23 過払い金と保証人(弁護士ドットコムの連載記事 23)

 今回は,過払い金(債務整理)と保証人の関係について,ご説明しましょう。債務者の方の中には,自分が債権者に対して過払い金の返還請求をすることで,保証人に迷惑をかけるのではないかと心配している方が多いようですので。

1 完済後の過払い金返還請求の場合
 債務者の方が,債務を完済してから,サラ金に過払い金返還請求をする場合には,利息制限法に引き直す前に債務がすでになくなっていますので,保証人への影響は一切ありません。債務者がサラ金に過払い金返還請求をしたからと言って,サラ金から保証人に連絡が行くことはありません。債務者はすでに債務を全額返済しているからです。
 このことは,債権者が,商工ファンドや不動産担保ローン等の場合でも同様です。
 ですから,完済後の過払い金返還請求の場合には,保証人の意向を気にせずに,もっと言うと,保証人に何の相談もせずに,過払い金の返還請求をすることが可能です。

2 債務はわずかに残っているが,過払い金が生じる見込みの場合
 次に,債務はわずかに残っているが,利息制限法に引き直し計算をすれば,過払い金が生じるであろうという場合について検討します。この場合,保証人との関係では,債権者は引き直し前の債権を有しているので,弁護士がついた債務者には請求できなくても,保証人には請求が行くことになります。
 保証人に請求が行くことをどうしても止めたいときは,債務者は残りわずかの債務を債権者に支払ってしまってから,過払い金の返還請求を弁護士に依頼するという方法もあります。このようにすれば,前項と同様の状況になるからです。
 ただし,このように進めたい場合でも,必ず,事前に弁護士に相談することをお勧めします。様々な問題が生じる可能性もあるからです。

3 債務がかなり残っているが,過払い金が生じる可能性がある場合
 では,引き直し前の債務がかなり残っていて,一括で支払ってしまうのは難しいが,過払い金が生じる可能性があるという場合にはどうしたらいいでしょうか。
 この場合,債務者のみが弁護士に債務整理を依頼すると,債権者が保証人に引き直し前の金額を請求することになります。そのような事態は避けたいので,保証人も同様に弁護士に依頼することが望ましいです。
 このようにお話すると,保証人にも迷惑をかけるので,弁護士に債務整理を依頼することを躊躇される債務者の方がいらっしゃいます。しかし,弁護士に依頼するのとしないのとでは大きな違いがあり,依頼しなければ高額の債務を支払い続けなければならないが,依頼すれば過払い金を取り戻せるという状況なのに,弁護士に依頼しないというのは合理的な選択とは思えません。
 保証人に迷惑をかけたくないという気持ちは分かりますが,保証人にも弁護士に依頼してもらう(債務を支払うことにはなりません。)というだけのことですから,債務者の方には,是非,合理的な選択をしてほしいものです。

4 債務がかなり残っていて,引き直しても残債務が残る場合
 最後に,債務がかなり残っていて,利息制限法に引き直しても債務が残ってしまう場合についてお話しします。この場合にも,債務者のみが弁護士に債務整理を依頼すると,債権者が保証人に引き直し前の金額を請求することになります。前項と同様に,そのような事態は避けたいので,保証人も同様に弁護士に依頼することが望ましいです。
 ここでも,前項と同様に,保証人に迷惑をかけるので,弁護士に債務整理を依頼することを躊躇される債務者の方がいらっしゃいます。しかし,弁護士に依頼するのとしないのとでは債務の額に大きな違いが生じるので,まずは,自分のために合理的な選択をしてほしいと思います。その選択肢の中には,自己破産というものも含まれます。
 保証人に迷惑をかけたくないという気持ちは分かりますが,保証人になってもらった時点ですでに迷惑をかけているので,現時点では自分のことや家族のことを考えて欲しいものです。
 例えば,債務者が自己破産しても,保証人に迷惑をかけたと思えば,免責後にその金額を保証人に支払っていくこともできるのです。
 また,自己破産をしない場合でも,債務者と保証人が引き直し後の金額を分割で支払うという和解をして,債務者だけが約束した支払っていくということも可能です。
 いずれにしても,保証人に迷惑をかけたくないという気持ちから,弁護士に依頼しない(引き直し前の金額を支払い続ける)という決断は,最も愚かな選択(業者にとっては一番嬉しい選択)と言えるでしょう。

5 終わりに
 いずれにしても,債務者の立場からすると,弁護士に依頼するのが最善の選択です。そして,保証人についても,必要がある場合(債務が残る場合)には,弁護士に依頼すべきです。
 このとき,多くの場合には,債務者と保証人とで,同じ弁護士に依頼しても構いません(例外的に,利益相反の関係になる場合もあります)。
 ですから,債務者の方は,とにもかくにも,まずは経験のある弁護士にご相談下さい。

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