横丁の食堂で


はらをへらした人のむれに、僕は食堂横丁へながされていった

給仕女の冷たい眼に、なき顔になったのを、大きなどんぶりでもって人目からおおった。

えたいのしれぬものを、五分とながしこんでいたら、ぼくの食事が終った。

えらそうに、ビイルなどのんだ。ビイルがきものにこぼれて、「しもた」と思った。

金風(あき)の夕焼のなかで、ぼくはほんのりと酩酊して行った。



      (注  このあと欄外に「アポリネエルも戦場でいいものを書いた」との書き込みがある。)

 「日本が見えない」小林察遍 藤原書店発行 より