この講座では8等身キャラを描くことを想定しています。最もスタイルがよく見えるのが8等身だからです。
この章で紹介する胸は、お尻とともに男女で差が出るパーツです。女性には乳房があります。男性には乳房はありませんが、そのぶん大胸筋がそのまま出ますので胸板の厚みを表現することもできます。

左は男性、右は女性です。両方に共通したポイントがあります。
1.2頭身(頭2つぶん)の位置に乳頭がきます。左右の乳頭の幅は1頭身です。ちなみに、乳頭は外側に向いてついています。もちろん下着などで補正すると位置が変わりますので女性を描く場合はそのへんを注意しましょう。
2.3頭身にへそがきます。
3.肋骨は顎下から2と3/4頭身までのタラコのような形についています。前方は胃があるため2と1/4等身の位置まで空いています。ピンクのラインで肋骨のアウトラインを描いてあります。
胸は前方は大胸筋(男性の乳頭のある白いところ)と、おなかの腹直筋(水色)を押さえていればムキムキキャラ以外は対応できます。
胸の後方は首から背中を包んでいる僧帽筋(緑色)とその下に位置する広背筋(紫色)をおさえておけばいいでしょう。
肩との付け根は三角筋(オレンジ)を押さえておけばOKです。

胸と背中の筋肉と骨格の図です。筋肉の流れも描いてみたので筋肉質の人を描くときの参考になると思います。
右図のピンクの矢印になに筋か書き忘れてましたが「大菱形筋」です。場所はわかりにくいかもしれませんが、僧帽筋と広背筋と棘下筋・小円筋に囲まれた三角形の部分です。

横から見ても筋肉にあまり変わりはありません。広背筋が肩と腕の付け根にくっついています。ちなみに前方は大胸筋でつながっています。
右上の図を見るとわかりますが、乳頭は外側に向かって付いています。腕立て伏せなどでうつぶせの状態になると乳頭は真下を向きます。
乳房の中身は脂肪と乳腺がほとんどですので、非常にやわらかく形も変わりやすいのでリアルに書くのにはとても注意が必要なパーツです。

胸の簡単な描き方です。上段は正面の、下段は横の描き方になります。
[上段:正面]
1.まず頭部の丸を描いて、その丸の左右から垂線を2本引きます。2頭身のところにチェックを入れて(ここでは横線を引いてます)乳頭の位置を決め、3頭身にへそを描きます。丸の下1/4頭身のところが鎖骨の付け根になり、2頭身の下1/4に乳房の下ラインと肋骨の左右の頂点が、下1/2に肋骨のみぞおちが、下3/4に肋骨の左右の下端がきます。
2.頭のアウトラインを描いておくとわかりやすいので描いておきましょう。
頭の下からティアドロップつまり「水滴」の形を描きます。上端が顎下で下端がへそつまり3頭身、左右端が2と1/4頭身で乳頭より外を通ります。このティアドロップが描けるようになると正面の胸は一気に描きやすくなります。
3.鎖骨、肋骨、乳房といった描くためのあたりがついているパーツを描いていきます。
実はここの段階ですでに正面は描けているのです。
4.ここでは3で描いたパーツを黒で描いただけです。
難しいのは1の寸法をとるところと、2のティアドロップの描き方だけです。
[下段:側面]
1.正面と同じように頭部の丸を描いて、その左右から垂線を2本引きます。2頭身のところにチェックを入れて乳頭の位置を決めるのも一緒。背中にある肩甲骨の下端も同じ2頭身です。3頭身のところにへそがきますが、側面では見えませんのでチェックしなくていいでしょう。丸の下1/4頭身のところが鎖骨の付け根で、2頭身の下1/4に乳房の下ラインと肋骨の左右の頂点が、下1/2に肋骨のみぞおちが、下3/4に肋骨の左右の下端がきます。
つまり、あたりの位置は正面とまったく同じです。肩甲骨が加わったくらい。
2.頭部の側面のアウトラインを描いておくとイメージが湧きやすいので描いておきましょう。
顎下のラインの首の後ろから楕円形のような卵のような形を描きます。これが肋骨のアウトラインです。こればかりは何かに似せて描くのが難しいので、形を覚えてしまったほうが早いです。
3.肋骨のアウトラインを基準に乳房や肋骨を描いていきます。
ただ、背中には肩甲骨があるため、少し膨らませて描くのがポイントです。肩甲骨については背中と肩の説明をするときに詳しく説明いたします。実は、鎖骨と肩甲骨は肩のパーツです。
4.ここでは3で描いたパーツを黒で描いただけです。
難しいのは2で描く肋骨のアウトラインだと思います。でもこれが描けないことには横向きの絵は描けませんので、数をこなして慣れてしまいましょう。

