Close Up


新譜中心に、だいたい月変わりくらいを目安にその時々の気になったCDをご紹介します。

[独断とこだわりの大きなお世話マーク]
必携かつ必聴。傑作。オススメ。これ以上のものはありません。100点満点。
    映画または作者に思い入れがあるならば必携でしょう。筆者イチオシ。99点。
        オススメです。聴きどころ満載。聴くべきです。80〜98点。
            突出した傑作ではなくても、部分的に聴きどころがあります。60〜79点。
(こちらでご紹介しているCDは基本的にオススメのものですので、星ひとつだけでも凡作というわけではありません!)

最終更新日:2004/3/28


 
ミシェル・ルグラン/風のささやき
音楽之友社(JA 2004)
濱田高志

めちゃくちゃ久しぶりにこちらでご紹介するのは今回CDでなく書籍です。TOPICSでもお知らせしていましたが、数々のルグランCDリリースの企画・監修・解説または歌謡曲全般に渡って深い造詣で知られる音楽ライターでありコンパイラーでありDJであり映画音楽ファンである濱田高志氏によるルグラン百科が、ルグラン72才の誕生日に発売されました。個人的にもルグランと親交の厚い著者のこれまでの集大成となるような著作です。
内容は実姉クリスチャンヌ・ルグランはじめ関係者による証言や著者自らの綿密な取材によるバイオグラフィ、サントラ、ジャズ、ライブなど詳細完璧なディスコグラフィ、フィルモグラフィその他コラムなど。特にディスコグラフィはすべてジャケット写真と解説付きでコレクターのバイブル(またはチェックリスト)となることは必定でしょう。読み物としても資料集としても非常に価値あるものなのでルグラン・ファン以外のかたも(すべての音楽ファン)必携と言えます。
まあ、内容もさることながらルグランと出会って10年もしないうちにここまで記録しつくした著者の情熱というか行動力には完全に敬服させられます。たぶんこの本、音楽関係のライター諸氏に対する影響力は絶大に思います。ショック受けた人多いと思いますよ。是非他の映画音楽作家にも続いていただきたいものです。(3/28)

LA RAGAZZA FUORISTRADA
EASY TEMPO ET921CD(IT 2003) 24曲
Piero Umiliani

ウミリアーニのジャズではない方の一面、つまりEASY TEMPOレーベルの流れ通りの都会的でシャープな(ちょっとサイケも混じった)パーティ・サウンド。これ、LP持ってたんだけど、CD聞き直すと初めて耳にするような曲ばかりで、あれ、このアルバム、こんなに良かったかなあと再認識。レーベル・イメージの魔術でしょうか。テーマ曲(2曲目)のトランペットはオスカル・ヴァルダンブリーニ。70年代のなつかしい香りをたたえたイージー・リスニング。フランシス・レイ風のムーグやエキゾチックなパーカッション、そしてもちろん悩ましい女性スキャットなど、収録曲はウミリアーニの(ジャズじゃない面の)カタログ的なバラエティに富んでます。(7/20)

I FIGLI CHIEDONO PERCHE'
DAGORED RED146-2(IT 2003) 21曲
Ennio Morricone

パレスチナ人とイスラエル人の悲恋ものらしい日本未公開作(このシチュエーションだとこれ以上ないくらいの悲恋ですね)。7曲増えての完全盤ですが、それよりも音質の驚くべき向上で、従来盤をすでに持っている人もこれは買い直しの価値は十分にあります。歌謡曲風に非常にわかりやすいメロディで、なぜか初めて聴く気がしません。悲しい中にしぶとい生命力みたいな力強さを含んだメロディで、こういうのを「こぶしがきいている」と言うのでしょうか。エッダのスキャットがいつもながらにドラマチック。特に16曲目の幽玄で奥深いソプラノには意識のかなたに連れて行かれてしまいそうに引き込まれます。(4/13)

CHE C'ENTRIAMO NOI CON LA RIVOLUZIONE?「進撃0号作戦」
DAGORED 145-2(IT 2003) 17曲
Ennio Morricone

今回が初アルバム化になるモリコーネの脱力系マカロニの傑作。テーマ曲、エンドタイトル、アルビノのテーマ、グイドのテーマの4つしかモチーフがないのに、アレンジ違いだけで全17曲一気に聴かせます。「ペイネ」もそうだったけれど、メロディがいい上にアレンジが面白いからこういうアルバムも成り立つんですね。マカロニというと疾走系の音ですけど、「ウエスタン」のシャイアンのテーマ以来、こうしたいい感じにたるんだ曲に男のはかなさというか、哀愁を感じてしまって、ここでは特にギター・アレンジが胸に響きます。グエッグエッていうカエル声がなぜか染みるのですよ。
ところで超多作だった72年当時、面白いことにこのグエグエは「夕陽のギャングたち」「青ひげ」「ANCHE SE VOLESSI LAVORARE, CHE FACCIO?」でも聴かれますが4作とも指揮者が違うのです。当時のモリコーネは忙しすぎて吐きながら仕事してたって感じですね。何でも曲にしてしまう人です。(4/13)

