EMGピックアップ取り付け

0.はじめに

エレキギターの趣味も長年やっているうち所有本数が増えてきました。中には不満が出てくる様なギターも有りますが、今回の見直しはそんな1本。→Fender Japan AST-80M/DH エアロダイン(発売当時新品購入57000円弱)
ミディアムスケールでボディも若干小さく軽く非常に弾きやすいのだが、音が好きになれない。
ストラト独特の枯れた(乾いた)音を、艶のあるハスキーボイスと表現するならば、エアロダインは風邪をこじらして声は枯れているが、少し湿って太い声。アルダー材のボディと比較してやや芯がなく若干濁った柔らかい鳴りやアタック感はそれなりの品質のバスウッド材のボディやローズウッド指板という仕様の影響と思われる。

1. ピックアップ交換の検討

音について大きな改造をするにはピックアップ交換は外せません。
交換にあたりボディ材の特徴を見ると、
アルダー→中域が強い マホガニー→
中低域が強い バスウッド→高〜低域でフラットで素直
ん〜・・・フラットで素直な音の意味が判らない。
とにかく、このエアロダインに味わい深い音を求められないと判断した上で、パワー、アタック感、サスティーンの向上、歪ませても音の輪郭がはっきりするピックアップはないかと考え、パッシブよりアクティブに交換する方が面白そうだと考えました。

2.EMG取付


AST-80M/DH エアロダインはSSHですが、HSHのピックアップのザグリが入っています。
ハムバッキング×2に変更します。同時にピックガードの制作、バッテリーボックスも付けます。

2-1.EMG選択

 基本的にハードロック、メタル、インスト系が好きなので
・フロント:シングルっぽい音で輪郭がはっきりしていてハムの様なパワーがあり、クリーンなアルペジオから軽く歪ませたリード時には甘い音も出したい。
・リア:ドンシャリ系のリフから、ソロ時には歪ませても潰れない音を出したい。
・センター:要らない。メタルにセンターなど邪道なのだ。でも逆にセンター1発のなら漢らしいかもしれない。

フロント側:EMG 60A(アルニコ)、リア側:EMG 81(セラミック)を選択


2-2.ピックガード制作 

 既存のピックガードの加工をするか、自作するか迷ったのですが、レギュラーサイズのストラトと違って市販されていないので自作することにしました。
 ピックガードの素材は塩ビ板が一般的で加工もし易いという事で塩ビ板を選択。
ストラトの場合ピックガードの面積も広く、またピックアップもピックガードで支えられてるので多少音に影響すると思います。アクリル板がバスウッドの様な柔らかい木には良いのかもしれませんが、硬く加工時に割れやすく、
また工具が充実していない為パス。アルミ板についても金属は高域を削るとの事なのでパスしましたアッシュ材の様な硬い木なら丁度良いかもしれません。

近所のホームセンターで2mm厚の
硬質塩ビ板がに売っていなかったので1mmの板を2枚(黒と白)購入し強力接着剤にて張り合わせました。2プライ(2層)になります。(ミディアムスケールのギターの場合、最低A4サイズ必要)

作業手順
@作業中出来るだけ板に傷がつかないよう
セロテープマスキングテープを全面に貼る。
Aピックガードの型を
マジックで書く
B
アクリルカッターで切りたい部分を傷をつける。
C
ドリルで割れやすそうな角に穴を空ける。
D
アクリルカッターで更に深く傷をつける。
E
ハンディ二ブラー2mm厚可能なHOZAN K-88でガジガジ切る。
Fバリを
カッターナイフで取る。
G
ヤスリがけ。
H
ハンドドリルでネジ穴を空ける。
Iポッド部分は穴あけ後、
テーパーリーマーにて穴を広げる。
JPUセレクタースイッチ部の穴は
ハンドドリルで小さい穴を直線に空けていき、小さい平ヤスリでバリを取る。

