小さい子供さんのいらっしゃるお母さんとの雑談のときに、よく登場する話題が

胎内記憶・誕生記憶の話です。

子供が出産時の様子や母胎にいたときの様子を、産後に言葉がしゃべれるように

なってからお母さんお父さんに話して聞かせてくれることがあるのです。

しかし、その記憶は身体の成長とともに消えていくことが多いようです。

不思議ですね。

産婦人科医である池川明先生の著書に胎内記憶・誕生記憶についてまとめられた本がいくつか出版されています。

この本の内容は池川先生の診療所の患者さん、また知り合いの助産院や幼児開発センター、保育園や幼稚園などに協力を

お願いして、得られた内容になっています。

その中から私自身が興味深く感じたものを抜粋してご紹介してみたいと思います。



             



   CONTENTS .


紗季ちゃん(2歳8ヶ月頃)


       おなかの中は、暗くてあったかかった。

      できれば、ずっといたかった。

      出てくるとき、あたまが痛かった。

      とてもまぶしくて、寒かった。

      お母さんの顔がとても不思議でずーっと見てた。


      お母さんのコメント

      出産直後、産着を着せてから、左腕にのせて1時間ほど抱いていました。

      よく覚えていないのですが、そのとき私の顔を見ていたんですね。

      現在5歳ですが、今でもときどきおなかの中のことを話してくれます。

      最近は、「お花畑にいたんだよ」と言っていました。


ある本で読んだのですが、助産師さんのお話によりますと生まれてすぐの赤ちゃんがお母さんと目をピッタリと合わせる

ことが、しばしばあるのだそうです。

しばらくすると、普通の新生児になって目を合わせるということはなくなってしまうらしいのですが。

紗季ちゃんはお母さんと面と向かっての初対面で何を思ったのでしょう。

『やっとお母さんに会えたよ』でしょうか。

「出てくるとき、あたまが痛かった」ということはお母さんの骨盤の開きの可動性がよくなかったのでしょうね。





しょうたくん(4歳9ヶ月頃)


         
ママが痛いって言ったから。

        かわいそうだったから動かなかったの。



      
お母さんのコメント

      
ある日、ふと思いついて、

      「しょうちゃんはどうしてお腹の中であんまり動かなかったの?」

      と聞いてみたら、こんな答えが返ってきてハッとしました。

      この子がお腹にいる頃、手のかかる上の子の世話と、体を思いやってくれない夫にイライラしていて、
      
      望んで妊娠したものの、なかなか受け入れられずに悩んでいました。

      そんなこともあって、7ヶ月頃、あまりにも激しい胎動に、思わずお腹を叩いて

      「痛い!あまり動かないでよ!」と言ったことがあるのです。

      今さらながら申し訳ないことをしたと思います。


上の子供さんに手がかかるのは仕方がないとして、ご主人の方にもう少し奥さんに対しての気遣いが欲しいところです。

二人の間にやってきた大切な命。

奥さんの身体の方に宿っている為、ご主人にとっては実感がないせいか、他人事のような感覚になってしまうことが

あります。

それから、奥さんの体調が不安定になっているときでも、あまり気遣ってくれないご主人の話をよく耳にします。

すると、妊婦さんのイライラの衝動がお腹の赤ちゃんに向けられてしまうことがあるのです。

ご主人には、妊婦さんに対しては奥さんとお腹の赤ちゃんの2人分の愛情を注いで欲しいものです。






一馬くん(4歳頃)


       ママ、あれおもしろかったね。

       
(なに?)

       むかしむかし、こわいテレビ見たじゃん。

       
(アンビリーバボー?)

       
ちがうよ、むかしむかし、じーじとばーばと見たじゃん。

      
 (かずまも見た?)

