【手紙】
   1940年6月4日  姉宛 高円寺

 学校の説明をします。学校は面白いかときかれたら、とても面白いと答える。
 でも、少々ゲンメツを感じたことはたしかです。存外つまらん。でも、いい学校にしようと云う空気が生徒の間にかなり流れているのは、とてもうれしい。その運動には、大いに活躍するつもり。他の学校へ変わろうと云う気は、全然ない。新映画派集団とか云ったような組織を作ろうと云う、たいそれた計画まで腹の中で立てている。浩三よ、起ち上がれと云うから、浩三は起ち上がるぞ、と云ったアンバイで、学校での浩三は、中々勇ましい。
 ついで、長らくのゴブサタをおわびします。

「日本が見えない」藤原書店発行 小林察編より