8 自己破産について(弁護士ドットコムの連載記事 8)

 今回は,自己破産について,ご説明しましょう。

 自己破産とは,借金を返せない人(支払不能の人)が,借金をなくしてもらう(免責を受ける)制度のことです。自己破産とは,免責のためのものなのです。

● 自己破産のメリット
1 免責
  自己破産の最大のメリットとして,全ての債務について,免責を受けられる(借金がチャラになる)というものがあります。
  従って,自己破産をすれば,その後の返済は不要になります(例外はあります)。
  ただし,自己破産後も,「あの人には迷惑をかけられないので,どうしても返済したい。」というのであれば,勝手に返済しても構いません(自然債務といいます)。しかも,特定の債務のみ返済してもかまいません。
2 強制執行の失効
  免責に加えて,自己破産の申立をすることによって,給与等に対する差押,仮差押等はされなくなります。
  また,すでにされていた差押,仮差押等は失効します(破産法42条)。
  従って,借金をする際に公正証書を作成してしまった方,裁判で負けて判決を取られている方などは,自己破産の申立をするメリットが大きいです。

● 自己破産のデメリット
1 資格制限
  自己破産申立から免責を受けるまでの間(約3ヶ月程度です),一定の資格制限があります。
  たとえば,保険会社の外交員になれない,宅建主任者になれない,弁護士になれないといった資格制限があります。
  ただし,免責後は資格制限はなくなりますので,これらの不自由は一定期間のものに過ぎません。
  また,新会社法が施行されたので,会社の取締役になれないという資格制限はなくなりました。
2 戸籍について
  誤解なさっている方が多いのですが,破産・免責の事実は,戸籍には記載されません。
3 選挙権について
  この点も誤解されているのですが,破産・免責の事実は,選挙権には何の影響もありません。
4 解雇・退職について
  破産・免責の事実を他人に知られることは極めてまれです。自分から言わなければ,普通は知られません。
  仮に,自己破産及び免責の事実を会社に知られても,それを理由に解雇されることはありません。
5 家族について
  当人が自己破産し,免責されることは,配偶者・親・子等の親族には,何らの影響もありません。
6 ブラックリストについて
  業者間のブラックリストに載り,借入ができなくなることは,受任通知発送の効果であり,任意整理の場合と変わりがありません。ですから,これは自己破産の効果ではありません。
7 結論
  以上の通りですので,自己破産のデメリットは,一定の資格制限のみといってよいのです。すなわち,特定のひとにしか当てはまらないものなのです。あとは,強いて言えば,本人のプライドが傷付くということでしょうか。

● 最後に
 以上のように,自己破産は,債務を払わなくて済むという非常に大きなメリットのですが,デメリットはごくわずかであり,特定の人にしか当てはまらないものなのです。
 にもかかわらず,「借りたものは返さなくてはいけないのでは」などと言って,破産に抵抗する人がいます。
 しかし,そういう人には,「あなたが守るべきなのは,つまらない見栄やプライドなのですか?それとも,家族や明日の生活なのですか?」と言いたいです。
 借金で首が回らなくなっているのに,プライドや見栄の話をするのはナンセンスです。明日の自分のために,そして,今まで苦労をかけてきた家族のために,さっさと自己破産して,免責を受けて,新しい生活を始めましょう。

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