
| 羆(ヒグマ) 北海道をはじめて訪れたのは20歳代の 初めだった。ザックを担いで、ユースに泊まり 周遊券を使った旅行で、憧れの北海道は期 待に違わぬすばらしさだった。 この時、北海道で最初に登った山は「昭和 新山」で、あちこちで、噴煙が上がっていて 出来立ての山らしい雰囲気だった。山らしい 山にも登ってみようということで、「雄阿寒岳」 をめざした。登山口には、「羆出没注意!」の 看板があり、購入した「熊よけの鈴」(馬に付 ける鈴)を鳴らしながら登っていったが、ガス がかかってきて、満足な地図も持たずルート も不安なとき、獣の強い臭いがした。熊も心配 でそこから下山してしまった。 数日前に北大 の博物館(植物園)で見た羆に食われた人の 手や胎児のホルマリン漬けの標本はインパク トが強すぎた。 吉村昭の小説「羆嵐」で知った大正4年の 留萌地方苫前の奥地の三毛別開拓地で起き た大羆により7人が 食い殺された事件は恐 ろしい。近くは1970年(s.45)、福岡大学ワン ダーフォーゲル部の3人が日高のカムイエク ウチカウシ山で食い殺された事例がある。 札内の資料館で、射殺されたこの羆の剥製を 見たが意外に小さいく、シェパード犬くらいの 幼獣だった。羆と言えば動物園で見る巨体を 想像していただけに、こんな小さな獣にやら れてしまったのかと残念だった。 知床の番屋で作業する人のすぐそばで、 大きなヒグマが草を食べている映像を見た が、共存できるものだろうか。 音を出して歩く。出会ったら逃げない。ゴミ は持ち帰る。など注意していて、ツキノワグマ には2度出会ったが、クマさんが逃げてくれ た。しかし、北海道の山を歩く時、「羆」は気に なる。 |