曇り空  
この期におよんで
じたばたと
詩をつくるなんぞと言うことは
いやさ、まったくみぐるしいわい

この期におよんで
金銭のことども
女のことども
名声のことどもに
頭をつかうのは、わずらわしゅうてならぬ

ひるねばかりして
ただ時機をまつばかり
きょうも
喫茶店のかたい長イスの上にねころがって
曇り空をみている  

「戦死やあわれ」岩波書店 小林察編 より