BARBABLU'「青ひげ」
DAGORED 144-2(IT 2003) 26曲
Ennio Morricone

11曲も増えた完全盤。もっとも、増えたのは従来盤の別ヴァージョンばかりで、しかもモノラルなのでそれほど目新しくうれしい曲なわけではありません。唯一ディキシーランド・ジャズ・スタイルの「1928(オルタネート・ヴァージョン)」だけは未発表テイクをつなぎ合わせた新曲。テーマ曲は名作「シシリアン」や「進撃0号作戦」にも比肩する男泣きの叙情性をたたえた哀切節です。妻をとっかえひっかえ殺し続けた男の孤独と悲哀と滑稽さがないまぜになった微妙に泣けてくるメロディ。テーマ曲以外は殺人儀式をストレートに表した濃密なホラー・サウンドの連発。(4/13)

NUOVO CINEMA PARADISO「ニュー・シネマ・パラダイス」
GDM 067 157-2(IT 2003) 23曲
Ennio Morricone

モリコーネの作曲が単なる劇判に甘んじていないことを強く証明してみせた不朽の名作。映画のテーマをビジュアルと同等に明確に表現した旋律の巧みさは、たとえ映画を見ていない人にも同じ感動を伝えるに違いありません。暖かくて懐かしくてドラマチックで美しくていとおしくて、これはモリコーネの到達したラブテーマの金字塔です。主題曲の「ニュー・シネマ・パラダイス」、トトのテーマでもある「成長」、ノスタルジックな「トトとアルフレード」、そしてエンニオの息子アンドレア作による「愛のテーマ」という主に4つのモチーフをサックス、ピアノ、ギターといったアコースティックな音色がそれぞれに分担し主旋律を奏でます。弦主体のオーケストレーションは奇をてらわずきわめてオーソドックス。メロディで直球勝負した泣かせ節の四連発。唯一、ダイナミックな緊迫感の「火事」だけは異質な情景音楽で、これは「1900年」のサントラから「1922年・秋」のリアレンジ・ヴァージョンです。
従来盤を持っていれば改めて買い直す必要はありませんが、この完全盤には従来盤に未収録だった、「アブダカダブラ〜」と唱えながらアルフレードがトトの前で映写機をくるりと窓の外に向けて、広場に集まった観客に上映してやる場面に流れた短いけれどやたら盛り上がる感動曲と、青年トトがバイトで遠くの映画館からフィルムを自転車で運んでくる場面のコミカルな曲が初収録されています。(4/13)

THUNDERBIRDS「サンダーバード」
SILVA SCREEN FILMCD606(UK 2003) 22曲
Barry Gray

オープニングの「ファイブ、フォー.....、サンダーバード・ア・ゴー」というカウントダウンのナレーション聞いただけで何にでも無心に熱中してた少年時代にタイムスリップ。これが初音盤化というのだから驚き。超有名な主題曲のマーチからボサやらソフトロックやら豊富な曲調で、60年代のスパイ・アクション映画の趣を残しつつTVシリーズらしいにぎやかなカラフルさ。なんともいえないなつかしさに胸が暖まります。ある世代の男性には必携といえるCDでしょう。(4/3)

COWBOY BEBOP BLUE「カウボーイ・ビバップ」
VICTOR VICL60203(JA 1999) 17曲
Yoko Kanno 菅野よう子

「菅野よう子」第二弾は「カウボーイ・ビバップ」のサントラ第三集「ブルー」。この作曲家のオールマイティぶりが最も顕著というか節操がないのがこのアニメ・シリーズのようです。ここで一番面白い曲だったのが5曲目"GO GO CACTUS MAN"で、なんとこれマカロニ・ウエスタンではないですか。ジューズハープ、エレキギター、パーカッションのリズムに主旋律は口笛です。ここまでやるか、と感激してしまいました。本人はそんな「巨匠」には全然見えない今ふうのかたですが、「散歩とかしてる時に思いつくんですぅ」なんて舌足らずな口調でこれだけ楽々と何でもこなせてしまうって天才だと思います。そう言えば愛育社のモリコーネ本にもコメントを寄せてくださってました。いい人です。(4/3)

