く。しかも江間に対して「あなたも同類だと思った」と呼びかける。確かに、同じように人里離れたところに暮らすドクトル江間もまた孤独な人間であった。


08/07/29
「よみがえれ! 探偵講談 第41回名探偵ナンコ」。久々の常連さん(何か変な言い回し)などが復活していたものの、前回ほどの盛況とはならず。今回は南湖さんが日中は別の場所でお仕事をしていた関係もあり、最初は旭堂南舟さんによる古典講談「木津勘助」。上方講談では、大阪を愛し抜いた侠客として様々な話が伝わる人物だが、その若い頃、一介の水飲み百姓だった勘助が金持ちの娘と結婚して暫く――迄のお話。南舟さんの講談は今回初めて聞いたが、(まだ入門して間がないものの)かなり聞ける内容になっていた。ただ南舟さん、前回目にした時よりかなり痩せているように見えたのが心配。もっと食べないとダメです。

・続いて旭堂南湖さん登場。ずっと風邪を引いており更に旅行に出掛けたとかで現在喘息性気管支炎を患っているとのこと。大丈夫? という心配もよそに舞台に上がればきちんと声が出るところは講釈師。マクラはその旅行の話で徳島の牟岐町に遊びに行った話など。そこから古典講談『雷電初相撲』へ。横綱へと上がることなく名大関として生涯を鳴らした関取・雷電。彼が田舎から出てきて相撲部屋に入門、別の部屋を断り、天下の大横綱・谷風関のところに入門。その強さを認めた谷風は秘蔵の弟子として三年育て、遂に初相撲の時がやって来た。折しも、相手は強豪・八角関。別の部屋に雷電が入門しようとしたところを追い返した因縁の相手であった……。

・この話を聞くのは何度目かになるはずだが、それでも聞く度に安定感が増している感あり。話自体も何度聞いても面白く、やはり昔から伝わって今なお残る講談というのは面白い。

・続いては本日のメイン。『探偵講談 怪の物』。これは同題の黒岩涙香の作品を講談化したもので、以前より対談のたびに芦辺拓さんが南湖さんに勧めていた作品でもある。たださすがに涙香の地の文、即ち文語体では堅くなりすぎるせいか、そのあたりは口語体に訂正されており、本編は長い話であるところをうまく要点をダイジェストにしつつ、それでいてダイジェストであることを感じさせない内容になっている。


08/07/22
・昔の角川文庫を古本屋で購入した。昔のっていっても昭和五十二〜三年くらいに刊行されたもの(重版がかかっている)だが、背表紙になぜか証券会社の広告が印刷してある。最近は単行本も文庫もアートの一種とも考えられるせいか、こういった夾雑物を背表紙に印刷してしまうというような本はあまり見当たらない。だが、読者の立場からいえば、こういった形で何%かでも、本が安価になるのであれば歓迎したいところ。近年の物価高騰の折り、こういう手段で本というハードの読者提供コストを削減する方法もあると思うのだ。


08/07/20
・さて終了までのカウントダウン、あと「9」。最終回は五十、今回が第四十一。最近告知がぎりぎりになることを反省して少し早めに掲示しておきます。

7月27日(日) 
 第41回『名探偵ナンコ』 〜よみがえれ!探偵講談〜


 会場/本遇寺(JR東西線「新福島」・ 阪神「福島」下車、地下鉄2番出口から徒歩5分。JR環状線「福島」下車徒歩10分。福島区福島3-7-38)
  開場/18:00 開演/18:30
  料金/当日1500円

  出演/ 出演/旭堂南湖「怪の物」(原作・黒岩涙香)、「お楽しみ」、旭堂南舟「木津勘助」
  ゲスト・芦辺拓先生(作家)「対談」

・弟弟子(厳密には違ったかも)さんの南舟さんも一席演じて下さるようですね。


08/07/06
・『クルーザー殺人事件』。確かに、確かに犯人は誰だよコイツという意味でさっぱりわかりませんでした。さらに炎上するクルーザーでの密室トリックもある意味凄いのですが、現在のミステリではこれは普通に禁じ手になってます。ただ、そのダメダメな部分を除くと、本筋には物語巧者らしい仕込みがあるなど、意外と普通に面白いと思いました。想像ですが、作家に無理を強いる編集者が無理矢理に後から筋書きを変えさせたのではないか……とかとも。(ダメなところの書きっぷりが、他のところに比べてやけっぱちに急いで書かれているように思えるのです)。


08/07/04
・(私事第二弾)通勤に使用していた鞄を買い換えました。これまでの鞄は某・丈夫な鞄として有名なメーカーのものでしたが、鞄に本を大量の本を詰め込んで移動したり、重量物を入れてずっと使っていたところ、最初に鞄メーカーの修理担当さん曰く「こんな壊れ方、見たことがない」といった取っ手が外れるという破損をやりました。修理。続いては大抵の鞄がそうでしょうがチャックが潰れて二度目の修理。そしてとうとう、今回、三度目のチャック壊れでついにご臨終。

・新たに鞄を買いました。今回買ったものは、ナイロン地で丈夫そう。それは良いとして、どうにも本があまり入らなそう。毎日使う予定なので軽さを追求した結果、容量という古本者には非常に事な要素を見落としてしまっておりました。反省しきり。これでは単行本三冊とか無理そうです。古本を買う量が減って良いのか、それとも……。本好きの人が持つ鞄というものにも俄然興味が湧いてみたり。


08/07/01
・(ネタの合間の私事)やっと草野唯雄『クルーザー殺人事件』を入手しました。某リサイクル系で105円。それ以上払ってまで入手する気はなかったんですが、実際探し始めてから全く見つからず。なんかすごく苦労しました。さて、一連の積ん読が片付いたら、噂の犯人当て不可能ともいわれるフーダニット、楽しませて頂くことと致しましょう。


08/06/17
MYSCON主催「ミステリに関連するゲームで盛り上がろう!」イベントが、7月5日に東京・新宿で開催されます。2005年に東京と大阪で開催しました、伝説の、あのMYSRECが今年また蘇るのです。

・詳細はMYSCONホームページまで。ミステリに詳しくても詳しくなくても、ベテランでも初心者でもみんな楽しめるミステリ・イベントです。MYSCONの夜の部はちょっと…という方も、その雰囲気の端端を味わうことができます。お一人さまでの参加でも大丈夫ですし、MYSCON関連イベントに少し興味がある……というくらいの方に最適。参加申し込みも受付開始、どうぞお見逃し無く。


08/06/25
・皆川博子講演会。最後。(長いので順次「雑文」に格納中)。

「今まで会ったなかで、特に印象に残っている作家を教えてください」
 『秘文字』という、全て暗号で書かれた作品が刊行された時のお祝い会に呼んでいただいたことがあります。とはいっても大々的なものではなく、少人数での集まりだったかと記憶しています。中井英夫、泡坂妻夫、日影丈吉というお三方がいらっしゃいまして、私が中井英夫さんが大好きだということで編集者に連れていって貰いました。女性が一本ずつ、お三方に薔薇の花を渡されたのですが、中井さんはすぐその薔薇を胸ポケットに挿しまして、それがとても様になっていたことを覚えています。また、篠田節子さん。柴田錬三郎賞を皆川さんが受賞したパーティで、ちょうど『死の泉』の構想を練っていた時期、取材はもう体力がないから資料だけで書けないかな……と考えていた時に話をする機会があり「わたしこれからブータンに取材で行くんです。何もない原っぱに行くから長いスカートで行かなくちゃ」といった話を聞いた。この行動的な姿勢に接することで自分自身、北ドイツへ取材に行くふんぎりを付けられました。彼女がいなければ『死の泉』は出来ていなかったかもしれません。ちなみに”長いスカート”というのは、用を足すところがないから必要になるという意味です。

・あと井上夢人さん。現在は空気の良いところにお住みになっている井上さんも、以前は私の住む家に近所にいらっしゃいまして、アイデアに詰まった時に行っていた喫茶店などでよくお会いしました。彼から教えていただいた素敵な……編集者の方には怒られてしまいますが……言葉があります。「明日でもできることを、なぜ今日しなければならないのか」

