【手紙】
  1940・9・19  姉宛 高円寺

 物を送るついでに(ついででなくとも)、
 ジャックナイフ
 本、『映画監督と脚本論』
   『若きエルテルのなやみ』(岩波文庫)
   『ザンゲ録』(  〃  )
を忘れたはずですからお送り下さい。それから、ボクの書きためた原稿、青いフロシキにつつんであるはず。それから、金。それからキガムイタラ、かつおのシオカラのすこし上等を送って下さい。
 物を送るときの包み紙は、店の倉にある褐色の大きな(新聞二枚くらいの)厚い丈夫な紙につつんで下さい。あの紙が少々入り用ですから。(注「伊勢文学」の表紙に使われているものかもしれない)それから、紙質のいいノオトが山田の文房具屋に残っていたら、買って下さい。
                                         まずは用件のみ。

「日本が見えない」藤原書店発行 小林察編より