【手紙】
                 1940・9・25  姉宛  高円寺

 手紙拝見。こまりました、どんな返事を書いたものかと。
 あの手紙は不満だらけですが、その不満は書かないことにします。書くだけそんだと考えました。もうこれからは手紙もあんまり書きません。書いたところで、省三さんへ出すような調子で書きます。これはとても悲しい気持ちです。でもしかたありますまい。しばらくそういう状態をつづけます。
 浩三自身けっしてダラク生だと考えません。
 なんど言ってもムダですから言いません。
 送るものは送って下さい。
 あなたと東京で一緒に住むのはいい方法だと考えますが、それも気がすすまなければしかたありません。
 「一体人間はどんな生き方をするのが一番いいのだろう。」このことをボクももっと考えますから、あなたも少しは考えて下さい。
泣かない浩三
冬休みは帰らないつもりです。
ヤマダはイヤだから。

「日本が見えない」藤原書店発行 小林察編より