       
かずまはママのお腹の中にいて聞いてたよ。


     
お母さんのコメント

      
子どもの方から話しかけてきました。

      そういえば、妊娠中は両親と一緒によくそういう番組を見ていました。


私が妊婦さんにアドバイスさせていただくお話の中で、妊娠中は精神的に負担のかかるようなテレビはあまり見ない

ようにお願いすることがあります。

例えば、ホラー映画とか殺人もののドラマとかです。

妊婦さんが驚いたり、心を痛めたりすると、その心の衝動が胎児にも伝わってしまうのです。

ですが、この報告例を読みますと、精神的衝動が妊婦さんの心を通して胎児に伝わるというより、お腹の赤ちゃんも

一緒にテレビの内容を聞いているようですね。

妊婦さんは、やはりテレビを見るときに番組内容を考慮した方がよいでしょう。






陸英くん(2歳2ヶ月頃)


      先生が、おいで、したの。

      それで、はい、したの。

      もう、こわくない。


      お母さんのコメント


      
ある日、子どもが、妊娠中の定期健診のときに撮っていただいた超音波映像のビデオテープを、
      
      タンスの引き出しから引っ張り出してきました。

      「これ見るの!」とせがむので、つけてあげて、
 
      「お腹の中にいたときのこと覚えてる?」と聞いてみると、

      「うん。ぐるぐる回ってた」と答えました。

      それから、何度もそのビデオを見たがり、数日後の朝、起きてすぐに言った言葉です。



私が妊婦さんにアドバイスさせていただくお話の中で、妊娠中はお腹の赤ちゃんに話しかけをするようにお願いする

ことがあります。

この報告例を読みますと出産時も話しかけは大切なようです。

先生の「おいで!」が陸英くんの心を勇気付けたのでしょう。

出産は妊婦さんにとって不安なものだと思いますが、お腹の赤ちゃんにとっても、無事に外に出られるか不安に感じて

いるのかもしれません。






貴史くん(2歳頃)


        
(手足を縮めて)
 こうやってねんねしてたの。

      暗かったけどちょっと明るかった。

      あったかかった。

      するーって出た。


      お母さんのコメント

     
「明るかった?」、「寒かった?」、「どうやって出たの?」の問いに、ひとつひとつ考えながら
     
      話してくれました。

      生まれたあとのことは覚えていないようで、「泣いた?」の問いには、「たか、泣いたの?」と
      
      聞き返しました。

      ちなみに、4歳の今は全部忘れています。


お母さんのお腹の中にいたときの心地よい様子が伝わってきます。

するーっと出てきたということは、お母さんにとってもそんなに苦痛を伴わずに貴史くんを出産できたのでしょう。






慎太郎くん(3歳3ヶ月頃)


        
あの緑色のヌルヌルのって冷たいんだよね。

        僕、あれぬられるとビクッてしちゃったんだ。


      お母さんのコメント


      今、第2子を妊娠中なのですが、定期健診に一緒に行って、緑色のゼリーをお腹にぬり、赤ちゃんの

      超音波映像を見ました。

      その翌日の言葉です。

      ほかにも、「ドアを一つ一つ開けて出てきたんだ」と言ったり、赤ちゃんが逆子になると、教えても

      いないのに、「僕は頭から出てきたよ」と言ったりします。



妊婦さんを整体しているとき、妊婦さんのお腹に手を当て、お腹の赤ちゃんに心で語りかけながら愉気をしていますと、

挨拶の代わりに胎動で応えてくれるものなのです。

しかし、定期健診の直後に来られたときの整体は愉気をしても胎動の返答がなかなか返ってこない場合があります。

お腹の赤ちゃんが緊張していて、私に対して警戒しているようなのです。

しばらくすると、胎動を感じさせてくれるのですが。

おそらく、慎太郎くんのような事情があるからなのでしょう。






彩奈ちゃん
(2歳6ヶ月頃)


        (ママのお腹にいたとき、どうだった?)

       白くて気持ち良かった。

       お風呂に入ってた。

        (出てきたときはどうだった?)