・……すみません、あとは講演の終盤部分、メモがいい加減でポイントのみになります。「本格ミステリ作品はもう書かないのか」という質問に対し、他にもその方面を得意となさっている作家も多いし、狭い意味でのトリックを使った本格ミステリを執筆することはないと思う。ただ広い意味で謎を持つ物語、変格という意味では今後も書いていけると思う――とのお話。また、自作を映画にするとしたら、監督は、とか俳優は誰が良い……といった話。(あまり小生が映画に詳しくないので適切に表現できないのでパス)。あと、当然ながら今後の執筆予定のお話、『ミステリーズ!』にこれから連載が開始されるという『双頭のバビロン』の内容であるとか。あと集英社から書き下ろし予定の『マグノリアの偽書』の話。会場からの質問には、質問者が場を読めていない人がいたのが少々残念でしたが、例えばSF作品なら何がお好きかという質問に対して、星新一・筒井康隆、小松左京といった作家の名前が挙がっていたことも印象に残っています。

・レポートしながら最後が尻切れとんぼになってしまいました、この皆川博子講演会の様子については、この秋刊行される同志社ミステリ研究会の会誌「カメレオン」にてまとめられる予定とのこと。残念ながら会場にいらっしゃることが出来なかった方は、ぜひそちらが刊行された際にご入手くださいませ。


08/06/25
・皆川博子講演会。

「長編と短編ではどちらを書くのがお好きですか」
 圧倒的に長編が楽です。五百枚の長編と三十枚の短編でも長編の方が楽に書けます。

「皆川先生の作品ではシリーズキャラクターはいませんが、それはなぜですか?」
 探偵と助手がいて、シリーズでという作品を読むのは好きですよ。北森鴻さんの「冬狐堂」シリーズは大好きですし。あと『顔師連太郎と五つの謎』という作品でシリーズ探偵を一度創ったことがあります。でも、書いていて、トリックは「あの作品を焼き直したもの」だとか自分でも分かっていましたし、あんまり気に入らなかった話なので、シリーズ最後の話で主要人物を殺しちゃいました♪ 自分自身、もうあまり残された時間もありませんし、今後はやりにくいことはやらないのではないかと思います。

「今まで取材に行ったなかで、印象に残っている場所はどこですか?」
 最近では『聖餐城』の取材でプラハに行きました。ツアーでは半日くらいで済まされるダリボル城の見学に三日使い、城の地下にある鉄の蓋で閉じられた牢獄を見せて貰いました。縄で食べ物を差し入れ、一旦はいると出られず、中には鼠や虫が……こういった話が苦手な方もおられるので止めますが、この結果『聖餐城』が生まれました。(確かに『聖餐城』のなかで重要なモチーフとしてこの牢獄の話が使われています)。

・生まれて最初に訪れた海外がアイルランド。当時はIRAが暴れていてぴりぴりした雰囲気でした。ガイドに雇った人がお酒好きでバーを見つける度に入り込んで飲んでいました。彼がべろべろで運転していたことが印象に残っています。あとこの時は、沿線で爆破事故(爆破予告だったかも)があったので鉄道が動かなくなって。あの頃はなんとかなると楽観的なものでしたが。ほか、イスラエルのマサダの砦も印象に残っています。またニーチェが戦時中にドイツから連れて行った移民がいるというパラグアイにも行きました。フリーの編集者と共に訪れ取材は出来たのですが、ホテルがまた素晴らしくてベッドが煉瓦で仕切られているだけ。普通、ホテルに行けば食堂があると思っていたのですが、売店しかなく、さらに食べるものがほとんど売っていない。仕方なくヨーグルトを買って食べました。翌朝はその食べたヨーグルト容器に向かって蟻が行列を作り、容器そのものに蟻がびっしり。ただ後から聞くに、冒険小説作家系の方々が若い頃に南米を貧乏旅行された時は野宿が基本、ベッドで眠ること自体贅沢だというお話で、贅沢旅行だと言われました。

・レーベンスボルンの取材のために南ドイツに、『総統の子ら』の取材のために北ドイツにも行きました。いずれもガイドや現地で出会った人々が、対象となる事件の関係者であったり、過去の出来事を良く知っていたりと取材をしたことで結果的に作品の幅が拡がったものと思います。北ドイツではキールの軍港を見渡し、子どもたちが飛行機を飛ばしてもおかしくない絶好のロケーションを紹介いただきましたし、『薔薇密室』の取材でシュレージェンの丘陵地帯を訪れた時も、ドイツ軍が堀ったという穴を見せてもらい、作品構想自体、狙いは間違っていなかったと確信することができました。


08/06/21
・皆川博子講演会。人称がめちゃくちゃですが御容赦。

「長編と短編ではどちらを書くのがお好きですか」
 圧倒的に長編が楽です。五百枚の長編と三十枚の短編でも長編の方が楽に書けます。

「皆川先生の作品ではシリーズキャラクターはいませんが、それはなぜですか?」
 探偵と助手がいて、シリーズでという作品を読むのは好きですよ。北森鴻さんの「冬狐堂」シリーズは大好きですし。あと『顔師連太郎と五つの謎』という作品でシリーズ探偵を一度創ったことがあります。でも、書いていて、トリックは「あの作品を焼き直したもの」だとか自分でも分かっていましたし、あんまり気に入らなかった話なので、シリーズ最後の話で主要人物を殺しちゃいました♪ 自分自身、もうあまり残された時間もありませんし、今後はやりにくいことはやらないのではないかと思います。

「今まで取材に行ったなかで、印象に残っている場所はどこですか?」
 最近では『聖餐城』の取材でプラハに行きました。ツアーでは半日くらいで済まされるダリボル城の見学に三日使い、城の地下にある鉄の蓋で閉じられた牢獄を見せて貰いました。縄で食べ物を差し入れ、一旦はいると出られず、中には鼠や虫が……こういった話が苦手な方もおられるので止めますが、この結果『聖餐城』が生まれました。(確かに『聖餐城』のなかで重要なモチーフとしてこの牢獄の話が使われています)。

・生まれて最初に訪れた海外がアイルランド。当時はIRAが暴れていてぴりぴりした雰囲気でした。ガイドに雇った人がお酒好きでバーを見つける度に入り込んで飲んでいました。彼がべろべろで運転していたことが印象に残っています。あとこの時は、沿線で爆破事故(爆破予告だったかも)があったので鉄道が動かなくなって。あの頃はなんとかなると楽観的なものでしたが。ほか、イスラエルのマサダの砦も印象に残っています。またニーチェが戦時中にドイツから連れて行った移民がいるというパラグアイにも行きました。フリーの編集者と共に訪れ取材は出来たのですが、ホテルがまた素晴らしくてベッドが煉瓦で仕切られているだけ。普通、ホテルに行けば食堂があると思っていたのですが、売店しかなく、さらに食べるものがほとんど売っていない。仕方なくヨーグルトを買って食べました。翌朝はその食べたヨーグルト容器に向かって蟻が行列を作り、容器そのものに蟻がびっしり。ただ後から聞くに、冒険小説作家系の方々が若い頃に南米を貧乏旅行された時は野宿が基本、ベッドで眠ること自体贅沢だというお話で、贅沢旅行だと言われました。

・レーベンスボルンの取材のために南ドイツに、『総統の子ら』の取材のために北ドイツにも行きました。いずれもガイドや現地で出会った人々が、対象となる事件の関係者であったり、過去の出来事を良く知っていたりと取材をしたことで結果的に作品の幅が拡がったものと思います。北ドイツではキールの軍港を見渡し、子どもたちが飛行機を飛ばしてもおかしくない絶好のロケーションを紹介いただきましたし、『薔薇密室』の取材でシュレージェンの丘陵地帯を訪れた時も、ドイツ軍が堀ったという穴を見せてもらい、作品構想自体、狙いは間違っていなかったと確信することができました。


08/06/19
・皆川博子講演会。人称がめちゃくちゃですが御容赦。

「特に本格ミステリに限定した上で、好きな作品などありますか」
 ミステリとなると、先に述べたハヤカワのポケットミステリが一番面白いと思って読んでいました。本格は自分では書けないので綾辻君の作品もよく読んでいます。あと最近だと道尾秀介さんの作品を面白いと思いました。

「なぜ小説を書き始めるようになったのですか? きっかけになったことはありますか?」
 最初に書いた小説は1960年代、32〜3歳の頃に児童文学新人賞に送った「やさしい戦士」という作品。これが佳作入選したものの、才能が本当にある人は入選するはずで、佳作ということはそうでもなかったのだと自分で納得、暫く創作から離れていました。1970年になり学園紛争があって大学で内ゲバなどが起き、戦後になって「人を絶対に傷つけてはならない」と教育されたことと現実とのギャップに悩みを覚えました。そこから人間はなぜ戦うのか、なぜ殺すのかといったことを主題にした作品を書きました。

