【手紙】
      1940・10・5 姉宛 高円寺
                                  
  まっ暗、灯火管制なのです。
  ベエトオベンのシンホニイでも聞きましょう。
  飛行機が赤や青のクソを落としながら大空をよこぎる。
  青いのがガス弾。

  姉よりの手紙いとかたじけなし。
  ここに芸術もあり、神もおわす。

  名も知らぬ星あり、
  そを愛にたとえんか。青き星なり。

 柿やパンツがつきました。『エルテルのなやみ』や『ざんげ録』は山田へ忘れたつもりでしたら、自分で持って来ていました。映画監督論と映画俳優読本を忘れたはずですから送って下さい。

「日本が見えない」藤原書店発行 小林察編より