       えーんえーんってね、言っちゃったの。


      お母さんのコメント

      初めて生まれたときのことを聞いたのは、1歳10ヶ月頃。

      そのときは、床に坐ってお腹の上に乗せるようにして抱っこしていたのですが、ずるずると下に
      
      降りていき、それが生まれるときのことを表しているような気がしました。



母胎の中は赤いかまたはピンクかと思いましたら、彩奈ちゃんにとっては白だったようですね。

母胎の中は気持ち良さそう。

出産時に、泣いたことも覚えているようです。






寛也くん
(3歳頃)


       お母さんの声は聞こえたよ。

       お父さんの声は聞こえなかった。

       ひとりぼっちでさみしかった。

       暗かった。

       早く出たかった。



      お母さんのコメント

      妊娠したときは、引越しをしたばかりで周囲に知り合いもいませんでした。

      夫と喧嘩も多く、そのうえ近所のマンション工事の騒音がひどくて頭が痛くなるほどで、不安な毎日でした。

      お腹に話しかけることもほとんどなく、夫はまったく話しかけてくれませんでした。



読んでいるとこちらまで悲しくなってくる寛也くんの思い出です。

私が妊婦さんにアドバイスさせていただくお話の中で、妊娠中はお腹の赤ちゃんに話しかけをするようにお願いする

ことがあります。

お父さんの声は聞こえず、お母さんの声だけは聞こえたようですが、その声も寛也くんに向けられた言葉ではなかった

ようです。


自分に気持ちを向けてもらえないお腹での10ヶ月間は寂しかったことでしょう。

妊娠期間中のお腹の赤ちゃんの精神状態は産後も成長と共に精神面・身体面において影響が表れてくる場合があります。

寂しかった気持ちを帳消しできるように愛情いっぱいに育ててあげて欲しいものです。

妊娠中の夫婦喧嘩はお腹の赤ちゃんをとても不安にさせるものです。

なるべくお互いに優しい気持ちであって欲しいですね。






たかしくん
(2歳頃)


       パパとママを選んだんだよ。

       ずっと待ってたんだよ。


      お母さんのコメント

    
  結婚して5年間、子どもをつくらなかったのですが、「待ってた」とはそのことを言っているのでしょうか。

      このときはこれだけだったのですが、3歳の今、改めて聞いてみたら、「もっとお腹にいたかった」
     
      「するするぽんって生まれてきてねって、パパとママがお話してるのが聞こえた」

      「(首を捻るまねをして)こうしないと出られないんだよ」などなど、

      たくさんのことを話してくれてびっくりしました。


私たちはこの世に生まれてくる前にお父さんとお母さんを決めてから降りてくるのでしょうか?

たかしくんは、自分を産んでくれるまで少し時間がかかったようですね。

子どもがお父さんとお母さんに出会えるまでの道のりは、私たちが思っている以上に大変なことなのかもし
れません。






ゆうきちゃん
(2歳7ヶ月頃)


        (ゆうちゃん、お腹のこと覚えてる?)

       うん。

       (暗かった?明るかった?)

       暗かった。

        (温かかった?寒かった?)

       寒かった。

        (生まれたときのことは覚えてる?)

       うん。

        (どうだった?)

       うーん・・・・・痛かった。

        (そうだったの。どこが痛かったの?)

       首が痛かった。

        (そうなの。ママも痛かったけど、頑張れって言ったの聞こえた?)

       うん。ママの声、一番よく聞こえたよ。


     お母さんのコメント

       娘と2人でお風呂に入ったときの会話です。

       出生体重3780gと大きく、看護婦さん2人にお腹に乗って押してもらってようやく生まれました。

       もう少し頑張れなかったら帝王切開でした。

       本人も、出てくるのが大変で痛かったのだろうと思います。



『暗かった』、『寒かった』、、、お母さんは冷え性なのでしょうか?

出生体重が3780gと大きかったせいか、ずいぶんと大変な出産だったようですね。

首が痛かったということで、出てくるときにとても苦労したようですが、ママの『頑張れ!』の声がゆうきちゃんを

励ましたのでしょう。







                       
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