・――とある時代、山の中に水かきを持つ一族が、川を潜ってしか出入りできない土地にて外界との交流を出来るだけ避けてひっそりと住んでいます。一族にとって人を殺したり傷つけたりすることは絶対のタブーで、しかし彼らの暮らす土地で砂金が取れることから、否応なく外界の者どもが侵入してきます。土地の殿様の軍隊が彼らを襲ったとき、果たして彼らはどうするのか。児童文学なので仕方なく、殿様が配慮して攻撃は止むようにしましたが最後の方は、その殿様に対して配下が不満を持ち、殿様自身の不幸な最期を予見させる終わり方にしました。この作品が学研の児童文学賞で入選します。しかし、出版の段階で水かきがある一族というあたりが差別用語ではないかと問題視され、結局、本にはならずじまいとなりました。ただ、この時に偕成社の人から「他に書いているものがあったら読ませて」という話になり、最初に書いた「やさしい戦士」を直して見せたところ本になりました。(『海の十字架』のことか)。

・この後、いろいろ書きまくり、児童劇を書いたり、江戸川乱歩賞へ応募したりしました。乱歩賞の方は最終候補に(『ジャン・シーズの冒険』)残りましたが受賞はならず。この時の選考委員・南條範夫さんが強く推してくださいまして『小説現代』の編集長を通じて、短編を書いて小説現代の新人賞に送るよう指示がありました。でも当時の『小説現代』は大人の男が読む雑誌で「わたし、バーに行ったこともないですし書けません」と言ったのですが、「いいから書け」と言われて……。帰りに新宿の喫茶店でぼろぼろと泣いた記憶があります。結局、ミミズクを飼う少女の話を書いて小説現代の新人賞を頂きました。(これは『アルカディアの夏』という作品)。今だから時効だと思いますが、当時選考委員だった山口瞳さんと野坂昭如さんが、こいつ(皆川博子さん)がものになるかどうかというのを賭けの対象になさっていたんだそうです。

・普通は賞を取ってデビューとなると家族でお祝いとかするのでしょうが……。そうやってとうとう小説家としてデビューしたものの、私の場合は家族は全然喜んでくれなくて。父親から「はあ、○○くん(旦那様のお名前)も気の毒だなあ」というのが唯一の反応でした。

「作品を執筆するための着想はどこから得るのですか?」
 基本的に物語が身体のなかから溢れてきます。短編の個別作品でいえば最初のフレーズ「そこは縫わないでと頼んだのに、縫われてしまった。」が浮かんだことから出来上がった『結ぶ』。また、外国人による日本観が面白い小林信彦『ちはやふる奥の細道』と、事実と虚構を混ぜ合わせた趣向が面白いミック・ジャクソン『穴掘り公爵』からインスパイアされたかたちで出来上がったのが『猫舌男爵』。あと、万華鏡、これは更紗眼鏡ともいうのですが、これを主題に短編を書きたいと思っていますがまだ果たせていません。

・長編は、ある素材が先にあって、これについて書きたいと思うことから始まります。「狂気の家畜人収容所」という過激な題名の本があり、これがレーベンスボルンに強制収容された子どもたちの話で以前からずっと書きたいと思っていました。しかし、当時は日本の作家が外国を舞台にした作品を書くことは許される雰囲気ではなく、直木賞を受賞したこともあって歴史ものを書いていました。早川書房から書き下ろしの話を頂いた時に、ポケミスを刊行している早川書房であればこういった外国舞台の作品も許されるのでは……、とお願いを申し上げたところ快諾を頂きました。だけど担当された編集の方の性格もあって、なかなか執筆に取りかかれず、結局依頼を受けてから十年かかりました。帯に”構想十年”とあるのは、最初に出版のお話を頂いてから発表までに十年かかったということなんですよ。他には「ドイツ傭兵の文化史」という本を読んで、このテーマで書きたいなあというところから『聖餐城』を書きました。『聖餐城』は編集者が軍事オタクで、戦闘場面について兵をどう動かすか、時間軸はどうか等々、有益なアドバイスを頂きました。後半は自分も楽しんで軍隊を動かしましたが。


08/06/15
・皆川博子講演会。人称がめちゃくちゃですが御容赦。

・二番目の質問は「座右の銘、あるいは好きな言葉は何ですか」
 この質問に対し皆川さんは、幕末から明治時代にかけて活躍した歌舞伎狂言作家・河竹黙阿弥によるこの言葉を挙げられた。「嘘をつくのは作者の特権。知らないで間違えるのは作者の恥」 このことを実践した例として『恋紅』にて、登場人物が自分の公演を行った場所にソメイヨシノの種を植えてゆく場面があるが、ソメイヨシノは接ぎ木でしか増えないことを知りながら、敢えて種を蒔くという表現にしたとのこと。また『総統の子ら』において、少年たちがゴム動力の模型飛行機を飛ばす場面があるが、当時のドイツであればグライダーが正しかったであろうと。しかし、皆川さん自身が子どもの頃に男の子たちが夢中になっていた模型飛行機を小説内でどうしても飛ばしたかったのだという。一方、間違いという意味では『死の泉』の単行本版表紙のドイツ語訳、女性名詞と男性名詞を思い切り間違えたスペルにしてしまい、文庫版で訂正されたというエピソードを紹介してくださいました。

・また、その歴史上の嘘を描くのが上手い作家としてあげられたのが山田風太郎。明治ものの作品(会場では『明治波濤歌』と仰られましたが、エピソードは『エドの舞踏会』でした)のなかで、十五代目市村羽左衛門が天覧歌舞伎で『連獅子』を踊る場面。これは演じられたものが違うと歴史の記録上明らかになっているが、設定中の色男・十五代の出生の秘密を交えて、敢えて『連獅子』に変えることで物語に深みを与えていることが印象的だったと。

・他に挙げられたのは、俳句作家の三橋鷹女(みつはしたかじょ)。彼女の俳句「青年のあばらを出でて冬の蝶」「老いながら椿となつて踊りけり」といった句を紹介されたあと、皆川さんが最も好きな言葉として「夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり」という句が挙げられた。どこまで好きになろうと頑張っても、やっぱりダメなものはダメといった意。単純に好き、嫌いといった意味を超えた深さのある根幹的好みの問題という感じだろうか。

・三番目の質問は「作家になってから、自身の読書スタイルは変わりましたか? そのことも含めて、これまでの読書遍歴を教えてください」。 メモを見ながらながら、皆川さん話す話す。今年七十八歳の皆川さんの七十年以上にわたる読書遍歴は凄まじい。いわゆる「自伝的作品」にある少女像は本当なのですねえ……。以下、作者と題名しか記述していない作品もありますが、皆川さんは丁寧に内容について実際は解説してくださっております。
・子どもの頃から本にどっぷりと浸かった生活でした。最近は資料を読むのに時間を取られ、好き嫌いもはっきりしてきたので少しずつ積ん読が出来てしまいましたが、今まで積ん読というのはほとんどありませんでした(!)。 小学校に上がる前、父親が開業医をしていて渋谷に診療所兼住居がありました。待合室には『富士』や『キング』といった大人の雑誌があり、子どもは読んではいけないと言われていましたが、そう言われると読むもので、小学校に上がる前に江戸川乱歩の『人間椅子』を読んでしまっていました。小学校二年生の時に家族が増えたので渋谷が手狭になって、世田谷に引っ越し。当時は「文学全集」流行りで「現代大衆文学全集」「明治大正大正文学全集」「世界大衆文学全集」といったものが家にあり、片っ端から読んでおり、さらに友人の家には伏せ字だらけのアラビアンナイト全集であるとか、シェイクスピア全集といったところがあり、それも読んでいました。江戸川乱歩は『現代大衆文学全集』のなかにあり、鴨居の上の本棚に手が届かないので椅子に乗って背伸びして取ってそれが乱歩だったら「ああ、またこの怖いのを読まないといけない」という気持ちに。結局読むんですが。ミステリに限ると、他には小酒井不木だとかがありました。横溝正史さんの金田一ものはまだ出てくる前で、三津木俊助や由利先生が探偵役を務めていた時代。家に一冊だけあった『真珠郎』をわくわくしながら読んだ記憶があります。

・当時、江戸川乱歩も横溝正史も怖いと思いましたが、乱歩の怖さは、人間のなかの残酷さをつきつめた身体に染み込むような怖さ、横溝正史は怖い場面もあるけれど絵を見ているような怖さ。幕末から明治にかけて無惨絵の書き手として活躍した浮世絵師・月岡芳年の怖さが乱歩作品の怖さ、同じく江戸時代に芝居絵を得意とした四国の絵金の浮世絵が、正史の怖さと例を挙げてくださいました。


