【手紙】
 1942・6・19
     姉宛  板橋

 別の手紙で書いたように、青木さんに会いました。一生のお願いだそうですが、こんなたわいもないことに一生のお願いでは、人間が安っぽく見えて、いけません。一生のお願いは、一生に一度のものだと思いますが、あんたは、前にもなにかでこのお願いをやらかしたような気がします。衣料キップのように、大切に使って下され。
 
 ノブヨのシャッポは、あさっての日曜日に新宿へ買いにゆきます。おまたせしました。
 
 学校へ出てますから、御安心下され。
 
 大映の京都の助監督の口があったが、兵隊前なので、ダメでした。

 ぼくは、芸術の子です。

 ぼくのファンの女の子が、このごろ一人やってきます。いい生き方だと感嘆しますけれども、もう女の人はこりごりです。

 おケイを、嫌いです。                                                                    
さいなら