背面はやさしいのですが、斜めは思いっきり難しいです。
[上段:背面]
1.2.ほとんど正面と描き方が一緒ですが、顔のパーツがない、首の付け根が頭部の中にまで入る、乳房がなくて肩甲骨がある。という程度の違いです。
3.肩甲骨は鎖骨とほぼ同じラインの高さから、細長いホームベースのような形状の「肩の骨」です。肩が上がると鎖骨と肩甲骨がそれにつられて可動します。2頭身のところが肩甲骨の下端になります。
4.3で描いたパーツを黒で描きました。
難しいのは1の肩甲骨の形だけですね。
[下段:斜め]
人体では斜めを描くのがとても難しいです。頭の中に立体を意識していないと描けないといってもいいでしょう。
それでも計算と寸法でなんとかしてしまうのがこの講座の肝ですが。
1.まずは恒例の頭部の丸を描き、その左右から垂線を2本引きます。2頭身のところにチェックを入れて乳頭と肩甲骨の位置を決め、3頭身のところにへそがきます。丸の下1/4頭身のところが鎖骨の付け根で、2頭身の下1/4に乳房の下ラインと肋骨の左右の頂点が、下1/2に肋骨のみぞおちが、下3/4に肋骨の左右の下端がきます。
これまた、あたりの位置は正面とまったく同じです。
2.斜めではここからがポイントです。まず頭部で45度左を向いた輪郭を描きます。描き方は頭部のところで説明してあります。丸の中心から左にずれた顔の中心線をそのまま下に垂らして肋骨の下部のあたりとします。
また、丸の中心から左にずれたぶんと同じ幅を中心から右に引くと後頭部側の中心線になります。この正面と後頭部側の中心線の幅が体の厚みの基準です。
基本的に男性の体の厚みは1頭身、幅は2頭身です。女性は幅が2頭身弱です。なので立方体が描ければ体の厚みも描けます。
頭部の丸と後頭部の中心線の交点からティアドロップと卵のような形の中間のような楕円を描きます。これが肋骨のあたりになります。
3.肋骨のアウトラインを基準に乳房や肋骨を描いていきます。
首の前つまり喉の付け根が頭部の丸の中心の真下にきます。それに合わせて背中側の首つまり僧帽筋と三角筋へとラインを引いていきます。
4.3で描いたパーツを黒で描きました。
ここでは45度を書きましたが、この角度ってイラスト以外だとまず描きませんね。難しすぎます。30度とか15度くらいが実戦的だと思います。描き方は上の応用なので、ここまで描けた人なら楽に描けるはずです。

背面はやさしいのですが、斜めは思いっきり難しいです。
[男性]
女性に比べ、肺がかなり大きいのがわかると思います。とくに上のほうの厚みがまったく異なっています。これが胸板の厚さにつながるのです。
[女性]
女性の肺は薄めです。そのかわり皮下脂肪が厚く、乳房もあるため男性よりちょっと胸板が薄い程度に見えますが、肺はかなり薄いということを覚えておきましょう。
肺(肋骨)の厚みで男女差を表わすことができます。また、鍛えられた女性は肺活量と大胸筋が増量されて胸板も厚くなります。反対に運動不足の男性は肺活量と大胸筋が落ちて女性並みの肺(肋骨)しかない人もいます。

男はさらりと説明します。男子は大胸筋の発達具合で胸の描写が異なります。鎖骨の付け根の下は大胸筋の付け根なので、肋骨のラインを描くか隆起を描かないかしましょう。
女は胸の大きさによって乳頭の位置もアンダーバストの位置も移動します。また、乳房は脂肪の中に乳腺が走っているので、大きくなるほどやわらかく重くなります。大きくなるほど垂れていくのですが、大胸筋を引き締めるとバスト表面の肌も引き締まるため、形が崩れません。若いうちは肌のハリもあるので崩れないのですが、歳をとるとハリもなくなっていくので、大胸筋を鍛えないとどんどん垂れていきます。
形として代表的なのは、標準的な「お椀型」、外国人の巨乳におおい「半球型」、これも外国人に多い「釣鐘型」、脂肪の少ない人に多い「円錐型」があります。他にも人それぞれなので、胸だけでもキャラの描き分けができちゃうほどです。

上段は最も体形補正機能のあるフルカップブラです。ただ、サポート面が広いので蒸れやすいのが弱点です。黒いところにワイヤーが入っていて、水色のところにゴムが入っています。
下段は左から3/4、標準、1/2(ハーフ)カップの順でサポート面を少なくして蒸れにくくしています。体形補正はワイヤーに任せているので、サポート面が小さくなるほどワイヤー頼みです。
ブラジャーは他にもスポーツブラ(タンクトップの上半分のような形状のゴムを多用した、動いてもズレにくいブラ)もあります。
ブラジャーはファッションの一部でもあるので、いろんな形状や素材があります。綿、絹、化繊、レースなどなど。
描き手が男性の場合でも、無難にフルカップというのはやめて、ファッションに合わせて下着の形状にも気をつけるべきですね。

胸部の可動域は、肋骨に邪魔されてそれほど大きくありません。いちばん動くのは左右に振り向くときです。
左右に傾いだり、前後に丸まったりするときは肋骨に包まれた肺が伸縮してある程度は可動しますが、微々たるものなので、「心持ち伸びたり縮んだりしている」くらいの解釈で結構です。

中段のあおりを中心に描き方をいろいろ挑戦してみました。
この絵の左上のように、乳頭は外側に向けてついています。そのことを忘れないようにするときれいなバストが描けると思います。数を描くことでよりきれいなバストになります。女性を魅力的に描くときの重要なポイントなので、頑張りましょう。
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