08/06/14
・ハナノベにも、皆川博子さんの講演会にも行きました。充実の週末。

・申し訳ないのですがハナノベレポートを後回しに、記憶の確かなうちに皆川博子さんの講演会レポートを書きます。(聞き書きなのでもし間違いがありましたらごめんなさい)。

・6月14日土曜日、快晴。友人のcakeさんと待ち合わせ、同志社大学・今出川キャンパスへ。煉瓦作りの建物が目立つキャンパスの奥、至誠館が今回の会場である。主催である同志社大学ミステリ研究会スタッフの方々による親切な案内があって会場のある3階へ。入り口付近には今回の講演をバックアップしている理論社さんが販売ブースを作っていました。皆川さんの『倒立する塔の殺人』はもちろん、ここまでの「ミステリーYA!」の既刊がずらりと並んでいて壮観。整理番号付きパンフを受け取り、最新刊二冊を購入して会場で待つことしばし。続々とお客さんがやって来るものの会場自体が広く満席とまでは行かない。それでも百人以上は集まったのではないでしょうか。

・12時半、緊張しまくる司会さんによるプロフィール読み上げや「ミステリーYA!」(このYA!部分の発音については難しいですね)の後、案内があり、遂に皆川博子さんがご入場。会場、割れんばかりの拍手。初めて拝見した御本人、実年齢を感じさせない若々しさ、お身体は想像以上にちっちゃくて(倍以上のお年の方をこういうのは失礼ながら)、会話のひとつひとつが上品かつ茶目っ気があって、実にチャーミングなお人でした。

・少々お耳が遠いとのことで皆川さんの脇にて理論社の美人編集者・Mさんがサポート役と脇につく。また事前にホームページを通じて寄せられた質問に回答するという形式で講演が開始された。ご挨拶。皆川さんによれば「こんなに大勢の方の前でお喋りするのは初めてなので凄く緊張しています」ということなので、皆川さんによる講演会というのは本当に初めてなのかもしれない。「今回、理論社さんを通じてお話を頂いた時にどうしようかと思って京都の息子に相談したら、『大丈夫、学生さん怖くないよ』と言われて、引き受けたのです。息子が来てくれると言っていたのですが……」「あ、息子というのは綾辻君です。あれ見あたらないような……」(この段階で綾辻行人さん会場におらず、結局途中入場なさいました。お二人の関係については講談社文庫版の『聖女の島』解説といったところで垣間見られます)。「昨晩、DMC(同志社ミス研)の学生さんたちとお食事をして、皆さんとてもしっかりとしておられるので、これなら何とかなりそうだと思いました」

・最初の質問はちょっと変則的。「今までに見た一番美しいものはなんですか」
 実は皆川さん、目も白内障にかかっていてタクシーに乗った時にメーターが見えない程だったのだという。ご主人が手術を受けられ、成功したことを機に、ご自身も眼にレンズを入れることにした。その手術の時に見た局部麻酔された眼の中で拡がる青い流水模様。手術に際して見えた一生に一度しか見られないであろう美しい画像だったのだそうだ。また、その手術が終わった後、眼帯が取れた時に見えた青い空。これまた綺麗だった。また、以前に取材で吉野の桜を見に訪れた時、山の上の方の花櫓に登ったところ、強い風が下から上に吹いた。その時、桜が舞い上がる場面が非常に美しく、その印象が後に『妖櫻記』のなかの桜姫誕生へと繋がった。


08/06/09
・この週末は忙しい。イベントそのものもそうだけれど、そのイベントのための時間を捻出するのが大変。だけど。

・ 第13回 落語再生公開堂「ハナシをノベル!!」

 6月13日(金曜日) 18時30分開場 19時開演
 入場料 当日2000円(当日券のみ)
 出演 月亭八天
 演目  「ぼくらは名コンビ」(作・小佐田定雄) 「グルメ研究会の陰謀」(作・北野勇作) 月亭八天、田中啓文、北野勇作氏らによるトークコーナー
 場所 大阪市中央公会堂地下大会議室 地図はこちら

・北野勇作さんはこちらではお馴染みのSF作家ではありますが。小佐田定雄さんは、むしろ落語の世界では超のつくほど有名な研究家兼落語作家。月亭八天さんのブログによると、この「ぼくらは名コンビ」という作品はどうやら小佐田さんが月亭八天さんのために以前に執筆された作品のよう。SF作家の書く落語と落語作家の書く落語の共演。これはまたこれまで一般小説家の作品ばかりが演じられてきた「ハナシをノベル!!」の転機となる回になるのかも……?


08/06/06
・名探偵ナンコ。部屋の中は真っ暗で、しかし主人は寝ているように見えて、しかし寝床で死亡していた。主人の死体には長い髪の毛が三本握られており、蟹丸警部(もちろんガニマールだ)は「うん、これはルパンの仕業に違いない」と断言する……。

・前回さすがに第40回記念講演のリクエスト第一位に選ばれたこともあって(とはいっても、人気のある講談は皆聴き知っていて、マイナーな講談は誰も知らないちおうバランスだったのかもしれない)、もともと原作が持つ雰囲気であるとか、登場人物同士の会話、ところどころ辻褄が微妙に合わないところ……といったところが、探偵講談らしい探偵講談になっている。盛り上がりといったところまで物語が至らないのが残念ながら、ブラッシュアップすることで『魔術師』や『蠅男』といった南湖探偵講談の定番にできるような気がした。

・次回、探偵講談は多分七月二十七日。また本サイトから御案内させていただきます。残り九回しかないですよ。


08/06/01
・名探偵ナンコ。当日のメインとなるのが『ルパン対ホームズ』。もちろん初演ではなく、前回の参加者アンケートによってセレクトされたもの。(一部、投票しながら当日来ていない人がいるのでは?〉小生も恐らく聴くのは二回目だが、(明治大正期の)探偵講談らしい探偵講談といえる作品で、四十回記念公演には相応しいものだといえるだろう。

・花の都パリ。三月末のまだ肌寒い夜中すぎ、大きな館から下男がまろびでて大声で人を呼ぶ。「大変だ! 旦那さまが殺された!」 付近を巡回中の警官が駆けつけると、そこは大島男爵のお屋敷。(探偵講談では本サイトでも再三書いている通りだが、外国人の名前を分かりやすく日本人に置き換えてしまうことが多い)。叫んでいたのは下男の猿助だった。慌てて警官が屋敷のなかに入り込もうとするのだが、鉄門と錠前が閉まってしまっており、猿助もまた中に入ることが出来ない。蟹丸探偵(もちろん本来はガニマール)らに猿助が説明するところによると、邸宅には大島男爵とお手伝いの古屋あや子、そして猿助がおり、夜中に男爵の部屋からのベルが鳴らされた。部屋を訪れたが返事がなく、部屋に入ろうとすると中が真っ暗。部屋のなかが散々荒らされており、中で大島男爵が死んでいたのだという。また、中にいる筈の古屋あや子はいくら呼びかけても返事がない……。


08/05/31
・名探偵ナンコ続き。古典講談第二弾は『めこすり膾』。これは徳川三代に使えた大久保彦左衛門が主人公(?)の講談。徳川家の治世のなか、島津の殿様と伊達の殿様とが碁をしているのを目にした大久保彦左衛門が賭け碁にすることを提案。浮世離れした殿様二人に、虎の皮百枚、豹の皮百枚を賭けてはと提案し、双方の殿様は「それくらいなら……」と了解してしまう。負けたのは伊達公だったが、家来に命じて豹の皮を用意させようとするも、その高価なことに目を剥く。慌てて大久保彦左衛門に相談するのだが……。

・笑いの多い作品で、めこすり膾の正体(?)含め、多少お下品なノリも含まれている。上方講談らしい講談であり、初めて聴いた作品だが、今回多くこられたお客さんの階層にはジャストフィットしたのではないか。南湖さんの語り口も軽妙で要所要所の脱線具合もほどよかった。


08/05/29
・来る六月、同志社ミステリ研究会主催による、皆川博子さんの講演会が京都で開催されます。皆川博子さんのインタビュー記事等は読むことはできますが、入場者に縛りのないかたちでの講演会というのは小生の知る限り、ここ数年来なかったことです。是非、この機会をお見逃し無く。

   ★皆川博子講演会★
   場所:同志社大学 今出川校地 至誠館32教室
   日時:6月14日(土曜日) 開場12:00
                 開演12:30
                 終演17:30(予定)

                 入場料:無料

・会場へのアクセスはこちら。

・今回、皆川博子さんへの質問も公募されています。 締切は5月31日まで、リンク先の掲示板に御記入をお願いします。どうもまだ質問数が少ないようですので、今書き込めば、そのまま皆川さんへの質問として会場で取り上げられる可能性も高いのでは??

