町角の飯屋で


カアテンのかかったガラス戸の外で 郊外電車のスパァクが お月さんのウィンクみたいだ
大きなどんぶりを抱くようにして ぼくは食事をする 麦御飯の湯気に素直な咳を鳴らし どぶどぶと豚汁をすする いつくしみ深い沢庵の色よ おごそかに歯の間に鳴りひびく
おや 外は雨になったようですね
もう つゆの季節なんですか

(竹内浩三全集1「骨のうたう」小林察編 新評論より。伊勢文学創刊号に掲載)