↑加工しないと入らない           ↑作ろう              ↑出来た

2-3.電池ボックス取付

バッテリーボックス FERNANDES FER-2使用

★作業手順
@バッテリーボックスが入る掘りたい(ザグリたい)長方形部分を
マジックで書く
 ※バッテリーボックス用のザグリからバッテリー配線用の穴の貫通場所も考慮してザグリ場所を検討。

A
マジックで書いた外側が傷つかないように、テープでマスキング。
Bマ
ジックで書いた線の内側に沿ってドリルでザグリたい深さの穴を開けていく。
Cザグリ部分内に
ドリルで穴を適当にガンガン空けていく。
DCで開けた穴に太めの
マイナスドライバーを突っ込みテコの原理でバキバキ割っていく。
 ※普通は
ノミを使うのでしょう。
Eバリを
カッターナイフヤスリで取る。
 ※バッテリーボックスで隠れる部分なので見栄えは気にしない。
Fキリ等でバッテリー配線用の穴を貫通。
Gザグッた場所を
木部ニスで下塗り1回。
Hザグッた場所を
サンディングシーラーで中塗り1回。
Iザグッた場所を
ラッカースプレー吹き付け1回。
Jバッテリーボックスを
プラスドライバーでネジ付け。

2-3.EMGピックアップ交換

最新のEMGはコネクタ式タイプで半田付け部分が少ない様です。(基本PUセレクタースイッチ部分だけ)
ポッドは25Kと特殊で、基板付のポッドにはコンデンサも内蔵されています。
ハムバッキング2つ(2H)なので、3WAYのPUセレクター(
Montreux CRL 3WAY switch)を用意しました。
フロント(ネック)側のトーンは絞って使うのが好きなので、1ボリューム2トーンの使い勝手が良い。

EMG取付配線図(2H 3WAY 1V2T)


写真@                       写真A                        写真B

ノイズ対策としてザグリ部分とピックガード裏面に導電性銅箔テープを貼りました。ついでにSTRING SAVERも他のギターから移植。
配線材は耐久性を考えBELDEN使用。音の通り道はDCT BELDEN #8503 クライオ処理。半田はKester#44

PU高さ調整 ※個人的な方法
@フロントPUの高さを下げる。
Aエフェクターでちょっと歪ませた6弦開放を鳴らしながら、6弦側PUの高さを少しずつ上げていく。その時、音がゆっくりウネリ始めた所で6弦側高さ調整一旦ストップ。
Bエフェクターでちょっと歪ませた1弦開放を鳴らしながら、1弦側PUの高さを少しずつ上げていく。その時、音がゆっくりウネリ始めた所で1弦側高さ調整一旦ストップ。
Cクリーントーンや歪ませた6弦12Fを鳴らしながら、6弦側PUの高さを上下微調整。その時、音色や音の伸び方が好みの所で6弦側高さ調整ストップ。
Dクリーントーンや歪ませた1弦12Fを鳴らしながら、1弦側PUの高さを上下微調整。その時、音色や音の伸び方が好みの所で1弦側高さ調整ストップ。
EリアPUの高さ調整も@〜Dの要領で行う。
FフロントPUで適当に弾く、次にリアPUで適当に弾く、フロントPU音量がリアPUに対して大き過ぎたらフロントPUを下げる。フロントPU音量がリアPUに対して小さ過ぎたらフロントPUを上げる。