・ぜひこの機会、お見逃し無く。小生も万難を排して当日駆け付ける所存であります。


08/05/26
第40回名探偵ナンコに行ってきました。

・開始時間前に普通に会場にお邪魔したところ我が眼を疑う光景が。座席が埋まっている……。ここ十数回のなかでは記憶になかった程の盛況。元もとの、というか講釈師としての旭堂南湖さんのお客さんやルパン同好会やシャーロキアンの方々等々がなぜか集まったらしいということが後で知れるが、何か別のイベントから流れてきはったんやろかと正直ちょっと悩みました。はい。

・で、前口上。やはり今回含めあと10回。第50回で少なくとも現在の形式の「名探偵ナンコ」は終了になるとのこと。ただ形式を変えたりしての継続は有り得るようだし、探偵講談自体を止めるといったことではないのでまずは一安心。土曜日に行われた湊川神社のイベントの話等々で座が盛り上がったところで、まずは古典講談。以前もこの会でかかったんだったか、最初は太平記から『楠木の泣き男』の一席。

・赤坂千早城に籠城し、北条氏を討たんとする楠木正成。近隣の住人に一芸に秀でた者あらば召し抱えると通知を出す。木登りが得意な者、水練が得意な者といった者たちが採用されるなか(不採用もある)、現れたのは杉本村の佐平と名乗る百姓。彼は人を泣かすことが得意なのだという。楠木をはじめ重臣の前に引き出されたこの男、剛胆で知られる楠木の部下に間者ではないかと疑われる。赤ん坊の時におぎゃあと泣いて以来、一度も泣いたことのないという男を泣かせなければ首を、泣かせられれば刀を貰うという約束になり、世にも哀しい物語を泣きながら話し出すのだが……。

・上方講談の定番作品ながら、やはり”泣き”を入れる話になると南湖さんうまい。特に下の方からじわーーっとニヤリとする場面、最高でした。続いてその次は『目こすりなます』


08/05/24
・以前からそういう話ではあったのですが。

・とうとう大阪名物・名探偵ナンコがラストに向けてのカウントダウンを切ることになりました。

・第50回をもって現在の会場における定期興行を終了するとの連絡がありました。(とはいっても今回含め、あと十回あるわけですが)。まだご覧になっていない方は、ぜひとも一度足をお運びください。

5月25日(日) 
 第40回『名探偵ナンコ』 〜よみがえれ!探偵講談〜


 会場/本遇寺(JR東西線「新福島」・ 阪神「福島」下車、地下鉄2番出口から徒歩5分。JR環状線「福島」下車徒歩10分。福島区福島3-7-38)
  開場/18:00 開演/18:30
  料金/当日1500円

  出演/旭堂南湖「探偵講談 ルパン対ホームズ」、「古典講談 お楽しみ」
  ゲスト・芦辺拓先生(作家)「対談」

・今回のメインは前回の会場リクエストにより決定されています。小生の予想によると古典は寛永御前試合になるのではないかと。

・告知がぎりぎり(つか当日ともいう)になってしまいました。すみません……。


08/05/01
・全然このサイトでは告知できていませんが、MYSCON9の企画フォローなどがMYSCONサイトで行われています。たまーにでも見に行っていただけると嬉しいです。特に当日実施されたミステリ検定の試験内容と結果については要チェックかと。今回はごく一部ですが問題に関わっているので小生自身は受験できなかったのですが、古典、現代、海外、国内(さらにMYSCON過去のゲストにまつわる問題)とかなりバランスの取れた出題となっております。


08/04/29
・ハナノベ最後。

・牧野作品の余韻「しーん」……。その余韻を引きずったまま、壇上には牧野修さんと我孫子武丸さん、そして田中啓文さんが上がる。牧野さんが「何でこんな話書いたん?」とか「自分が気持ちよければそれでいいん?」とか責められる。その責められ方がもはや芸でもあるのだけれど。また、三人、実は『かまいたち2』トリオ。この『かま2』に関する裏話などもちらほらと。

・続いて八天さんが壇上に加わり、なぜこの順番で演じたのかといったところが話題にされる。なぜ牧野さんの噺が二番目に……とも思ったのだけれど、こちらがトップバッターであれば、一度落ち込んだ会場の雰囲気はもとに戻せないという説明に奇妙に納得する。

・甚兵衛「ジェイソン、ジェイソン、ちょっと教えたろ」
・甚兵衛がジェイソンになにか教えようとするのだが、結局「うきー」となってガシガシガシ。

・先のトークのなかにあったのだが、なぜかめちゃくちゃ受けたのでメモを取っておいたやり取り。しかしあの時、何が面白かったのか、微妙に分からないなあ。

次回は6月13日(金曜日)。まだ誰のノベルが演じられるか、微妙に決まっていないようです。


08/04/20
・ハナノベ、続いては牧野修さんが登場。今回の作品は『げに恐ろしきは……』。題名だけであれば「饅頭怖い」ともどこか似た響きのある作品なのだが、これまた厭な噺なのだそうだ。前回の『百物語』は、怖い話のオムニバスのような内容であったが今回は一つのストーリー。先に田中さんと牧野さんの自らの身体の痛みをベースにしたトーク。「老眼と見抜かれるのが嫌やから、見える振りすんねん」「超能力試験か」というあたりに何故か受けが入る。牧野さん曰く「八天さんが、前作よりも厭なことがいっぱい出てくる噺を書いて欲しいと言うたから、真に受けて書いてん」「例えていうと、いじめられっ子が、いじめられているところをを助けることができないままじっっっとその様子を見ているような気持ちになる噺」……、マジ厭そうな話だなあ……。

・工事現場で廃材運びをしている二人のアルバイト。若い一人がパンを食べようとすると大柄なもう一人・大橋がそれを無理矢理ひったくって食べてしまう。そんななか、若い方が道ばたに落ちているビデオテープを見つけた。折角だから拾おうとする若者に対し、大橋が怒鳴る。「ビデオは呪うんやで!」 ビデオに呪いがかかっているなんて信じられない若者に対し、大橋は自分自身の経験を語り出す。「あれは三年くらい前のことやった。クラスのなかでも何かむかつくヨシオって奴がいてな……」 ――前半部分は大橋がいかにヨシオをいじめ、その事実に無神経だったかが、そして後半では大橋が味わった恐怖が展開してゆく――。

・噺が終わって拍手がぱらぱらとあるも、会場全体は「しーーーーん」。


08/04/19
・第12回「ハナシをノベル!」のレポを簡単に。

・二ヶ月に一度開催という形式なのでまる二年が経過した「ハナノベ!」。今回も平日開催ということながら四十人前後の人の入り。会場にはお誘いしていた珈琲舎書肆アラビクのcakeさん他、見知った顔がちらほら。開口一番ということで、林家市楼さんの「時うどん」(江戸落語だと「時そば」ですね)から。定番中の定番落語だが、考えてみると過去にアマチュアの人による落語を聞いたことがあっても、噺家さんが喋るのを聞くのは初めてかも。この噺はその筋書きによる理屈によって失敗するオチよりも、そこに至る過程を含めた形態模写や、一人でやって来て前回同様に無理矢理行動しようとする喜八のリアクション全体が面白いのだなあと感心する。うどん食べたい。

・とまあ、会場がほどよく暖まったところで月亭八天さんによる『やっぱりエコが好き』(原作・我孫子武丸)。

・サラリーマン五年目の田中が旧友の山田と久しぶりに会うところから場面がスタート。カメムシが好きという変人だった山田は、入社五年で部長に昇格したという。なんと彼の会社の社長が無類の昆虫好き。ひょんなところから話が合って、社長の美人の娘さんを嫁に迎え、とんとん拍子に出世している最中なのだという。刺激を受けた田中くんも、自社の社長の趣味を調べてみる。過去のインタビュー記事をネットで見つけたところ、どうやら社長はエコロジーが趣味。それから田中くんもせっせと環境問題や節約に取り組む姿勢を社内でアピール、遂に社長の目にとまった。遂に社長の家に招かれた田中くんであったが、駅から離れた田んぼの中の一軒家、社長の私生活は本当に節約精神のかたまりだった……。