STAND ALONE COMPLEX「攻殻機動隊」
VICTOR VICL61051(JA 2003) 16曲
Yoko Kanno 菅野よう子

菅野よう子さんは最近の私のマイ・ブームなのです。これ、TVアニメも傑作ですが、音楽の幅広さには全く驚かされます。作風のレパートリーというかジャンルが何でもありの人なんですね。しかもサントラもモリコーネ並に出てるし多作で、どれも評判良いようです。作曲のアイディアが次から次にわいてきて才能を押さえられない感じの人です。ロシア語の主題歌もキャッチーですが、8曲目"VELVETEEN"が出色。他にも聞いてみたいけれど、リリース量があまりに多くてどれ買っていいんだかわかりません。オススメありませんか?(3/11)

MAESTRO SERIES VOL.1 PIERO PICCIONI PART.1
BLACK CAT BCR0110(IT 2002) 14曲
Piero Piccioni

ピッチオーニもずいぶんコンピ出たけれど、まだまだ新しい曲が聴けるようです。このコンピもほとんど初めて聴く曲ばかり。しかも、イイ!
エッダの1曲目や8曲目、モリコーネ指揮でマチューが歌った"NATA LIBERA"のインスト版など、未発表曲がほとんど。乾いたタッチのビート系ラウンジ・ミュージック・コンピで、ロージ監督作品みたいなオケやビッグバンドものはありません。どちらかというとサントラ・ファン以外のかたにアピールするような内容です。(3/11)

CHANGING LANES「チェンジング・レーン」
VOLCANO CPC8-1202(JA 2002) 26曲
David Arnold

アーノルドは「インデペンデンス・デイ」とかハリウッド超大作のイメージしか知らなかったのですが、今やすっかり007作家の地位を確立しましたね。これって結構高いブランドだと思います。さて本作は僕にとっては初めて聴くタイプの音楽。というか、メロディはあるようなないような。金属音の寄せ集めにオケがメロディをのせていくような、ちょっと変わった曲で、音楽というより音で雰囲気を作ってる感じ。都会的で硬くて冷たい響きが、ハードボイルドの新しいかたちを聴かせます。トラックリストには組曲1曲だけですが、実際は26曲入ってます。ライナーには参加ミュージシャンの長いリストが載ってますが、とてもこんなに演奏者いるとは思えません。(3/11)

PAPILLON「パピヨン」
UNIVERSAL 0171792(FR 2002) 15曲
Jerry Goldsmith

ファンの多さではモリコーネに匹敵するもうひとりの御大ゴールドスミスのサントラも、なんだかんだ言って結構たまってきてます。好みは「カサンドラ・クロス」とか「ラスト・ラン」みたいなメロディアスな作品ですが、この「パピヨン」はその筆頭でしょうね。主題曲は泣けます。ニコレッタの歌うボーナス・トラック入り。小学生だった当時、自分のヒーローはブロンソンとマックィーンでした。特に「パピヨン」のマックィーンには虫だってなんだって栄養になるってことを教わりました。(3/11)

BERETTA 70
CRIPPLED CDHW053(GE) 14曲
Various

70年代イタリアン・ポリス・ムーヴィー集。ズシンズシンと腹に響くアクション・テーマだけの選曲で、いかにも「悪の組織VS善のヒーロー戦隊」な図式的な曲調ばかり。イタリア映画って単純なのはホント単純だなあ。極悪刑事の捜査風景みたいな14曲目の長い曲(ビキシオ、フリッツィ、テンペラ)が収穫。ふだん偏ったCDしかきいてないと、自分の新しい好みに気づきません。それと、最近ふえてきたけれど、選曲者の顔が見える(特色というか、こだわりというか、ジャケも含めて統一的なコンセプトがある)コンピって好感度高いです。(3/11)

THE MAIKU HAMA THEME「ザ・濱マイク テーマ」
FOR LIFE FLCF3921(JA 2002) 12曲
Meyna Co.

「私立探偵 濱マイク」のTV化を機会に映画版サントラのベスト・セレクションが廉価盤でリリース。日本映画に珍しいキャッチーなテーマ曲で、もし知らない人いましたら、これ絶対聞くべき。かっこよすぎ。微妙にアレンジ違いの同じテーマ曲ばかり集められてますが、ずっと聞いてて全然あきません。ちょっと毛色変わったところでは第二作「遥かな時代の階段を」のテーマ曲がほどよく哀愁があっていい感じなのです。(12/7)

SHOLIN SOCCER「少林サッカー」
AVEX CTCR14226(JA 2002) 20曲
Raymond Wong

1年以上ぶりのこのページの更新でこの作品って、結構意外に思われるかたもいらっしゃるのでは。こういうのも好きなんですよ。香港映画の音楽は「ドラゴンへの道」「ドラゴン危機一発」とか、結構マカロニ・テイストなんですが、このサントラももちろんそのノリです。ドンドコドンドコいう戦いの太鼓のリズムに男性ボーカルがかちどきをあげる燃える主題曲に始まって、全編炎の戦闘テーマの連続。シンセの演奏が安っぽく聞こえないところがさすが。エンディングの歌が未収録なのだけが残念。(12/7)