ある夜

月が変圧器にひっかかっているし

風は止んだし

いやにあつくるしい夜だ

人通りもとだえて

犬の遠吠えだけが聞こえる

いやにおもくるしい夜だ

エーテルは一時蒸発を止め

詩人は居眠りをするような

いやにものうい夜だ

障子から蛾の死がいが落ちた


「日本が見えない」藤原書店発行 小林察編より