・話の筋書きとしてはベタなのかもしれないが、そのベタさ加減がとても落語と合っている。先の見えない話が面白いのはもちろんだけれども、一方ある程度先々の予測が付きながらもそこから脱線する具合を楽しむのも面白さの一つ。社長の自宅にて、素で節約精神を発揮する社長と、下心があるゆえに泣く泣くそれに合わせる田中くんのやり取りのなかにいろいろ笑える場面が多かった。全体としても今回はすっきりまとまっていた印象も、脱線しようと思えばいくらでも膨らませることができそう。アフタートークで田中啓文さんがなんで「エコ老人とか使わへんの?」といった駄洒落をさらりと口にしたところで「流石だ……」と感心したことは秘密である。


08/04/13
MYSCON9、なんとか無事に終了しました。参加頂きました皆さま、お疲れさまでした。今回もまたいろいろ反省する点もありましたが、来年は記念すべき十周年ということで、様々な企画を事前から準備して魅力的なイベントにしたいと思います。

・なぜか小生までもが『クラシック・ミステリのススメ』を購入してしまう。いやいや、MYSCON公式同人誌ということにもなっているのでいいのだ。

・ということで明後日もイベント。仕事の都合がつくかどうか個人的に微妙になってきてしまった。(この土日に思いっきり遊んだわけなので)だけども告知。楽しいです。来てください来てください。

・ 第12回 落語再生公開堂「ハナシをノベル!!」

 4月15日(火) 18時30分開場 19時開演
 入場料 当日2000円(当日券のみ)
 出演 月亭八天
 演目  「げに恐ろしきは……」(作・牧野修) 「やっぱりエコが好き」(作・我孫子武丸) 月亭八天、田中啓文、牧野修、我孫子武丸各氏によるトークコーナー
 場所 大阪市中央公会堂地下大会議室 地図はこちら

・牧野さん、我孫子さん、お二人とも久々の落語作品発表です。しかし先のMYSCONで第11回の原作者でもあるアサグレさんと、この『ハナノベ』、豪華作家の書き下ろしが二本も毎回見られるなんて、めちゃくちゃ贅沢なイベントやなー、参加者、おトクやわー、といった話をしたことを、ふと思い出したり。


08/03/18
・名探偵ナンコのお知らせ。最近はお客さんがあまり多くないので、都合のつく方はいらしていただけるとありがたいのです。

3月23日(日) 
 第39回『名探偵ナンコ』 〜よみがえれ!探偵講談〜


 会場/本遇寺(JR東西線「新福島」・ 阪神「福島」下車、地下鉄2番出口から徒歩5分。JR環状線「福島」下車徒歩10分。福島区福島3-7-38)
  開場/18:00 開演/18:30
  料金/当日1500円

  出演/旭堂南湖「探偵講談 大疑獄1(原作・丸亭素人、ガボリオ「ルコック探偵」より」、「古典講談 お楽しみ」
  ゲスト・芦辺拓先生(作家)「対談」

・今回は、ガボリオの翻案ということになるのでしょうか。古典探偵小説ファンなら見逃せないところ。……でなくとも、南湖さんによる語り口は柔らかいので予備知識なしで普通に聞いても面白いはず。


08/03/03
・間延びしすぎ。ハナノベレポ最後。

・『ぴゅうするる』終了後、今度は月亭八天、浅暮三文、田中啓文各氏が舞台に上がって締めのコメントとご挨拶。『ぴゅうするる』執筆秘話(?)と『ぴゅうするる』アレンジ秘話(?)などが明かされる。特に八天さんは浅暮さんに「結末こうしてもいいですか」という電話を掛けたところ、どうにも話が繋がらない。実は作品途中でプリントアウトの紙が切れてしまっていたのが結末だと八天さんが思い込んでいたことが発端だったとか。……とまあ、好評のうちに第11回ハナノベ終了。

・次回は四月十五日(火曜日)。平日開催になります。次回については、まだ未確定ながら我孫子武丸さんが執筆準備中(確定ではないようですが……)の模様。あと、田中さんが会場にいらっしゃっていた某作家さんに執筆を呼びかけていたのだけれど、苦笑いして首を振っていたのでどうかなあ。


08/02/27
・浅暮三文原作『ぴゅうするる』。

・最初は、江戸の悪人・蝙蝠安(こうもりやす)が登場。深夜に大店に押し入って、人を殺して大金をせしめてきた蝙蝠安が「人を殺すのは気持ちのいい仕事ではない……」といったことを呟いて江戸川の土手を歩いている。一歩進もうとするとそこには暗い穴があって何もない。そのままその穴に落ち込んで「ぴゅうするる〜」と太鼓の音と共に八天さんもどこかに落ちてゆく仕種。
・続いては現代の深夜。西明石の駅で終電で眠りこけていたところを車掌に起こされた男。「あー寒い寒い。ここで夜明かしかあ……。お、あそこにコンビニの灯りがみえる……」と一歩踏み出したところでそこには何もない。そのまま穴に落ち込んで「ぴゅうするる〜」どどん。
・「船長、船長、どうしたのだ」「う、ちょっと気を喪っていたようだ」とアポロ十一号のアームストロング船長が答える。「大丈夫か」「いや、今から月面に降り立つところだ。ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩だ……」と踏み出したところに何もない。そのまま穴に落ち込んで「ぴゅうするる〜」どどどん。
・続いて落語家の月亭八天。東京の売れない小説家が書いたけったいな落語を演じる羽目に陥って悩んでいる。そんな彼も一歩踏み出したところに何もない。「ぴゅうするる〜」
・……とまあ、古今東西さまざまな有名無名な人々がさまざまなシチュエーションにおいて、「一歩踏み出すと何もない」という定型に陥ってしまうのが序盤。さらに彼らがとんでもない世界で邂逅して物語の人物、現実の人物が直接に交渉しあって、この世界は一体どないになっとるんや……というメタ・フィクション。浅暮さんらしい発想と展開は、まんま浅暮短編を味わっているがの如し。


08/02/24
・中入り終了後、壇上には田中啓文さんと、浅暮三文さんが浴衣姿で上がってくる。この浴衣姿も何回目かで段々見慣れてきた印象。とりあえず先に演じられた「いらちのお化け屋敷」レビュー……の筈が、八天さんがほとんど紹介しなかったこともあり、井上雅彦さん=伯爵の人物紹介に。「こーんな髪型で、スーツの下になんてゆうの、フリルみたいなびらびらの着いたシャツを着てる」「カラオケでは滅多に歌わないけれど、夜中に『ゴールドフィンガー』を歌って、あと一人で窓の外とか見ている」「かつては子役でテレビに出ていたらしい」などのエピソードと共に『異形コレクション ひとにぎりの異形』の紹介。一人がまとめた最大のアンソロジーとしてギネスブック申請中だとか。

・浅暮さんの作品は、前回の反省(どのあたり?)を踏まえて書いたという気合いの入ったコメントとなるはずが、何故かガスレンジを交換した話だとか、老人は朝が早くてかなわんといった話に。また、落語の方は「落語で笑おうと思っている方が間違い」というメタ落語との由。さすがに内容はネタバレになるから言えないとのことでお二方は舞台から降りてゆく。

・八天さんが登場。何やら硬い表情でマクラを呟いた後に浅暮三文さん原作の『ぴゅうするる』が始まった。


08/02/23
・お知らせです。

MYSCON9 ゲスト二組目が決定しました。田代裕彦さんです。田代裕彦さんは、 『平井骸惚此中ニ有り』で、第3回富士見ヤングミステリー大賞<大賞>受賞。同シリーズの他ライトノベルを中心に活躍しておられますが、昨年は一般向けの初作品として『赤石沢教室の実験』を刊行され話題を呼んでいます。

・続いてMYSCON9、昼の部、夜の部ともに参加申込の受付を開始しました

・リンク先のフォームに記入して送信すればOKです。夜の部はちょっと……という方も、昼の部だけでも遊びにきて下さいますと幸いです。今回はゲスト二組と昨年よりお一方減りますが、その分、MYSCONならではの企画を行う予定です。楽しいですよ。なお、昼の部・夜の部ともに定員になり次第締め切らせていただきます予定です。お早めにどうぞ。


