あきらめろと云うが



かの女を 人は あきらめろと云うが
おんなを 人は かの女だけでないと云うが
おれには 遠くの田螺の鳴声まで かの女の歌声にきこえ
遠くの汽車の汽笛まで かの女の溜息にきこえる
それでも
かの女を 人は あきらめろと云う




「日本が見えない」藤原書店発行 小林察編より