フロントPU←2.5mm位→弦 リアPU←2.0mm位→弦 になりました。

EMG取付け時の問題点と対処>>>>

●電池スナップからの電源供給の赤い線が短くアッセンブリーまで届かない。また平型端子が電池ボックスからジャック部に貫通させた穴に通らない。
→電池スナップの線を途中で切りジャック部に通した後、線を延長。(写真@A)
 (赤と黒の伸縮チューブがアッセンブリーに付属されている。)
●ジャックのザグリスペースに余裕が無くVolポッドからの平型端子が入らない。また線が短い為、届かない。
→平型端子部分を切断し線を延長後、ジャックに半田付け。(写真@)
●ピックアップからの配線が長すぎてポッド部のザグリスペースに余裕が無い。(写真B)
→線を結束バンドでまとめる。(写真B)ポッド部のザグリスペースには電池を格納する余裕は無い。
●フロントピックアップがザグリに引っ掛かりピックガードがハマらない。
→付属の長いスプリングを使用せず純正のスプリングを使用し目一杯ピックアップの高さを上げる。ピックガードのネックとボディの間に挟まる部分((写真Bのフロントピックアップの上の部分)を少し削る。ピックガードを少し曲げてフロントピックアップをザグリにはめる。


Jim Rootっぽい!?
                              目出度くメタル仕様になりました!!

3.所感

ピックアップ交換前と後にブラインドテストをしたら全く判らない位、音が激変しました。このピックアップの特性(うたい文句)を素直に引き出している気がします。これがバスウッド材のフラットな音がすると言う特徴かもしれない。

・サスティーンが格段に伸びるようになった。
・ノイズレス。
・クリーンが非常に綺麗に聞こえる。ピッキングの強弱による音量のムラがパッシブ程目立たない。
・音の粒が揃う=上手く聞こえる=若干コンプ感がある=ピッキングの角度によるニュアンスに欠ける(パッシブPUと比較し順アングルでも逆アングルピッキングでも同じ様な音に聞こえる)
・軽いタッチも良く音を拾う。レガートや両手タッピングプレイヤーに向いている。パッシブPUで音を出す程、力が要らない。
・パッド系や飛び道具的なエフェクトのノリ(相性)も良い。
・サスティーンやコンプ感があるせいかアタック感はパッシブより弱く(弱いピッキング時には特に丸い)感じ、ブリッジハーフミュート状態でのハードピッキングはパッシブより音の輪郭がはっきりして好きだが、拭くようなソフトなピッキングではパッシブの方がアタック感が有り好み。
・倍音、ピッキングハーモニクスは、高出力パッシブPUの方が若干出やすい感じがする。
・メタリカやザックを弾きたくなる。もしくは44マグナム。


ゲイリームーアの泣きのギターでサンセット(B'z松本孝弘様ver)です。ピッキングニュアンスが難しい曲に挑戦してみました。
 バスウッド材の柔らかく太めな味をベースに、EMGハムの、くっきり上品な味わいとSTRING SAVERの極上サスティーンの香りが程よくブレンドされ、美味しく仕上がっていると思います。太めの音がします。



ラウドネス高崎晃様のバラード系インストでURBAN NIGHTSです。パッシブPUと弾き比べると若干、音が細くなり迫力では負けますが、タッピング時には威力を発揮します。パッシブPUではある程度歪ませ強めにタッピングしないと音量が稼げませんがEMGではソフトタッチでイケます。と、までは言い切れませんが、パッシブPU時程の力強さやエフェクトの歪みは不要なので音の分離が良く綺麗に鳴りやすいです。

まとめ

 ギターの材、形により得手不得手があり、それがギターの個性である事を理解しようとした上で改造しないと費用に伴った効果が見られない事もあります。今回の改造費は25000円位なので非常に満足しています。業者に依頼したら部品代込で5〜6万円位掛かるでしょう。
 アクティブPUのギターは、ピックが重く長時間弾いていると筋肉痛なると言う超細身の方でもしっかり音が出て、逆に超マッチョで新品の弦をピックで切れるというハードピッキングの持ち主でも音が暴れない反則技的なPUだと思いました。 (ピッキングの強さに関係なく音量のニュアンスが変わらないと言う事ではありません。)
 好みが分かれるパッシブPUとアクティブPUですが、それぞれに適した演奏スタイルがあり、どちらが優れているとは言えません。ただアクティブPUがメタル系に注目されるという事は理に適っていると解りました。
 とにかくEMG搭載のギターを1本でも所持してるとTPOに応じれるって事かしら・・・。 

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