08/02/22
・井上雅彦原作「いらちのお化け屋敷」

・長屋の物知り、甚兵衛のもとにやって来た清六。甚兵衛は何やら判じ物を読んでいる。「なんでっかこれは」「いや舶来の判じ物や」……なぜか甚兵衛が手にしているのが『スウィーニートッドの理髪師』とか『28日後...』。「『28日後』は人間がわあわあ言うて走り回る話や」「わあわあウイルスですね」「人間がいらちになる話や。いらちウイルス」「いらちウイルスといえば、ウチの近所にいらちウイルスに感染したような男がいてますんや」……といった具合で、間違えて別の長屋を訪ねまくってようやく甚兵衛宅に現れたのは喜八。さんざん甚兵衛と清六を相手にさんざんボケた間違いをしまくった後、喜八は甚兵衛に相談する。

・「中之島にお化け屋敷ができて、息子の虎公が行きたがってるんですが、自分は怖いものが苦手で」「なんとか怖いものを怖くなくする方法はありませんか」という内容だ。甚兵衛の提案はお化けについての解説だった。お化けは分からないから怖い。ならばお化けについて知識があれば怖くなくなるだろうということで、幽霊と妖怪の違いや、妖怪の種類について喜八はレクチャーを受ける。ろくろっ首、鎌鼬、猫娘、砂掛け婆、ノヅチにミズチ……「あ、それ知ってる、マラソンの人でっしゃろ」「それは野口みづき」といった感じで蘊蓄と地口・駄洒落のオンパレード。妖怪西洋編も吸血鬼、フランケンシュタインと同様に続いてゆく。

・そんなこんなで自信を得て帰宅した喜八は、息子の虎公にお化け屋敷に連れて行ってやると約束する。しかし、深夜にもかかわらず喜八の家に「ごめんください」とやって来たのは……。

・後で伺った話によると、東京弁を関西弁に直すだけではなく、後半部はかなり八天さんが作り替えた模様。江戸落語の粗忽者と上方落語のいらちとの大きな性格的な違いがまずあって、感覚的にはその違いが内容にも影響を及ぼさざるを得なかったのではないかと推察される。八天さんの発表した内容でしか評価できないのだが、マニアックに蘊蓄が語られる前半も面白いながらちょっとがちゃがちゃしすぎているような印象があって、むしろ後半部の帰宅後にするっとサゲがつく締め括りが巧いと思った。ただ、貪欲に様々な要素を取り込もうという井上雅彦という作家の個性が凄まじく強く感じさせられる内容であり、ファンの方の期待には応えられる内容になっていたのではないだろうか。

・ここも進行パターン変更で、一作目終了後すぐに中入りに入る。


08/02/19
第11回「ハナシをノベル!」に行ってきました。

・年明けて最初の開催は、二月さらに平日月曜日ということでまず開催パターンが少し違う。お客さんはこれまでのなかでも多い方でしょう。(本来はもっと入って欲しいものでしょう)。創作落語には「ちりとてちん」効果はあまりないのか。ということで開口一番。今回は、桂雀五郎さんによる「手水回し」がいきなり始まる。このあたりもパターンが少し違う。これまでであれば、取り敢えず田中啓文さんと八天さんが舞台に上がっていろいろこれから始まる落語についてトークがあったのが、舞台に関する注意(携帯切れとか)なく、いきなり前振りから。

・「手水回し」(ちょうずまわし)は上方の古典落語。大阪からきた旦那さんが、どこかのど田舎の旅館に宿泊。自然を満喫する。朝、部屋の窓を開けるとそこは田園風景。そこで顔を洗おうと思い立ち「おーい、ちょっと、手水を回しとくんなはれ」と女中のおなべさんに頼む。しかし、おなべは「ちょうず」が何なのか分からない。「主人に聞いてからにします」と泡を食って旅館の主人に尋ねるのだが、その主人にも「ちょうず」が分からない。当然知っているような振りをして、板前にそのことは任せてあるといい……。

・雀五郎さん、マクラから序盤にかけて微妙に堅かったのが、手の動きや視線の動きを交えるようになると興に乗ったのか良い落語に。特に、隣村から「ちょうず」を連れてきて、大阪の旦那にそれを披露する場面の動きが非常に良かった。上方落語とはいえ、笑いのもとになるのが田舎の旅館の人々である点、他の落語と笑いに微妙な差異があるように思ったのは、落語をよく知らないこちらの妄想かも。

・とまあ、会場がほどよく暖まってきたところ、ここでも事前解説といったトークは抜きに八天さんが登場。またもや八天さん、原稿は見れども作者の井上雅彦さんのことはほとんど全く知らないままであることをマクラに「いらちのお化け屋敷」の始まり。


08/02/16
・再来月、四月開催のMYSCON9の一人目のゲストが決まりました。 詳細はこちら。 というか関西から現在旬を迎えつつある近藤史恵さんをお迎えします。

・また来週から受付も開始されます。前回のMYSCON8同様、昼の部と夜の部の二部構成ですので、両方参加できなくともどちらかだけでの参加もOK。特に昼の部についてはゲスト三名だった前回からは多少方式が変更される可能性もありますのでご期待くださいませ!


08/04/13
MYSCON9、なんとか無事に終了しました。参加頂きました皆さま、お疲れさまでした。今回もまたいろいろ反省する点もありましたが、来年は記念すべき十周年ということで、様々な企画を事前から準備して魅力的なイベントにしたいと思います。

・なぜか小生までもが『クラシック・ミステリのススメ』を購入してしまう。いやいや、MYSCON公式同人誌ということにもなっているのでいいのだ。

・ということで明後日もイベント。仕事の都合がつくかどうか個人的に微妙になってきてしまった。(この土日に思いっきり遊んだわけなので)だけども告知。楽しいです。来てください来てください。

・ 第12回 落語再生公開堂「ハナシをノベル!!」

 4月15日(火) 18時30分開場 19時開演
 入場料 当日2000円(当日券のみ)
 出演 月亭八天
 演目  「げに恐ろしきは……」(作・牧野修) 「やっぱりエコが好き」(作・我孫子武丸) 月亭八天、田中啓文、牧野修、我孫子武丸各氏によるトークコーナー
 場所 大阪市中央公会堂地下大会議室 地図はこちら

・牧野さん、我孫子さん、お二人とも久々の落語作品発表です。しかし先のMYSCONで第11回の原作者でもあるアサグレさんと、この『ハナノベ』、豪華作家の書き下ろしが二本も毎回見られるなんて、めちゃくちゃ贅沢なイベントやなー、参加者、おトクやわー、といった話をしたことを、ふと思い出したり。


08/02/13
・第十回を終えたあと少々インターバルがありましたが、ハナノベがまたまた開催されます。今回の原作は、伯爵・井上雅彦さん初登場に加えて浅暮三文さん再登場という豪華版。

 第11回 落語再生公開堂「ハナシをノベル!!」

 2月18日(月) 18時30分開場 19時開演
 入場料 当日2000円(当日券のみ)
 出演 月亭八天
 演目  「ぴゅうするる」(作・浅暮三文) 「いらちの化け物屋敷」(作・井上雅彦) 月亭八天、田中啓文、浅暮三文各氏によるトークコーナー
 場所 大阪市中央公会堂地下大会議室 地図はこちら

・月のど真ん中の平日、月曜日の夜ということでお仕事・学校帰りにするりと立ち寄れる日程となっております。月初月末でないのも個人的には有り難いところ。

・さて『異形コレクション』を十年以上編纂されている井上雅彦さん、単著でも美しい幻想譚・ホラーがありますが、これが落語でどういったお話となるのか。(当日、会場にはいらしゃれないようです。残念!) 一方の浅暮三文さん、前作の『動物記』も十分面白かったのですが、御本人曰く「リベンジ!」とのこと。会場の雰囲気や八天さんの芸を知ったうえでの作品、こちらの期待も高まります。

・改めて書きますが、特に予約は不要。当日ふらりと会場を訪れてくださればOKですよ。会場は大阪市営地下鉄御堂筋線「淀屋橋」駅を降りて数分。


08/02/02
・まあ今さら「赤毛組合」のあらすじを紹介しても仕方ないのかもしれません。が、探偵講談『禿頭組合』はこんな感じ。

・日本橋で小さな質屋を営む入江。でっぷり太って赤ら顔で見事なまでに頭が禿げ上がった大阪商人という出立の彼が、ホームズ宅に相談にやってくる。彼の話によれば、最近まで「禿頭組合」というところで週四万円のアルバイトをしていたのだが、その組合が無くなってしまったのだという。その「禿頭組合」というのも奇妙な組織で、好事家の那須金造なる人物が欠員補充と称して「大阪在住の健康な男子で頭の禿げた人物を求む」という新聞広告が出ていたのだという。入江氏の店に勤める店員・鷲尾の薦めで応募したところ見事に当選、写経の仕事を毎日四時間行って、給金もきちんと渡されていた。しかし、ある日を境に事務所が閉鎖されており、入江氏は訳が分からずにホームズに相談にやって来たのだった。

