13 保証人の過払金(弁護士ドットコムの連載記事 13)

 前回は,過払い金回収の応用として,債権者と債務者以外の人物が登場する場合のうち,被相続人(死者)の過払い金と,配偶者(夫)の過払い金というお話をしました。今回は,債権者と債務者以外の人物として,保証人(連帯保証人)が登場する場合のお話をします。

1 利息制限法引き直し後の債務が残っている場合
  主債務者が支払えなくなると,保証人のところに請求が行き,保証人が全額払うということがよくあります。ここで,「主債務者が債務を払えなくなった」というときに,本当に債務を負っている場合と,本当は債務を負っていない場合とがあります。
  なぜかというと,債務者と債権者(サラ金)とは,利息制限法違反の利息を支払う取引を継続しているからです。この取引を,利息制限法に引き直すと,本当は残債務が残っている場合と,本当は残債務がなくなっている場合とがあるのです。
  このうち,まず,本当は(利息制限法に引き直すと)残債務が残っている場合について考えると,この場合に,保証人は(引き直し前の)残債務全額(例えば100万円)を債権者に支払うと,債務者の(引き直し前の)債務は0円になります。
  しかし,ここで安心してはいけません。全額支払った時点で,主債務者の残債務は本来は(利息制限法に引き直すと),20万円だったということがありえます。この場合に,保証人は,20万円しか払う必要がないのに,100万円払っているのです。
  従って,保証人から債権者に対して,80万円の過払い金の請求ができるのです。
  ですから,保証人に全額支払ってもらったという債務者,又は,全額支払わされてしまったという保証人は,是非,弁護士に相談して下さい。

2 利息制限法引き直し後の債務が残っていない場合
  次に,主債務者が支払えなくなって,保証人のところに請求が行き,保証人が全額払ったのだが,主債務者が支払えなくなった時点で,利息制限法に引き直すと,本当は残債務がなくなっていた場合について,考えます。
  このような場合は,主債務者が支払えなくなった時点で,主債務者に過払い金が生じています。つまり,主債務者の(引き直し前の)残債務は,100万円だが,利息制限法に引き直すと,30万円の過払い金が生じていたというケースです。
  この場合に,保証人は,1円も支払う必要がないのに,100万円を債権者に支払っているのです。
  従って,主債務者から債権者に対して30万円,保証人から債権者に対して100万円で,合計130万円の過払い金の請求をすることができるのです。
  ですから,前述のように,保証人に全額支払ってもらったという債務者,又は,全額支払ってしまったという保証人は,是非,弁護士に相談して下さい。

3 まとめ
  以上のように,利息制限法引き直し後に債務が残っている場合でも,残っていない場合でも,保証人が全額支払った場合に,過払い金が生じることに違いはありません。
  保証人であれ,債務者であり,死亡した父親であれ,離婚した夫であれ,サラ金に対して,債務を全額返済したという場合には,過払い金が生じている可能性が非常に高いのです。過払い金の消滅時効は10年ですから,10年以内に返済したケースであれば,過払い金の請求は可能です。
  ですから,自分が,又は,自分以外の誰かが借金を完済したという経験がある方は,騙されたと思って,弁護士に相談してみてください。

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