初代Macintosh(128K)に搭載されたモトローラ製の68000(千の位を略して「68K」とも呼ばれます)CPUは、性能の向上と共に68020、68030と型番が更新され、1991年には68000ファミリーシリーズ最強の68040CPUが登場します。
※厳密には、引続き68050の開発も行われていたようです。しかし、この時すでにApple社は、米IBMとの技術提携による新しいアーキテクチャのCPU「PowerPC」の開発に着手しており、新CPUを搭載する「Power Macintoshシリーズ」のリリースを予定していたため、結局、68050CPUを搭載するMacintoshが世に出ることはありませんでした。

 時を同じくして、OS の新バージョン「System 7」が発表され(漢字 Talk7のリリースは、その1年後)、この新OSに対応した新しいシリーズとして、68040CPUを懐に抱く「Macintosh Quadra」が登場しました。

 Quadraの名称の由来である「Quad」はラテン数字の「4」を意味し、これは心臓部に第4世代である68040CPUの搭載を示唆するもので、一説には開発コードがそのまま製品名称になったとも言われています。最初にMacintosh初のフロアスタンドタイプ「Quadra 900」と、デスクトップの「同 700」の2機種が発売されます。その後、Quadraはシリーズ化されPower Macintoshが登場するまでの間、Appleのメインストリームマシンとして君臨します。

 Quadra 700は、名機Macintosh IIci、同cxと同じ構成の筐体を使用しながらも、新たに縦置きを標準としたスタイルで登場しました。デザインはIIci、IIcxを手掛けた独・フロッグデザイン社で、細いスリットが全面に入れられた独特の仕上げです。このスリットの一部は、外気を導入する吸気口やスピーカーのグリルも兼ねています。単純な箱型形状のボディーながら、シャープで洗練された印象を与えつつ、ハイスペックマシンとしての存在感を充分表現している絶妙なデザインとして、今でも熱狂的なファンがいるほど人気の高い筐体です。(私もその魅力にはまった一人です。)

 68040CPUは、当時はオプションユニットだったFPU:浮動小数点演算ユニット(コプロセッサ)を内蔵し、また内部の処理も効率化が図られた全く新しいCPUでした。このCPUと「System 7」で実現した32ビットアドレッシングの効果により、Quadraはそれまでの68030CPUを搭載するMacintoshと比較して、処理スピードで約5倍もの飛躍的な性能向上を達成します。その反面、CPUにかかるコストが増大し、搭載できるMacintoshはQuadraシリーズのみとなり、一般向けローエンドのMacintosh(LCシリーズなど)には、内蔵FPUの機能を省いた「68LC040」が別途開発されることになります。また、従来のCPUを搭載する既存のMacintoshとの互換性にも問題があることが判明、当初は全くj動作しないアプリケーションすらありました。

 それでもQuadra登場以前のハイエンドマシンである「Macintosh IIfx」の2倍以上の性能を有しながら、価格はIIfxよりも低く設定されいたため、グラフィックユーザーを中心に幅広く活躍しました。Macintoshの歴史上に名をとどめる名機として、クラシックMacユーザーの間では、依然としてその人気に衰えはありません。






■ある雑誌でも紹介されていましたが「Quadra」と言う名称は、CPUの型番をそのシリーズの名称に取り入れることで、今日では定着したMacの呼称(例えば、G3/G4というシリーズ名)の元になったともいえるかもしれません。(それ以前に発売された「Macintosh SE/30」(68030を搭載したコンパクトMac)はシリーズではなく、単体としての名称でした) 標準の使用環境を縦置きに設定しているので、当然そのロゴも縦に入れられています。6色のりんごマークは、後のモデルと比較して、ひと回り大きいサイズとなっています。





■IIci/IIcxと同じように横置きにしてみました。Quadra700でも横置きが可能なように、正面から見て右側面に、横置き用のゴム足を差し込む穴があけられています。縦置きの場合、最初はフロッピーを入れる向きに戸惑いましたが、横置きで考えるとこの写真のようになります。ロゴが縦書きになっているので、やはり違和感があります。基本的にIIci/IIcxと同じ構成のケースですが、天面(写真では右側面)に横方向のスリットが入っていないのがQuadra 700の筐体です。スタートボタンと、リセットボタンは丸形に変更されています。





■リヤパネルの雰囲気はIIci/IIcxを受け継ぎますが、拡張スロットの数は、IIci/IIcxの3つに対して、Quadraでは2つとひとつ減らされています。Ethernetポートが標準で搭載されていますが、AAUIタイプなので、現在一般的なRJ-45タイプのケーブルと接続するためには、Ethernet
トランシーバーが必要となります。また、サイズが同じであることから、Power Mac7100のロジックボードを搭載するという改造が流行りました。但し、ポートの配列が異なっているので、全てをくり抜くか、7100から移植する作業が必要です。その気になれば、G3/G4化も可能です。





■内部レイアウトです。ロジックボードの上に電源ユニットと、フロッピードライブ、ハードディスクが立体的に配置されています。中央の少し下あるヒートシンクの部分が68040CPUです。その下にNuBUS拡張スロットが2基並んでいますが、再下段の1基は、プロセッサダイレクトスロット(PDS)と直列に配置してあるため、PDSにプロセッサアクセラレータカードを装着した場合、空きのNuBUSスロットは1基しかないことになります。


■各コンポーネントの分解はコツを掴めば簡単に行えます。最初にフロッピー/ハードディスクドライブのマウンタを固定しているネジ1本を外すだけで、後は全てはめ込みで固定されているだけです。ひとつのパーツが別のパーツのロックを兼ねていたりするので、電源ユニット→ドライブマウンタ→スピーカー&スイッチ→ロジックボードの順晩で取り外していきます。ドライブマウンタの下にメインメモリスロット×4、VRAMスロット×6があります。




■G4/500MHzと並べてみました。奥行き、高さともにG4よりひと回り小さく、きわめてコンパクトにまとめあげられています。両者とも縦置き専用に設計されただけあって、共にデザインバランスも絶妙だと思います。68K CPUの言わば第4世代を搭載するQuadraと、PowerPCの第4世代を搭載するG4。時間を超えて新旧第4世代のMacが肩を並べている姿は感動的ですらあります。どちらもKazzyお気に入りのMacです。
Macintosh Quadra 700 M5920
  • プロセッサ:25MHz MC68040(32bit Clean) FPU、PMMU内蔵
  • メモリ:標準4MB → 68MB(4+16×4)に増設
  • ドライブ:1.4MBフロッピーディスクドライブ
  • ハードディスク:標準80,160,400MB の3種 SCSI(50pin) → Quantum230MBを搭載
  • ビデオRAM:512KB → 2MB(16インチモニタで832X640/1,670万色が可能)
  • モニタ:13"AppleColor High-Resolution RGB Monitor(LC IIと共用)