・とまあ、ウィルソン=入江、ロス=那須といったあたりの翻案の妙。さらには、谷町九丁目の事務所にわらわらと大阪中から集まってきた禿頭のおっさんたちの集団……といった固有名詞の移し替えや設定の変化したところに奇妙な味わいが。一方物語の進展は基本的に原典通り。改めて耳で聴くと、この作品の持つ素晴らしさが感じられる。発端の奇妙さ、展開の異常性に加えて様々な要素を一つにあつめてとんでもない真相に導くホームズ推理の妙味。さすがに数あるホームズ作品のなかでも傑作として数えられることを改めて実感した次第。


08/01/30
・……とまあ、『蠅男』なのだが、やはり聞きどころは宝塚からの味噌配達人から帆村がオート三輪を奪い取っての大追跡劇と、ラストの天王寺の温泉対決にあるか。温泉対決についてはこの講談バージョンの場合は、原典に登場するある人物をさっぴいている関係で、ああいう身体状態の蠅男がどうやって帆村を襲うのか一部わけのわからない(ここは訂正の余地ありと打ち上げで話になりましたが)ことになっており、そこが余計に話術によって盛り上がる。

・乱歩に絡まない探偵講談のなかでは、かなり再演率の高い『蠅男』。海野十三原作につき、ミステリ界隈でもSF界隈でも親和性が高いので今以上のブラッシュアップを期待。(今でも十分面白いんですけどね)。

・続いてはホームズものということで『禿頭組合』。明治後半に訳された時には普通に『赤毛組合』だったらしいものの、その当時の講談・小説お得意の翻案で、日本を舞台に日本人が登場する作品に変換された際、やはり「赤毛」に馴染みがないため「禿頭」になってしまったとのこと。今回の南湖さんの講談は、明治四十年に佐川春水という人物が出した訳注書(これは「赤毛」)を「禿頭」にしたうえで、明治なのか現代なのかよく分からない時代を舞台にホームズたちが活躍するお話。ホームズ&ワトソン以外の登場人物は日本人。ちなみに明治時代の翻案では、ホームズ=本間、ワトソン=綿園といった名前に変えられていたそうです。


08/01/28
・しばし放置しているうちにアクセスカウンタが百万を超えていました。いつも御愛顧ありがとうございます。

・さて、1月27日、予告しておりました通り第38回「名探偵ナンコ」開催。以前からホームズものということはこちらでも発表していた通りながら、メールで配信されていた題名が『禿頭倶楽部』、さらに当日の案内では『禿頭組合』となっており、まあ想像の範囲でしょうが、これはコナン・ドイル『赤毛組合』の翻案もの。さらに今回は古典講談の代わりは意外なことに「名探偵ナンコ」では初めての再演となる『蠅男』。MYSCONにいらっしゃった時などに演目になっていた作品なので、耳にした方も多い名作です。

・とはいえ当日日中は雪もちらつく悪天候。夕刻を迎えて冷え込みもきつくかなり会場は寂しい状況のなか、開演。まずは最近のラジオや徳島に行った話などを交えながら『蠅男』へ。(初演か何かの時に粗筋紹介していたかも? が、改めて)。

・閑静な住宅街・帝塚山に妙な臭いが立ちこめる。そう焼き場の臭いだ。この地にある旅館に滞在していた探偵・帆村荘六は持ち前の好奇心から、この臭いのもとになっている建物を探しに出る。やがて辿り着いたのは病院とも邸宅ともつかない灰色の奇妙な建物。煙突からは煙も出ている。近所から「キチガイ館」と言われているドクトル鴨下の館であった。同じく建物を調べに来た大川巡査部長は帆村とは顔なじみで、早速、館を調べてみることになる。入り口には「暫く旅行に出る」という張り紙があるが、西の窓から入って邸内を調べたところあかあかと燃えるストーブが。そこには人骨が。更には煙突には半分焼けた人間の死体が込められていたのだ! 廊下を捜索に出ようとした帆村荘六に扉の影から向けられた銃身。そこから放たれた弾丸は、どてら姿の帆村の肩を射抜き、帆村は気を喪ってしまう……。


08/01/22
・名探偵ナンコのお知らせ。さて2008年です。新年会しましょう。

1月27日(日) 
 第38回『名探偵ナンコ』 〜よみがえれ!探偵講談〜


 会場/本遇寺(JR東西線「新福島」・ 阪神「福島」下車、地下鉄2番出口から徒歩5分。JR環状線「福島」下車徒歩10分。福島区福島3-7-38)
  開場/18:00 開演/18:30
  料金/当日1500円

  出演/旭堂南湖「探偵講談 ホームズ」、「古典講談 お楽しみ」
  ゲスト・芦辺拓先生(作家)「対談」

・今回も先月に引き続き、名探偵ホームズものの講談となるようです。前回と同様であれば、いわゆる「名探偵シャーロック・ホームズ」として現代語として訳されたものではなく、明治後半期に初めて日本にホームズが紹介された時の天馬桃太による翻案ものが演じられるはず。全国のシャーロキアンの皆さま、これもまたホームズのひとつのかたちですよ。


08/01/17
・ちょい気になってメールにかけてあるスパムフィルタのゴミ箱を覗いてみると、結構さりげなく必要なメールが振り分けで捨てられている。このあたりの設定の匙加減が難しい。実は、先月の「ハナシをノベル!」の案内メールも直接スパム扱いされていた。そのこと自体にびびる。の割にどうでも良いスパムが普通に届いたりするし。

・桜庭一樹さん直木賞受賞おめでとうございます。MYSCONのゲストで昨年呼んでいたということ自体凄いことだったよなあ、としみじみ。


08/01/08
・昨日、鮎川哲也『悪魔はここに』の感想を書いたのだが、この「悪魔はここに」というキーワードをgoogleで検索してもあまり面白くないが、Yahooで検索するとちょっと面白い。それだけです。


08/02/06
・ということで、書き忘れ。次回の探偵講談「名探偵ナンコ」は、3月第四日曜日、即ち23日にあります。題材はガボリオの「ルコック探偵」より、「大疑獄1」。いささかマニアックな気もしますが、探偵講談らしい探偵講談が味わえるものと思われます。


08/01/05
・あけましておめでとうございます。

・年明けということで気持ちも新たに、ほんの少しですが数年更新していない陳腐化したコンテンツを外し、少々シンプルな方向にトップページを変更してみました(ぱっと見は大して変わってないと思います)。最大の懸案として全体のブログへの移行とかも考えないでもなかったですが、まあ、それはそれで大きくパワーが必要なのでこれはこれで良いや。またe-NOVELSが独自サイトからTIMEBOOK TOWNへ移行した部分についても地味に変更しています。小生が担当していた作品は黄昏ホテルが圧倒的に多いせいもありましょうが、ほとんどの作品はまだ移行先e-NOVELSページにて購入が可能です。

・もうひとつ、WEBやインターネット文化がリンクからアンテナ、アンテナから検索へと変化しているので細々と続けていたリンクページはこの際廃止。ただ、消す前にリンク先をひとつひとつ巡回したら、それはそれで面白かった。無料ページを使用される方が減ってきているせいか、リンク切れってほとんどなくなっているのも時代だよなあ。いずれにせよ全く更新されていないサイトは昔も今も沢山ありますが。あと気付いたこと。サイト開設当初というか7〜8年前のリンクページっていうのは、例えばmixiでいうところのマイミクシィみたいな存在でして、例えば各サイトの管理人同士の交流関係を知るのにリンクページを見に行くのも一つの手段でした。(後はBBSとか)。考えてみれば、リンクの許可を得る行為ってのはマイミク申し込みとどこか感覚が近いかも。

・等々、サイト全体の枠に関する作業を行いました。こんなんするのって年に一度だけ、毎年正月休みにしかしないような気がするので、今年は恐らくこのレイアウトで行くことになりそうです。 さて読書はというと。2007年最後に読了したのが太田忠司作品という点はとにかく、2008年最初に読了したのが友成純一作品でした。今年はそんな年なのかな? (どんな年やねん)。